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1. 何を研究しているか
昼と夜は一日に一回そして、季節は一年に一回めぐってきます。この昼夜の変化、季節の変化に伴って温度や湿度といった非
生物学的な環境要因、そして生物学的な環境も変動します。変動する環境を生き延びて遺伝子を残すため、地球上にすむほとんどの生物はこれらの変化にうまく
対応しています。ではどうやっているのでしょうか?
私たちは、動物が日周変動、季節変動に対応しているしくみを、個体・細胞・遺伝子のさまざまなレベルで解析し、その全体像を明らかにしようとしていま
す。研究対象とする動物は、これまでハエ、カメムシ、ハチなどの昆虫を中心としてきましたが、甲殻類のアジアカブトエビや軟体動物のヨーロッパモノアラガ
イ、蛛形類のナミハダニも対象として比較生理学的に解析しています。なお、私たちの研究内容を知るには、下記の出版物が参考になります
○「環境Eco選書9 昆虫の時計―分子から野外まで-」(沼田英治編)北隆館。ISBN
978-4-8326-0759-0
○「生物時計の生態学―リズムを刻む生物の世界」(種生物学会編)文一総合出版。ISBN978-4829962060
2. 「動物の環境適応機構の解明」に向けて
「動物の環境適応機構の解明」という目的にむかって、研究および大学院教育にあたっています。
教授 後藤慎介 北海道大学大学院地球環境科学研究科修了
動物生理学分野
准教授 渕側太郎 京都大学大学院理学研究科修了
行動生理生態学分野
3. さまざまな方面に優れた研究者が巣立っています
大阪市立大学大学院理学研究科に大学院修士課程(現在の前期博士課程)が設置されたのは全国の大学院の中でも古く昭和
28年のことで、その翌年には博士号の取得をめざす後期博士課程が設置されました。それ以来、さまざまな興味をもった多数の大学院生を受け入れ、国公立研
究機関・教員・企業の研究職など幅広い分野に輩出してきました。当研究分野の前期博士課程修了者の近年の就職先は,
4. 全国の大学から入学した先輩がいます
生物地球系専攻のうち生物学関係の3講座には、ここ数年の間に青森県から沖縄県までの国公私立大学の、理学部をはじめと するさまざまな学部の出身者が入学しています。当研究分野には、これまでに大阪市立大学理学部・和歌山大学教育学部・宮崎大学農学部・日本大学生物資源科 学部・近畿大学生物理工学部・岡山理科大学理学部・京都工芸繊維大学繊維学部・神戸大学農学部・関西大学化学生命工学部からの入学者がいます。
5. 入学試験は決して難しくありません
前期博士課程の推薦入学特別選抜の入学試験(7月実施)は専門分野の口述試験のみです.一般選抜の入学試験(9月実施)を受験するには,あらかじめTOEIC Listening & Reading Test を受験し公式認定証(原本)を入手しておく必要があります.これに加えて,専門分野の筆答試験と口述試験が行われます。筆答 試験では、生物学の基本的な知識と考え方が要求されます。特定の分野の専門家だけにしかわからないような専門的な知識は要求されていません。一方、後期博士課程の入学試験では,本人の研究成果の発表及び関連する専門的事項に関する口述試験が行われます.
6. 最近の研究課題
過去3年間の博士論文、修士論文の課題は以下のとおりです。
2020年度
修士論文
・The effect of temperature on the acceleration of the ontogeny of circadian rhythms in young worker honey bees Apis mellifera (セイヨウミツバチの若齢ワーカーにおける概日リズム発生促進への温度の影響)
2019年度
修士論文
・Laboratory rearing of the Antarctic midge, Belgica antarctica: embryonic and larval development and induction of pupation and adult emergence (ナンキョクユスリカの飼育:胚と幼虫の発育と蛹化・羽化の誘導)
2018年度
博士論文
・Molecular dissection of the photoperiodic and maternal induction of diapause in the jewel wasp, Nasonia vitripennis (キョウソヤドリコバチ休眠の光周誘導および母性誘導の分子生物学的解析)
修士論文
・Structure determination of juvenile hormone and its biological activities in the cabbage bug, Eurydema rugosa (ナガメにおける幼若ホルモンの構造決定とその生理活性)