談話会(2002年度)

日時 1月29日(水) 17:30~16:30
講演者(所属) 納谷 信(名古屋大学)
タイトル 組合せ調和写像による超剛性へのアプローチ
場所 数学講究室 (3040)
日時 1月22日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 吉荒 聡(大阪教育大学)
タイトル p-部分群複体が大きく変形できるような素数 p
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 有限群の構造を説明するときに最も重要な素数とは何だろうか?標数 $p$ の体上定義されたリー型の群のばあい、それは $p$ であろう。この素数を取り出す方法の一つとして、各素数 $r$ に対して、$r$ 部分群の包含列のなす単体複体の有理係数ホモロジー群を調べるという手段がある。標数 $p$ のリー型の群の(ほぼすべての)場合、このホモロジーが消滅しない最大次元を $d(r)-1$ と書けば、$r\neq p$ ならば $r^{d(r)}=$ 基本可換 $r$-部分群の最大位数であり、$r=p$ ならば $d(r)=$ リー群としてのランクである。(Aschbacher-Smith, Solomon-Tits による。)つまり各素数 $r$ に対する上記のホモロジーが消滅しない次元の最大値$d(r)-1$ が小さくなるような素数 $r$ が、その群についての面白い素数とみなせるのである。これらの事実の紹介と、交代群・散在型の単純群についての結果の解説を行う。 including $O$-regularly varying monotonicity. Secondly, some mathematicians such as Leindler introduced " rest bounded variation" condition. We will not mind whether quasimonotonicity (including $O$-regularly varying quasimonotonicity) and the "rest bounded variation" condition can contain each other or not, but consider to essentially generalize both conditions (more generally, in complex sense).
日時 1月16日(木) 16:00~17:00
講演者(所属) Wee Teck Gan(Princeton University)
タイトル Fourier coefficients of modular forms on G_2
場所 数学講究室 (3040)
日時 1月16日(木) 14:00~15:00
講演者(所属) Brooks Roberts(University of Idaho)
タイトル The local Yoshida non-vanishing problem
場所 数学講究室 (3040)
日時 1月15日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 森本 真理(大阪市立大学大学院・理学研究科)
タイトル 単純入射性と零化条件
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 群環の一般化でもあるQF環(すなわち,RR,RRが入射的なアルティン環)は,多くの興味ある性質が知られており,色々な方面で用いられています。その中で,次の性質を考えます。

Rがアルティン環のとき,次は同値;
(a) QF環;
(b) RRが入射的;
(c) Rの任意の右イデアルと左イデアルが零化条件をみたす     (すなわち,右イデアルIに対して,I=rl(I); l(I)={x∈R| xI=0});
(d) 単純加群のR-dualが単純になる.

これらのいくつかは,R が片側ネータ環としても(同値性が)成り立ちます。  Harada によって導入された単純入射性が,Oshiro によって半準素環(アルチン環の有限性を弱めた環)で有効であることが示され,それらの方面で多くの研究がなされています。ここでは,上の同値条件が半準素環の時にどのようになるか考えたいと思います。そのために,上の(d)およびある種の条件の下で,単純入射性と零化条件の関係を与え,そして加群が入射的になる条件を単純入射性(あるいは零化条件)との関連で考察したいと思います。
日時 12月11日(水) 17:00~18:00
講演者(所属) 筱田 健一(上智大学・理工学部)
タイトル Gelfand-Graev 表現の Hecke 環 の 指標値について
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 有限簡約代数群のGelfand-Graev表現の自己準同型環(Hecke環)、$\mathcal H$、は標準基底とよばれる両側分解に対応する基底を有する。$\mathcal H$ の既約表現のこの基底上の値は Kloosterman 和など有限体上の指標和と密接な関係がある。このことを有限一般線型群の場合に具体的に述べ、その応用についても説明をする。
日時 12月11日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) Dmitriy Rumynin(Warwick University)
タイトル Representations of Lie algebras in positive characteristic
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト We will discuss representation theory of the Lie algebra of a simple algebraic group in positive characteristic. An irreducible representation admits a central character (of the centre of the universal enveloping algebra). We will discuss how representations with a fixed central charcter are related to geometry of a Springer fibre.
日時 12月4日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) A. Pilipenko(ウクライナ国立科学アカデミー)
タイトル Nonlinear transformations of smooth measures on infinite-dimensinal spaces
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト We investigate the properties of the image of a differentiable measure on an infinite-dimensional space under nonlinear transformations of the space. A general result concerning the absolute continuity of this image with respect to the initial measure is proved, formula for density similar to the Ramer-Kusuoka formula for the transformations of the Gaussian measure is obtained. We prove the absolute continuity of the image for classes of transformations that possess additional structural properties, namely, for transformations generated by a differential flow.
日時 11月27日(木) 15:30~16:30
講演者(所属) 足利 正(東北学院大学・工学部)
タイトル A remark on a local invariant of degenerations of Riemann surfaces
場所 数学講究室 (3040)
日時 11月13日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) Taras E. Panov(Moscow State University)
タイトル Combinatorial aspects of torus actions
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト We investigate some new relationships between torus actions on manifolds or more general spaces and combinatorial objects such as polytopes, simplicial complexes, cubical complexes, and subspace arrangements. The case of our particular concern is simplicial and cubical subdivisions of manifolds and, especially, spheres. The constructions allowing to study such combinatorial objects by means of commutative and homological algebra are described. This approach unifies commutative algebra methods brought into the combinatorics by Stanley and topological treatment of torus actions by Davis and Januszkiewicz and gives rise to the theory of moment-angle complexes, currently being developed by V.M.Buchstaber and the author, see [1]. The theory centres around a construction that assigns to each simplicial complex $K$ with $m$ vertices a $T^m$-space $Z_K$ with a special bigraded cellular decomposition. In this framework, the algebraic non-singular toric varieties arise as orbit spaces of maximal free actions of subtori on moment-angle complexes corresponding to simplicial spheres. Different combinatorial invariants of simplicial complexes and other related combinatorial-geometrical objects acquire a nice and surprisingly regular interpretation in terms of the bigraded cohomology rings of the corresponding moment-angle complexes. [1] V.M.Buchstaber and T.E.Panov. Torus actions, combinatorial topology and homology algebra, Russian Math. Surveys 55 (2000), no. 5, 825-921. Available at http://arXiv.org/abs/math.AT/0010073.
日時 11月6日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 藤井 道彦(京都大学・総合人間学部)
タイトル 3次元双曲多様体の変形について
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 3次元閉多様体 M から、その中の結び目 K を除いた開多様体 N:=M -K に双曲構造(いたるところでの断面曲率が -1 となる Riemann 計量のこと)が入っているとする。このとき、N の基本群 G から PSL(2,C) への群準同型 p(ホロノミー表現という)が定まる。3次元双曲多様体 N の変形とは、G から PSL(2,C) への群準同型全体を共役の作用で割ってできる Hom(G,PSL(2,C))/PSL(2,C) という代数多様体における [p] (p の共役類)の変形のことをいう。この講演では、3次元双曲開多様体 N の変形を考察する幾何学的な観点からの意義と、微小変形の場合には微小変形が Gauss の超幾何函数で具体的に表示できることを述べる。
日時 10月30日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 米田 薫(大阪府立大学・総合科学部)
タイトル フーリエ級数と三角級数
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト フーリエ級数、フーリエ変換(フーリエ解析)は1822年のフーリエ (Jean Baptiste Joseph Fourier:1768-1830) による熱伝導方程式の解法の研究、「熱の解析的理論」で正式にこの世に姿を現したとしてよいであろう。その後、フーリエ解析は幅広い応用に威力を発揮している。

ここでは話題をフーリエ級数と三角級数に絞り、これらの応用ではなく、それらの作る世界の構造の研究について、特に次の話題を中心に述べたい。

・フーリエ級数の収束問題。
・三角級数は何を表しているのか?
・三角級数の単一性 (Uniqueness)
日時 10月17日(木) 15:30~16:30
講演者(所属) Leon Petrosyan(St. Petersburg)
タイトル Cooperative stochastic games
場所 数学講究室 (3040)
日時 10月16日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 西村 保三
タイトル Small cover と多面体の彩色
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 実 n 次元多様体 M が“Small Cover”とは、群Z/2の n 直積が作用し、その軌道空間が単純凸多面体 P と同相なものである。その概念は、トーリック多様体の mod 2 簡約版といえるもので、Davis-Januszkiewicz によって提唱された。トーリック多様体は「扇」と呼ばれる組み合わせ論の対象で分類されることがよく知られているが、P 上の Small Cover については、P 上の“特性関数”と呼ばれる P の彩色で分類される。一方、多面体の彩色は、組み合わせ論で古くから研究されてきたテーマで有名な「四色問題」など、多くの深い研究がある。本講演では、Small Cover の幾何学的性質と、対応する彩色多面体の組み合わせ論的性質との関連性について論じる。
日時 9月25日(水)16:00~17:00
講演者(所属) Pascal Hubert(Marseille)
タイトル Piecewise translation mappings
場所 数学講究室 (3040)
日時 9月9日(水) 16:00~17:00
講演者(所属) S. Ferenczi(Luminy)
タイトル On generalized Sturmian words
場所 数学講究室 (3040)
日時 9月9日(水)17:00~18:00
講演者(所属) J. Cassaigne(Luminy)
タイトル On complexity of words
場所 数学講究室 (3040)
日時 7月17日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 盛田 健彦(広島大学)
タイトル Renormalized Rauzy inductions
場所 数学講究室 (3040)
日時 7月10日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 安井 幸則(大阪市立大学大学院・理学研究科)
タイトル Spin(7) metrics of cohomogeneity one
場所 数学講究室
アブストラクト 「M理論」と呼ばれる自然界の統一理論に内在するブレーン解(ソリトン解)について数理的な側面に焦点を絞り紹介したい。ブレーン解は、11次元時空中の拡がりを持つ量子論的に安定な”物体”の配位であり、低エネルギーでは11次元 Einstein 理論の厳密解として与えられる。本講演では、Spin(7)ホロノミー多様体を使った、ブレーン解の具体的な構成方法について説明する。
日時 7月10日(水) 14:00~15:00
講演者(所属) 小森 洋平(大阪市立大学大学院・理学研究科)
タイトル 平面領域の3次元双曲幾何
場所 数学講究室
アブストラクト リーマン球面を双曲3次元空間の境界と思うことにより、1変数複素関数論と3次元双曲幾何の相互理解がうまれました。複素平面内の単連結領域とその境界の双曲3次元空間での凸閉包を例に挙げて、双曲3次元空間という1次元自由度が増えた空間からみることによって、平面という2次元の狭い場所に押し込まれた領域の複雑さがほどける様子を談話会で紹介します。
日時 7月4日(木) 16:30~17:30
講演者(所属) Mario Eudave-Munoz (UNAM)
タイトル Examples of (1,1) knots
場所 第1セミナー室
日時 7月4日(木) 13:30~14:30
講演者(所属) 山下 靖 (奈良女子大学)
タイトル Configuration sapce of points on the circle and hyperbolic Dehn fillings
場所 数学講究室 (3040)
日時 7月1日(月) 16:30~17:30
講演者(所属) Rama Mishra (Indian Institute of Technology)
タイトル On polynomial representation of knot-types
場所 数学講究室 (3040)
日時 6月12日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 紙田 敦史(大阪市立大学大学院・理学研究科)
タイトル 可換放物型概均質ベクトル空間とそのb関数
場所 数学講究室
アブストラクト 概均質ベクトル空間とは開軌道をもつ代数群上の加群のことである. その中で可換放物型と呼ばれるものは単純 Lie 代数 g の中に実現することができる. 本講演では, 概均質ベクトル空間の基本的な理論を説明するとともに, 可換放物型概均質ベクトル空間のb関数の, g の既約表現を用いた表示を紹介する.
日時 6月3日(月) 16:45~17:45
講演者(所属) Steven Zucker (The Johns Hopkins University)
タイトル $L^p$-cohomology of locally-symmetric spaces
場所 数学講究室 (3040)
日時 5月22日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 長瀬 潤(大阪市立大学大学院・理学研究科)
タイトル Quiver の表現入門とWild 代数
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 「方程式の解」と言えば、何を思い浮かべるでしょうか。多くの人が思いつくのは、中学から学んできた連立方程式や多項式などの解だと思われますが、これらの方程式の解と言えば、実数や複素数などでしょうか。ここでは、(非可換な)多項式と、その解として行列を考えたいと思います。例えば、方程式 xy=0 を考えてみます。複素数を解として考えれば、x=0 または y=0 が解となりますが、2×2 行列を解と考えれば、他にも解が存在します。また、x を 2×3 行列、y を 3×2 行列として解を求めることも出来ます。このようにして行列を解として考えると、非可換な多項式、xy=2yx の自明でない解なども考えられます。Quiver(有向グラフ)の表現とは、Quiver から導かれる、非可換多項式(関係式)の行列解のことです。Quiver の表現に関して、Gabriel の定理があります。これは、ある Quiver の表現の同型類が有限個となるとき、 その Quiver の向きを忘れたグラフが Dynkin 型になり、その逆も正しいことを示しています。このことより、Dynkin 型でない場合は表現の同型類が無限個となりますが、その中でも、Euclid 型は tame と呼ばれ、無限個の表現を求めることが出来ます。そして Dynkin 型でも Euclid 型でもない場合には wild と呼ばれ、全ての表現を求めることは絶望的であるとされていますが、違う問題意識などから、興味ある対象として研究されています。時間があまれば、Wild 代数に関する話もさせて頂きたいと思います。
日時 5月17日(金) 14:00~15:00
講演者(所属) Rao Hui (Wuhan University)
タイトル Number systems and self-similar tilings
場所 第1セミナー室
日時 5月15日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 山本 寛(大阪市立大学大学院・理学研究科)
タイトル 写像類群の元の Nielsen-Thurston-Bers 型の分類
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 解析的有限型リーマン面 R の写像類群の任意の元 [w] は,Thurston の方法により,“可約”,“既約”の何れかに分類される.この Thurston による分類は,解析的な量を一切使わずに行われる.一方,w が向きを保つ場合,[w] は R のタイヒミュラー空間 T(R) のある自己双正則写像 (タイヒミュラーモジュラー群 Mod(R) の元) に自然に対応する.Mod(R) の元は,T(R) に於ける解析的な量であるタイヒミュラー距離を使って,“楕円型”,“放物型”,“双曲型”,“擬双曲型”の 4 種類に分類される.この分類を Bers による分類と呼ぶ.[w] に対するこれらの 2 つの分類法には,シンプルな対応のある事が知られている.一般に,[w] が与えられた時,その Thurston 型,Bers 型を判定する事は,その分類の定義から直ちに解る様な構成方法で [w] が与えられていない限り容易ではない.例えば,解析的有限型リーマン面 S から 1 点 p を除いて得られるリーマン面を R とし,p を基点とする S 上の任意の閉曲線を C とする.この C から,以下の様な素朴なアイデアにより,リーマン面 R の写像類群の元 [w] の例を作る事が出来る. ? R の自己同相写像 w は,S まで連続的に拡張したとき,点 p を固定し, ? S 上で恒等写像とイソトピックであり,かつ, ? そのイソトピーによる点 p の軌跡が丁度曲線 C となる. しかし,[w] がこの様な素朴な作り方をしたものであっても,その Thurston 型,Bers 型を定義だけから直ちに判定する事は難しい.本講演では,C の形を手がかりに,[w] の Thurston 型,Bers 型を判定する問題を考え,この方面の研究の基本となる Kra による結果を紹介する.また,S から除く点を 1 点から n 点に増やし,曲線 C を,S 上の n 紐のピュアブレイドに一般化して得られる判定問題について,最近得られた結果を述べる. 式や多項式などの解だと思われますが、これらの方程式の解と言えば、実数や複素数などでしょうか。ここでは、(非可換な)多項式と、その解として行列を考えたいと思います。例えば、方程式 xy=0 を考えてみます。複素数を解として考えれば、x=0 または y=0 が解となりますが、2×2 行列を解と考えれば、他にも解が存在します。また、x を 2×3 行列、y を 3×2 行列として解を求めることも出来ます。このようにして行列を解として考えると、非可換な多項式、xy=2yx の自明でない解なども考えられます。Quiver(有向グラフ)の表現とは、Quiver から導かれる、非可換多項式(関係式)の行列解のことです。Quiver の表現に関して、Gabriel の定理があります。これは、ある Quiver の表現の同型類が有限個となるとき、 その Quiver の向きを忘れたグラフが Dynkin 型になり、その逆も正しいことを示しています。このことより、Dynkin 型でない場合は表現の同型類が無限個となりますが、その中でも、Euclid 型は tame と呼ばれ、無限個の表現を求めることが出来ます。そして Dynkin 型でも Euclid 型でもない場合には wild と呼ばれ、全ての表現を求めることは絶望的であるとされていますが、違う問題意識などから、興味ある対象として研究されています。時間があまれば、Wild 代数に関する話もさせて頂きたいと思います。
日時 4月25日(水) 13:30~14:30
講演者(所属) 高村 茂(京都大学・数理研)
タイトル リーマン面の退化---構造安定性と分岐現象をめぐって
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト リーマン面の退化族の特異ファイバーを分裂させるような変形(分裂変形)は、メタファーとして特異ファイバーを「整数」、分裂変形を「因数分解」とみなすと、「同じ分裂を誘導するが、位相的には異なる分裂変形はどれくらいあるか?」という類数問題を生じる。この問題を考察すると、特異ファイバーの絵の書き方がどれくらいあるか?という問いに到達する。これは何やら「結び目理論」的理論が背景にあるのではということを示唆しているようで興味深い。また、変形のパラメータ空間を多変数化することにより、実特異点の変形(unfolding, Thom--Mather 理論)と哲学的に通底するような枠組が見えてくる。以上のようなトピックスを論じる。 備考:談話会では入門的なお話をして頂き、引き続き、同日 15:00 から行われる複素解析のセミナー(場所:数学講究室)で詳しいお話をして頂く予定です。
日時 4月24日(水) 15:30~16:30
講演者(所属) 古田 幹雄(東京大学大学院・数理科学研究科)
タイトル 同変 e 不変量 と Seiberg-Witten 写像
場所 数学講究室 (3040)
アブストラクト 戸田,Adams によって定義された e不変量は,球面の安定ホモトピー群から $Q/Z$ への準同型である.球面の安定ホモトピー群の要素は,ふたつの有限次元実ベクトル空間 $V,W$ に対して,$V$ 内の球面 $S(V)$ から $W$ の一点コンパクト化 $W_+$ への連続写像によって代表される.定数写像に対して e不変量の値は 0 である. $V,W$ があるコンパクト Lie 群 $G$ の表現空間であるときにこの構成を拡張することができる.$0 \in W_+$ に値をとる定数写像の e 不変量は $0$ であるが,$\infty \in W_+$ に値をとる定数写像の e 不変量の値は必ずしも $0$ でない. この構成は,さらに $V,W$ がある空間の上の $G$ 同変ベクトル束である場合にも拡張される. 本講演では,$G$ が無限次元の "Lie 群" であり,$V,W$が無限次元の表現空間(あるいは階数無限大の $G$ 同変ベクトル束)である場合にも,ある種の Fredholm 性の仮定のもとで,上の構成を適用する.Dirac 作用素と関連する設定の場合には,この e不変量は,指数定理を援用して具体的に計算可能である. 一方,Seiberg-Witten 方程式と関係した設定のもとで, 無限次元空間に対する e不変量の消滅が示される.上に述べたように e不変量は具体的に計算可能なので,これを利用して4次元多様体に関する幾何学的な帰結を導くことができる. 10/8定理を導く議論を上のように定式化することによって,10/8定理を拡張できることを説明したい.
最終更新日: 2015年11月24日