院生談話会(2010年度)

院生談話会(言わば,院生の院生による院生のための談話会)を開催することになりました。
通常の談話会はレベルが高く,また,先生がいると萎縮して自由に質問ができないのではないかと思い, 出席者は院生のみにしました。 これを通して,院生同士の分野を越えた交流を深めていきたいと思います。

院生談話会運営委員:
D3 橋本要 (d08sa002(at)ex.media.osaka-cu.ac.jp)
M2 福川由貴子(m09sa024(at)ex.media.osaka-cu.ac.jp)
日時 3月16日(水) 10:00-11:30, 13:00-14:30
3月17日(木) 10:00-11:30, 13:00-14:30, 15:00-16:30
3月18日(金) 10:00-11:30, 13:00-14:30
講演者(所属) 田崎博之(筑波大学)
タイトル 対称空間入門 (第2回)
場所 16日(水) 第3セミナー室
17日(木),18日(金) 数学講究室 (3040)
アブストラクト 対称空間の構造を詳しく調べるために、対称空間の性質を等長変換群のLie環から構成される直交対称Lie代数の性質に帰着させます。直交対称Lie代数の性質を調べるためには、複素半単純Lie環の構造に関する情報が 重要になります。そこで、複素半単純Lie環のルート空間分解、分類、コンパクト実形等に関する準備を行います。直交対称Lie代数に複素半単純Lie環の結果を適用して、直交対称Lie代数さらに対称空間のコンパクト型・ 非コンパクト型・Euclid型の定義、分解、双対性、既約分解、分類などを扱います。
日時 2月4日(金)10:30~12:30
講演者(所属) 山中 仁(大阪市立大学)
タイトル Ringel-Hall代数について
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 「箙とLie環という異なるものが,表現論を通して結びつく」という現象が知られています. RingelによりLie環側の対象である量子展開環(の一部)が箙の表現圏から復元され, その際とられた手続きを, ある有限性をもつAbel圏に一般化して得られるものが, 現在Ringel-Hall代数と呼ばれているものです. 今回は多元環の定義からスタートして, Ringel-Hall代数とその周辺について紹介していきたいと思います.
日時 1月26日 (水) 13:30~15:30
講演者(所属) 辻 雄介,三浦 純(大阪市立大学大学院理学研究科数物系専攻M2)
タイトル 確率的ボラティリティモデル/時間的遅れを伴う確率モデル
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 古典的ブラック・ショールズの公式においては、幾何Brown運動$dS(t)=αS(t)dt+σS(t)dW(t)$により株価過程をモデル化したものを取り扱っている。
・ボラティリティσにランダムさを持たせたモデルについてお話しします。(辻)
・ここでは、係数関数α、σに過去の情報を組み込んだモデルについて触れていきたい。(三浦)
日時 12月3日(金)13:00~15:00
講演者(所属) 服部多恵(金沢大学、OCAMI兼任研究所員)
タイトル p-ディリクレ和有限関数と無限グラフのコンパクト化
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト
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無限グラフ上の有界関数の族に対しては、その元が連続的に拡張されるようなコンパクトハウスドルフ空間が存在することが知られています。 本講演では、p-ディリクレ和有限な有界関数の族に対するコンパクト化に注目し、 擬等長、quasimonomorphism、p-ディリクレ和有限写像を通じて、p-ディリクレ和有限関数の空間について調べた結果を紹介します。
日時 11月11日(木) 10:00-11:30 13:00-14:30 15:00-16:30
11月12日(金) 10:00-11:30 13:00-14:30 15:00-16:30
11月13日(土) 10:00-11:30
講演者(所属) 田崎博之(筑波大学)
タイトル 対称空間入門
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 各点で点対称を持つRiemann多様体はRiemann対称空間と呼ばれ、定曲率空間、射影空間やGrassmann多様体、コンパクトLie群などを含む基本的なRiemann多様体の族を与えています。 この講義では具体例を軸にしてRiemann対称空間の基本的な性質を解説します。 そのためにはLie群とLie環、Riemann多様体、Riemann等質空間などの基礎事項も必要になるので、これらに関する準備を最初に行います。
日時 7月20日 (火) 16:00~18:00
講演者(所属) 梅本悠莉子(大阪市立大学)
タイトル バナッハ・タルスキーのパラドックスと、その一般化
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト バナッハ・タルスキーのパラドックスとは、「3次元ユークリッド空間内の、内点をもつ任意の2つの部分集合を、それぞれ同数のピースに上手に分割すると、各ピースごとには合同にできる」という定理です。 これにより、たとえば1つのオレンジをうまく切って再び張り合せると、もとのオレンジと同じ大きさのオレンジが2つできるということになります。 本講演では、この“パラドックス”の仕組みと、この定理を他の空間に拡張するアイデアを述べます。
日時 6月29日 (火) 13:00~15:00
講演者(所属) 田中 清喜(大阪市立大学)
タイトル ベルグマン空間とその周辺
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 単位円板上の正則函数で二乗可積分である函数による集合をベルグマン空間という. 本公演では,ベルグマン空間の諸性質について紹介し,ベルグマン空間上の作用素の1つであるテプリッツ作用素についても述べたい.
日時 5月24日 (月) 15:00 ~17:00
講演者(所属) 吉脇 理雄(大阪市立大学)
タイトル Quiverの表現とAR理論
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 代数閉体$k$上の多元環(単に多元環と呼ぶ)とは$k$上のベクトル空間であって同じ加法で環になっているものであり、多元環の表現論とは(有限生成)加群のなす圏の構造を調べることである。 任意の基本多元環はあるQuiverから作られる道多元環の商多元環と同型となっていることがわかっている(Gabriel)。 このことから多元環の加群圏とある関係式付きQuiverの表現の圏との同値が得られ、多元環の加群を調べることと関係式付きQuiverの表現を調べることとは同じこととなる。
ところでKrull-Schmidtの定理より、任意の有限生成加群は直既約加群の有限個の直和になる。 よって、関係式付きQuiverの直既約な表現を計算することが目標となるが、それを可能にするのがAR理論である。 すなわち、直既約表現の同型類を点とするAR-quiverを計算することによって直既約表現が計算できるだけでなく、直既約加群同士の関係もわかるのである。
最終更新日: 2011年2月9日