談話会(2013年度)

日時 1月15日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 斉藤 義久(東京大学大学院数理科学研究科)
タイトル 量子座標環の表現論
場所 数学大講究室(共通研究棟301)
アブストラクト 現在``量子群''と呼ばれている概念には,2つの異なる意味がある. (1) リー環の普遍包絡環のq-変形である量子包絡環. (2) リー群の座標環のq-変形である量子座標環.古典的な場合がそうであるように,両者は双対の関係にある.前者の表現論は古典的な普遍包絡環の表現論のq-変形として自然に理解出来る.他方,後者の場合,古典的な群の表現論に対応するのは,量子座標環の余加群の理論となる.実際,このような立場から古くから知られていたq-特殊関数が,量子対称空間上の球関数として統一的に理解されるなど,多くの成果が得られている. したがって,量子座標環に対してその加群を考えることは,古典的な意味での群の表現論とは直接にはつながりを持たず,(Soibelmanらの一部の研究を除いては)これまであまり詳しく 調べられて来なかった.ところが近年,(a) 3次元格子模型との関係が明らかになる,(b) 量子包絡環のPBW基底との関係が明らかになる等,状況は変わりつつある.本講演では, 国場・尾角・山田によって指摘された(b)の関係を中心に,量子座標環の表現論と量子包絡環との関係についてお話したい.
日時 12月4日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 北野 晃朗(創価大学)
タイトル 結び目群の表現の変形の障害としてのAlexander多項式
場所 数学講究室 (共通研究棟301
アブストラクト Alexander多項式は様々な観点からの定義がある。そしてそれぞれの定義からさまざまな性質が導かれる。その中に、de Rhamによる結び目群のabel表現の変形の障害としての定義がある。Alexander多項式は表現付きの不変量としてLin, 和田らによってねじれAlexander多項式に精密化された。あまり知られていないが、和田による定義の背景は表現の変形である。 これらについて紹介し、その応用として結び目群の有限体上の線型表現の構成について述べる。
日時 11月28日(金) 16:30~17:30
講演者(所属) William Kantor (University of Oregon)
タイトル Short presentations of finite simple groups
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト Group presentations somewhat started with Hamilton. I'll review 19th century history before getting to a recent result: almost all finite simple groups have presentations requiring surprisingly few relations (with Guralnick, Kassabov and Lubotzky). For example, all alternating (and symmetric) groups have presentations using only 3 generators and 7 relations. The proofs are relatively elementary but too long for more than a few small hints. 
日時 11月27日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 秋吉 宏尚(大阪市立大学)
タイトル 3次元錐双曲構造の具体的構成
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト 1980年代前後にJorgensenに・謔闕\築された穴あきトーラス擬フックス群のフォード領域の組み合わせ構造に関する理論は,後のKlein群論の発展の礎の一つとなった.それらを3次元錐双曲構造の変形理論へと一般化したい.本講演では,結び目理論,3次元多様体論の観点からの動機づけなどを解説し,Jorgensen理論における穴あきトーラスの代わりに錐特異点付きトーラスを用いることで,3次元錐双曲構造を組織的に構成する方法を紹介する.
日時 10月30日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 源 泰幸(大阪府立大学理学系研究科)
タイトル 導来二重双対のホモトピー極限による記述
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト 「代数幾何学における重要な概・Oは導来圏の言・tを用いて定式化出来るだろう。」というのは所謂、導来圏論的代数幾何学のスローガンの一つで、これが単なる作業仮説に留まるのか、数学的実態を持つに至るのかは兎も角、コンセヴィッチは「完備化(という代数幾何の概念)は導来二重可換子環(導来圏における操作)で得られるだろう。」と・\言し、これはエフィモフにより示されました。 しかし、コンセヴィッチが予言するより早くドワイヤー-グリーンリース-アイエンガーにより、これに関する結果が得られていました。 今回は、導来二重可換子環に対する簡単な公式から、上述の定理が見通し良く証明出来る事を紹介したいと思います。 より一般に、導来二重可換子環を含む導来二重双対に関する公式が得られ、これは森田理論と同様に環論の皮を被った圏論の定理であり様々な応用が期待できます。 実際に、完備化に関する定理以外の帰結もある事もお話し出来ると思います。
日時 10月30日(水) 15:00~16:00
講演者(所属) 吉脇 理雄(大阪市立大学数学研究所)
タイトル 三角圏の次元と多元環の表現論
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト Rouquierによって導入された三角圏の次元はある一つの対象から元の三角圏を構成するために,有限直和の直和因子及びシフト,三角による拡大という操作を最低何回行う必要があるかを測る不変量である.多元環の表現論に・ィいては,導来圏および安定導来圏の三角圏としての次元がよく知られた大域次元や表現次元と密接な関係があり,興味深い.本講演においては,最近の結果(arXiv:1204.6421)を交えながら,その関係について解説する.
日時 7月17日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 鎌田 聖一(大阪市立大学)
タイトル カンドル代数と結び目理論
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト カンドルは3つの条件(カンドル公理)を満たす2項演算を伴う集合である。その条件は,結び目理論におけるライデマイスター変形と呼ばれる3つの基本変形に対応している。カンドルにはその付随群と呼ばれる群が定義され,またホモロジー群 も定義される。これらは結び目の可逆性やカイラリティの問題に有効に用いられている。本講演は,これらの基礎的概念について,どのように登場したかに視点を置いて解説する。
日時 6月19日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 朱 剣峰(華僑大学数学科学学院)
タイトル Some criteria for quasiconformality and Landau-Bloch constants of harmonic mappings in the unit disk
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト 講演アブストラクトはこちら(pdf file, 2.48 MB)
日時 6月12日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 相川 弘明(北海道大学大学院理学研究院)
タイトル Intrinsic ultracontractivity and the boundary Harnack principle --- A unified approach with capacitary width
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト We study intrinsic ultracontractivity for the semigroup associated with Dirichlet heat kernel. We give a sharp sufficient condition for intrinsic ultracontractivity, valid for arbitrary domains, in terms of capacitary width of sublevel sets of the Green function and the ground state. This condition, together with the Harnack inequality, yields sufficient conditions for intrinsic ultracontractivity of nonsmooth domains. Our approach employs a parabolic box argument, a counterpart of the box argument for the boundary Harnack principle. It enables us to treat intrinsic ultracontractivity and the boundary Harnack principle in parallel.
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日時 5月8日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 尾角 正人(大阪市立大学)
タイトル 箱玉系とKKR写像
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト 箱玉系とは1990年に高橋・薩摩によって導入された"超"離散非線形力学系であり、無限個の独立な保存量をもつことが知られている。一方でKKR写像とは Kerov-Kirillov-Reshetikhin が1986年に現在ではフェルミ公式と呼ばれている等式を証明するために導入した、ある組合せ論的なアルゴリズムで定義される写像のことである。講演では、一見箱玉系とは何の関係もなさそうなKKR写像が箱玉系の時間発展を線形化していることを説明する。さらにこの関係が、アフィン量子群の表現論の言葉を用いること・ノより一般化されることを示す。
最終更新日: 2015年11月24日