談話会(2018年度)

日時 2019年2月20日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 竹内 敦司(大阪市立大学)
タイトル ホークス過程に対する確率解析
場所 数学大講究室(理学部棟E408)
概要 右連続かつ左極限を持つような見本関数を持つジャンプ型確率過程は、 金融モデルにおいて、様々な要因が影響して価格が急激に変化する様子を記述するなど、身近にごく普通に登場する.ホークス過程とは、過去 の情報に依存した自己励起性を持った点過程である.この講演では、最近、 A. Kohatsu-Higa氏(立命館大)と共同で進めているマリアヴァン解析の立場から、ホークス過程に対する部分積分公式および関連する結果について紹介する.
日時 2018年11月28日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 河村 建吾(大阪市立大学数学研究所)
タイトル 曲面結び目とその図式について
場所 数学大講究室(理学部棟E408)
概要 曲面結び目とは4次元空間内の連結閉曲面のことであり,3次元空間内の連結閉曲線としての結び目の高次元化となっている. 結び目理論では,結び目を2次元平面へ射影した像に上下の情報を加えた図式を用いることが標準的である. 曲面結び目理論では,曲面結び目を3次元空間へ射影した像に上下の情報を加えた図式を用いる研究手法が1990年代後半から発展してきた. 本講演では,曲面結び目図式と結び目図式の間にある類似点や相違点を紹介する.また,曲面結び目の3重点数に関する講演者の最近の結果にも触れる.
日時 2018年10月17日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 田丸 博士(大阪市立大学)
タイトル Symmetric spaces, submanifold geometry, and left-invariant metrics.
場所 数学大講究室(理学部棟E408)
概要 与えられた多様体が良い幾何構造を許容するかどうかを判定することは, 幾何学における重要な問題意識である. このような問題のリー群版として, 与えられたリー群が良い左不変リーマン計量を許容するかどうかを判定する問題があり, 近年活発に研究されている. 我々は, この問題に対して, 対称空間内の部分多様体の見地から取り組む枠組みを提唱し, いくつかの結果を得ている. 本講演では, 上記の枠組みに加えて, さらに対称空間内の部分多様体や Einstein 可解多様体に関する以前の結果も交えて, 我々の研究の概観を紹介したい.
日時 2018年9月12日(水) 16:00~17:00
(開始の時刻が、通常より30分早くなっております)
講演者(所属) 中村 拓司(大阪電通大学)
タイトル 結び目およびその一般化に対する局所変形について
場所 数学大講究室(理学部棟E408)
概要 3次元球面内の結び目を2次元球面に横断的な2重点を持つように射影し,
その射影図に交差の上下の情報を加えたものを結び目ダイアグラムという. 結び目ダイアグラムの一部分を部分的に取り替える操作を結び目の局所変形という. 局所変形を一つ固定したとき,その変形で結び目の幾何的・代数的性質がどれほど変わるか,その変形は結び目をほどく変形かなどの観点は結び目理論で重要な役割を果たしてきている.
また,結び目の一般化として,結び目ダイアグラムの通常の交点に加え仮想的な交点も許した仮想結び目図式を持つ仮想結び目などがあり,近年活発に研究されている.本講演では通常 の結び目に対する局所変形をいくつか導入し,それらが一般化された結び目の世界ではどのような振る舞いをするかなどを紹介する.
日時 2018年7月4日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 跡部 発(東京大学数理科学研究科)
タイトル 保型表現におけるRamanujan予想と様々なリフティング
場所 数学大講究室(理学部棟E408)
概要 保型形式・保型表現は現代の整数論に欠かせない重要な道具である.Deligneによって証明されたRamanujan予想は、GL(2)の正則カスプ保型表現を扱う上で重要な結果である。 一方で、より高いランクの群では、Ramanujan予想と同じ主張は成り立たない。これには、斎藤・黒川リフトやDuke-Imamoglu-Ibukiyama-Ikedaリフトなどの反例がある。 本講演では保型表現論の視点から、これらのリフティングを解説する。
日時 2018年6月6日(水) 16:30~17:30
講演者(所属) 菱田俊明(名古屋大学多元数理科学研究科)
タイトル 運動する2次元物体の外部での定常 Navier-Stokes流の減衰構造
場所 数学大講究室(理学部棟E408)
概要 2次元外部領域での Navier-Stokes方程式の定常問題は、3次元に 比べて格段に難しいことが知られているが、その論点は空間無限遠での 漸近挙動である。障害物が静止している場合の最大の困難は、 いわゆる Stokesの paradoxであり、線型化の手法が働かない。 本講演では、剛体の障害物が運動(並進、回転)すると、このparadox が解消される機構を明らかにし、その運動状態に応じた流れの形が 見えてくることを概説する。それを見るために、流れの空間無限遠での 漸近展開の leading profileとその係数に着目する。
最終更新日: 2019年2月5日