談話会(2014年度)

日時 3月18日(水) 16:00~17:00
講演者(所属) 佐官 謙一 (大阪市立大学大学院理学研究科)
タイトル 最近研究してきたことの略説と雑話   ― 恙無くこの日を迎えることが出来て ―
場所 数学大講究室(理学部棟E408)
日時 1月14日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 山田 裕理 (一橋大学)
タイトル Parafermion vertex operator algebras
場所 数学大講究室(理学部棟E408)
アブストラクト 有限次元単純リー代数\(\mathfrak{g}\)に付随するアフィンリー代数\(\widehat{\mathfrak{g}}\)の可積分表現
\(L_{\widehat{\mathfrak{g}}}(k,0)\),すなわちレベルが正整数\(k\)の最高ウエイト\( 0\)の既約最高ウエイト表現を考える.
リー代数\( \mathfrak{g}\)のCartan部分代数から生成される\(L_{\widehat{\mathfrak{g}}}(k,0)\)の部分頂点作用素代数はHeisenberg頂点作用素代数であるが,これによるコミュタント\(K(\mathfrak{g},k)\)をパラフェルミオン頂点作用素代数と呼ぶ.
パラフェルミオン頂点作用素代数は,1980年代から数学および物理学において研究されてきたが,近年その生成元,特異ベクトルなどの基本的な構造が解明され,有理性,\(C_2\)余有限性などの性質が得られるとともに,既約表現の分類が完成した.
本講演では,最も基本的な\( \mathfrak{g} = \mathfrak{sl}_2\)の場合を中心に, パラフェルミオン頂点作用素代数の最近の研究成果を報告する.
日時 11月28日(金) 16:30~17:30
講演者(所属) 浅芝 秀人 (静岡大学大学院理学研究科)
タイトル Gluing derived equivalences together with bimodules
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト 可換環\( \Bbbk\)と小圏 \( I\) (\( I_0, I_1\)で\( I\)の対象のクラス,射のクラスを表す)を固定する。 \( \Bbbk\)-小圏全体を対象とし,それらの上の両側加群を1-射とし,両側加群の間の準同型を2-射とする bicategory \( \Bbbk\)-Cat\(^b\) を考える(もう少し詳しく,\( \Bbbk\)-小圏 C から D への1-射はD-C-両側加群\( _{D} M_{C}\)で与え,合成 C\( \rightarrow\)D\( \rightarrow\)EはD上のテンソル積で与える)。 Lax functor \( X: I\rightarrow\)\( \Bbbk\)-Cat\( ^b\) に対して,一般化された Grothendieck construction Gr\( (X)\)を定義する。これにより,\( \Bbbk\)-小圏 \( X(i)\) (\( i\) in \( I_0\)) を両側加群 \( X(a)\) (\( a\) in \(I_1\)) でつなぎ合わせて新しい \( \Bbbk\)-小圏 Gr\( (X)\) が構成される。特別な例として,この構成は三角行列多元環や\( \Bbbk\)-speciesのテンソル多元環を与える。 さらに,\( X\) の"加群圏" Mod \( X\) や \( X\) の"導来加群圏" \( \mathcal{D}(\)Mod\( X)\) も\( I\) からのlax functorとして自然に定義し,これを用いて lax functors \( X, X': I\rightarrow\)\( \Bbbk\)-Cat\( ^b\) の間に導来同値を定義する。\( \Bbbk\)が体のとき,\( X\) と \( X'\) が導来同値であれば,\( X(i)\) と \(X'(i)\) (\( i\) in \( I_0\) ) の間の導来同値を両側加群 \(X(a), X'(a)\) (\( a\) in \( I_1\)) で貼り合わせることにより Grothendieck constructions Gr\( (X)\) と Gr\( (X')\) の間の導来同値を構成することができる。
日時 10月1日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 黒川 信重(東京工業大学理学部)
タイトル How to find invariant measures for continued fraction maps
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト 三角関数は高校生から学習する最も基礎的な関数として有名である。一方、ゼータ関数は、容易でない関数族として知られている。ところが、ここ10年ほど、絶対ゼータ関数というものが研究され(それは1元体というものとも結びついている)、 三角関数やそれを一般化した多重三角関数などもゼータ関数の一つとみなすのが自然であるという見方が強くなってきた。本講演では、この辺の事情を簡単に紹介したい。
日時 8月4日(月) 16:30~17:30
講演者(所属) Geordie Williamson (Max Planck Institute)
タイトル How to find invariant measures for continued fraction maps
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト Representation theory is a powerful tool. Often one can translate difficult questions (e.g. studying actions of Lie groups of manifolds or understanding rational points on elliptic curves) into questions in representation theory, where one has many techniques at one's disposal. My talk will focus on modular representation theory. This is a beautiful theory with many unsolved problems. I will explain the basics of Lusztig's conjecture on the simple characters of finite groups of Lie type, and state recent work giving counter-examples for many "small" prime numbers. I will not assume any background in representation theory or algebraic geometry.
日時 7月30日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 石川 保志 (愛媛大学大学院理工学研究科)
タイトル Analysis on the Wiener-Poisson space and its application to Ito type SDE
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト Wiener-Poisson空間上の確率変数について、超関数との合成、および、この変数が確率微分方程式の解として現れる場合の密度関数の存在のための条件について話します。また、この確率変数が小パラメータに依存する場合に、超関数との合成として得られる確率変数の漸近展開とその応用の話題についても触れます。
日時 7月16日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 成瀬 弘 (岡山大学教育学部)
タイトル ヘッケ環とシューベルト・カルキュラス
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト ヘッケ環とシューベルト・カルキュラスの関係については Lascoux-Leclerc-Thibonの仕事などが有名であるが、\( p\)-進代数群の表現との 関係においても最近研究が進んできていて、Brubaker-Bump-Licataの結果な どがある。ここでは、Casselman基底に関するBump-Nakasujiの予想についてシューベルト・カルキュラスの視点からのアプローチを試みた結果の報告をする。現時点では、依然として予想であるがより一般的な予想となり本質的な定式化に近づいたものと思われる。中筋麻貴氏との共同研究に基づく。
日時 5月21日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 宮地 兵衛(大阪市立大学大学院理学研究科)
タイトル 対称群の表現論
場所 数学講究室 (共通研究棟301)
アブストラクト 対称群の表現論は, 有限群の表現論に属するもので, 非常に具体的かつ詳細な理論が展開される. 対称群\( \mathfrak{S}_n\)の表現論は, 単に\( \mathfrak{S}_n\)一つを考えるのではなく,
\( \mathfrak{S}_1⊂\mathfrak{S}_2⊂・・・⊂\mathfrak{S}_n⊂\mathfrak{S}_{n+1}⊂・・・ \)
と群の自然な包含に関する列を考え, すべて一体なものとして取り扱う. とりわけこの部分群の列に関する表現の誘導や制限を考えることは基本的で, 前世紀までにたくさんのことが知られている.
対称群の表現論はFrobeniusやSchurにより開始され, 表現論全体の幕開けと同時期のクラシック分野でもあるが, 90年代前半以降ある意味大きく”近代化”した. Lascoux-Leclerc-Thibon-有木理論, Categorificationの潮流である. 簡単に言うと対称群の表現論において先に考えた制限関手, 誘導関手を見つめると, そこに無限次元Lie代数の表現の構造が現れていて, Lie代数の可積分表現の理論と交錯することにより双方高め合う面白い現象に注目するということである. とりわけ対称群の正標数\( p>0\)の体上の表現を考えると, 特殊線形Lie代数の\( \mathfrak{sl}_p \) のaffine Lie代数\( \widehat{\mathfrak{sl}}_p \)の最も基本的な表現が現れているのである.
この談話会では, そのあたりの雰囲気をなるべく初学者に伝わるように努めて話したいと思っている.
最終更新日: 2015年11月24日