院生談話会(2009年度)

院生談話会(言わば,院生の院生による院生のための談話会)を開催することになりました。
通常の談話会はレベルが高く,また,先生がいると萎縮して自由に質問ができないのではないかと思い, 出席者は院生のみにしました。 これを通して,院生同士の分野を越えた交流を深めていきたいと思います。

院生談話会運営委員:
D3 安部哲哉 (abetetsuya1981(at)gmail.com)
D2 橋本要 (d08sa002(at)ex.media.osaka-cu.ac.jp)
M1 福川由貴子 (m09sa024(at)ex.media.osaka-cu.ac.jp)
日時 3月30日 (火) 15:30 ~17:30
講演者(所属) 黒須 早苗 (東京理科大学)
タイトル アファインはめ込みとtt*構造
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 接束がtt*構造をもつ多様体であるスペシャルケーラー多様体はアファインはめ込み(アファイン球面)で実現できるというO.Baues, V. Cortes "Proper affine hyperspheres which fiber over projective special Kaehler manifold "の結果の紹介を行う。 また、アファインはめ込みではめ込まれた接束上のtt*構造の具体例についても触れる。
日時 3月30日 (火) 13:00 ~15:00
講演者(所属) 中條 大介(九州大学大学院数理学研究院)
タイトル アファイン微分幾何学入門
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト アファイン微分幾何学の入門的な内容に関する話をしたいと思います. 特にユークリッド空間へのアファインはめ込みに関して,その定義からはじめて,アファイン球面に関連することまでについて紹介する予定です.
日時 3月3日 (水) 15:30 ~17:30
講演者(所属) 井口 雄紀 (東京工業大学D1)
タイトル タイヒミュラー空間上の測地線の境界挙動
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト タイヒミュラー空間は曲面の位相的変形を複素解析的に取り扱ったものである。 その理論は1940年前後の O.Teichmuller による一連の研究により基礎づけがされた。 例えば、この集合は変形のベースとなる曲面上の正則二次微分全体の集合における単位開球と同一視ができて、そこでの原点からの放射状の直線はタイヒミュラー空間上の測地線になることが示された。本講演ではこのことに ついて説明し、測地線の境界挙動を考察する。
日時 3月3日 (水) 13:00 ~15:00
講演者(所属) 澁谷 一博 (広島大学理学研究科)
タイトル 微分方程式の幾何学
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 本講演ではE.Cartanによる微分方程式の幾何学化に端を発する微分式系の理論を紹介します. この中では微分方程式は正準微分式系付きのJet空間の部分多様体として捉えられ,解は独立条件付の積分多様体として現れる. また微分式系の理論をLie環論を用いて定式化した田中理論についても紹介する予定です.
日時 2月9日 (水) 15:00 ~17:00
講演者(所属) 川上裕 (九州大学大学院数理学研究院)
タイトル 極小曲面論の歴史と進展
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 3次元ユークリッド空間の極小曲面の研究は,曲面論において重要かつ現在も進展している研究の1つです。 本講演では,曲面論の基本事項を復習したあと,極小曲面論の研究の上で重要な役割を果たした幾つかの結果を紹介し,その後の進展についてお話したいと思います。
日時 11月4日 (水) 15:00 ~17:00
講演者(所属) 川上裕 (九州大学GCOE学術研究員)
タイトル 平坦フロントの双曲的Gauss写像
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 近年,「フロント」と呼ばれるある種の特異点を許容する曲面のクラスの大域的性質に関する研究が注目されています。 その中で講演者は,國分雅敏氏・梅原雅顕氏・山田光太郎氏によって得られた3次元双曲型空間の完備平坦フロントにおけるOsserman型不等式を応用することで,そのクラスの双曲的Gauss写像の除外値数について 幾何的意味を有する評価式を得ることができました。 本講演では,平坦フロントの基本的事実を確認しながらこの結果についてご紹介したいと思います。
日時 10月3日 (土) 15:30 ~17:30
講演者(所属) 村井紘子 (奈良女子大学理学部)
タイトル 結び目補空間上の葉層構造について
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 3次元多様体の弧状連結な2次元部分空間への分解を(余次元1の)葉層構造といいます. D.Gabaiにより, 三次元球面内の任意の結び目補空間にはよい性質をもつ葉層構造が存在することが知られており, 実際にsutured manifold理論を用いて葉層構造を構成することができます. 今回の講演では基本的な用語の定義から始め,具体的な結び目を用いてこの構成法を説明したいと思います.
日時 10月3日 (土) 13:00 ~15:00
講演者(所属) 鈴木咲衣 (京都大学数理解析研究所)
タイトル 結び目の量子不変量について
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 1984年にJonesによって絡み目の多項式不変量が発見されて以来,「量子不変量」という絡み目の不変量が多数構成されました. これらは量子群とよばれるリボンホップ代数とその有限次元表現を用いて定義される不変量です. 不変量構成の鍵はリボンホップ代数が備える「普遍R行列」です. この講演では,リボンホップ代数を用いて不変量が構成される様子を,Jones多項式を例に挙げながらゆっくりご紹介します.
日時 8月1日 (木) 15:30 ~16:30
講演者(所属) 岩切雅英 (大阪市立大学数学研究所)
タイトル 4次元空間内の曲面と曲面ブレイド
場所 大阪産業大学梅田サテライトレクチャールームB
アブストラクト 曲面ブレイド理論は、O. Viroにより導入され、S. Kamadaにより基礎的な理論が構築されました。現在では、4次元空間内の曲面を研究する上で重要なものになっています。今回は、曲面ブレイドについてmotion picture等を 用いて簡単に説明する予定です。
日時 8月1日 (土) 14:00~15:00
講演者(所属) 高尾和人 (大阪大学大学院理学研究科)
タイトル ヒーガード分解の既約性について
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 3次元多様体の2つのハンドル体への分解をヒーガード分解といいます.一般に閉3次元多様体には多くのヒーガード分解が存在しますが,その中には窮屈な分解の仕方もあれば無駄の多い分解の仕方もあります.この講演では ヒーガード分解の既約性に関する概念を中心に基礎的な事柄を説明し,それらの延長としてヒーガード分解のヘンペル距離に関する最近の研究を紹介したいと思います.
日時 7月18日 (土) 14:00 ~16:00
講演者(所属) 森本 和輝 (大阪市立大学大学院理学研究科M1)
タイトル ラングランズ予想入門
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 1994年にアンドリュー・ワイルズによってフェルマーの最終定理が解決されました。実際には、ワイルズは、現在ではラングランズ予想の一部と理解されている、谷山・志村予想の証明に取り組んだのです。 また、ラングランズ予想は、 20世紀の代数的整数論における最高峰、類体論の一般化と考えられ非可換類体論とも呼ばれています。 本講演では、初等整数論の問題から類体論、そして類体論からラングランズ予想へと至る道のりについてお話したいと考えています。
最終更新日: 2010年3月29日