院生談話会(2017年度)

院生談話会(言わば,院生の院生による院生のための談話会)を開催することになりました。
通常の談話会はレベルが高く,また,先生がいると萎縮して自由に質問ができないのではないかと思い, 出席者は院生のみにしました。 これを通して,院生同士の分野を越えた交流を深めていきたいと思います。

院生談話会運営委員:
D3 佐野 めぐみ(megumisano0609[AT]st.osaka-cu.ac.jp)
D3 須山 雄介(d15san0w03[AT]st.osaka-cu.ac.jp)
D3 塚本 真由(m13sa30m19[AT]st.osaka-cu.ac.jp)
D3 橋詰 雅斗(m.hashizume15[AT]gmail.com)
日時 2017年12月22日(金) 16:00~18:00
講演者(所属) 雪田友成(早稲田大学・D2)
タイトル 双曲コクセター多面体の増大度について
場所 大講究室(E408)
アブストラクト 双曲空間内の有限個の超平面に囲まれた内部を持つ凸閉集合Pを双曲多面体という. 特にファセット同士のなす角が2以上の整数mを用いてπ/mと表されるとき, 双曲コクセター多面体という. 双曲コクセター多面体Pのファセットに関する鏡映の全体Sにより生成される群Γを双曲コクセター群と呼ぶ. このとき, 生成系Sに関する語の増大度τをPの増大度という. 双曲コクセター多面体Pの増大度τは一般に1より大きい実代数的整数であることが知られている. そこで「双曲コクセター多面体の増大度はどのような実代数的整数となるか?」という問題を考える. 本発表では前半は可能な限り予備知識を仮定せずに双曲コクセター多面体について説明し, 後半で増大度について知られている結果と講演者が得た結果について説明する.
日時 2017年11月24日(金)14:00-16:00
講演者(所属) 米山泰祐(東京理科大学研究生)
タイトル 特殊なハミルトニアンを持つシュレディンガー方程式の解のストリッカーツ型評価
場所 中講究室(F415)
アブストラクト シュレディンガー方程式の解に対するストリッカーツ型評価を考える。 ストリッカーツ評価はストリッカーツ(1972)により提唱された時空間のノルム評価であり、非線形方程式の解析に重要な役割を果たしている不等式である。 ポテンシャルのないハミルトニアンや調和ポテンシャル、短距離型ポテンシャルのついたハミルトニアンに対しては様々な研 究がなされているが、本講演ではそれらでは扱うことが出来なかったハミルトニアンを持つ方程式の解に対してストリッカーツ型評価を与える。 尚、本研究は川本昌紀氏(東理大・理)との共同研究である。
日時 2017年7月31日(月)15:30--16:30, 16:45--17:45.
講演者(所属) 松井紘樹(名古屋大学・D2)
タイトル 可換環論における特異同値について
場所 中講究室(F415)
アブストラクト (可換)ネーター環Rに対して、その特異圏D_{sg}(R)は1980年代にBuchweitzにより導入されたもので、Verdier商D^b(modR)/K^b(proj R)で定義される。 特異圏は、自己入射的代数やGorenstein環の場合には安定圏との関係から表現論的な立場でよく調べられている他、近年ではOrlovらによりミラー対称性と関連して研究されている。 その名の通り特異圏とはRの特異性(正則環からの遠さ)を測るものであり、実際D_{sg}(R)=0となることとRが正則であることの同値性がAuslander-Buchsbaum-Serreの定理により分かる。 このように、特異圏は環の正則性についての情報を完全に含んでいる。 そこで、「特異圏はもとの環の情報をどれだけ持っているのか?」という自然な疑問が考えられる。 このことは以下のように言い換えられる:(可換)ネーター環R、Sに対して、いつD_{sg}(R)とD_{sg}(S)は三角同値か? このとき、RとSは特異同値であるという。 例えば、RとSが森田同値、または導来同値であれば、特異同値となることはよく知られている。 しかし、森田同値、導来同値な環についてはそれぞれ森田、Rickardによって完全な特徴付けが与えられている一方で、特異同値については未だ完全には分かっていない。 本講演では、可換環の特異圏論の基本からスタートし、特異同値の必要条件、十分条件(必要十分条件ではない)について解説する。
日時 2017年7月3日(月)16:30~18:00
講演者(所属) 濱田航平(大阪市立大学)
タイトル 向き付け不可能な極小曲面
場所 小講究室A(F404)
アブストラクト 面積の極小値や臨界点を与えるような曲面を極小曲面という. 3次元Euclid空間内の極小曲面は石鹸膜の数学的なモデルであり,古くから多くの学者により研究されてきた. 数学内外への応用も多く,研究課題として非常に重要な分野となっている. 本講演では,まず等温座標系やEnneper-Weierstrassの表現公式,Gauss写像などの基本的な極小曲面に関する定義や概念などを述べた後,Chern-Ossermanの不等式を紹介する. 最後に現在研究している向きつけ不可能な極小曲面について紹介したいと思います.
日時 2017年6月2日(金)16:30~18:00
講演者(所属) 森本真弘(大阪市立大学)
タイトル 横断的楕円型作用素と熱作用素
場所 小講究室A(F404)
アブストラクト コンパクトLie群$G$が作用している滑らかな多様体上の$G$不変微分作用素は, $G$軌道と直交する方向に楕円型であるとき横断的楕円型と呼ばれる.横断的楕円型作用素は, その固有関数を用いて$L^2$関数をFourier展開できるなど,ラプラシアンのような 楕円型作用素と共通する性質をもつ一方で,固有空間が無限次元となったり, 固有値が実数上稠密になったりと,それ自身興味深い性質をもつ.本講演では, まず楕円型作用素のスペクトル性質を復習し,その上で横断的楕円型作用素の スペクトル性質について述べる。最後にその応用として,横断的楕円型作用素の熱作用素を考察する.
最終更新日: 2017年12月4日