最終更新日 2017. 5.18
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教授 田中 俊雄

(e-mail tanakato@)

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sci.osaka-cu.ac.jpをつなげて下さい。

研究テーマ:

「抗菌活性を増幅するヘルパー分子の探索とヘルパー依存性抗菌作用のメカニズムの解明」
「抗酵母活性・抗ガン活性を有する脂質誘導体の合成およびその作用機構の解析」
「γ-ポリグルタミン酸に多機能性を賦与することを目的とする非天然型バイオポリマーへの変換」最下段参照

  研究テーマ紹介:
「抗菌活性を増幅するヘルパー分子の探索とヘルパー依存性抗菌作用のメカニズムの解明」

 すでに臨床で使用されている抗生物質の中にも、いまだ知られざる抗菌活性が潜んでいる事実が明らかになってきました。安全性の担保された既存の抗生物質の潜在活性を引出し、増幅してくれる言わばヘルパー分子とも言うべき分子の役割に注目しています。

 アンホテリシンB (AmB) は臨床で使用される数少ない抗真菌性抗生物質の一つです。その作用は真菌細胞膜のエルゴステロールと結合して細胞膜に穴をあけ、細胞内のカリウムイオンなどを細胞外に漏出させる、いわゆる細胞膜障害によるものです。動物細胞のコレステロールとはほとんど結合しないため、選択的な抗真菌作用を発揮します。しかし、腎障害などの副作用があるため、その投与には種々の改善が求められています。最近の研究でニンニクの薬効成分であるアリシンにAmBの抗真菌作用を著しく増幅する効果が見いだされました。しかも、アリシンはAmBの細胞膜障害作用を強めるのではなく、これまで知られていなかったAmBの真菌液胞膜に対する破壊作用を引き出していることが明らかになりました。動物細胞には無い液胞への作用が新たな抗真菌剤の開発の糸口になるのではと期待しています。一方、アリシンのようなヘルパー分子が他にもどんどん見つかる可能性があります。ヘルパー分子を食品などの成分中に検索するとともに、ヘルパー依存性の抗菌活性の発現機構を明らかにしょうとしています。

「抗酵母活性・抗ガン活性を有する脂質誘導体の合成およびその作用機構の解析」

生体分子にはそれぞれ固有の機能や活性が備わっています。一方、異なる活性を有する生体分子同士が結合してできるハイブリッド分子にはこれまでに知られていないユニークな生理活性が派生する可能性があります。ヌクレオチドや脂質などの生体分子をもとにハイブリッド分子を合成するとともに、これらの中にユニークな抗酵母作用・抗ガン作用ならびに生体機能改善作用を発揮する活性成分を見いだそうとしています。


 AMPやUMPを始めとするヌクレオチドは、単に核酸やATPの構成成分というだけではなく、種々代謝調節因子の成分としても重要な機能を果たしています。ヌクレオチドやその類縁化合物に単に脂質分子を結合させることで、強力な抗菌剤や抗ガン剤に変身させたり、細胞の分化や接着性などを制御するユニークな生理活性分子へと変身させることが可能です。"第3の生物"などとして何かと話題になっている"古細菌"は、摂氏100度を越す極限環境で生育したり、水素と炭酸ガスをメタンガスに変えてATPを合成する不思議な生物の集団です。古細菌の細胞膜脂質は分岐構造を有するイソプレノイドを成分としています。このイソプレノイド、真核生物においては情報伝達分子であるG蛋白質の活性調節に欠かせません。イソプレノイドの一種であるファルネソールをピリジン環のチッ素の部分に結合させると、強力な抗ガン剤に変身します。この誘導体(FPy)はガン細胞をアポトーシス、すなわち遺伝子内にプログラムされた「自殺」へと追いやることが判りました。その方法は実にユニークです。通常、死細胞は壊れてバラバラになりますが、この誘導体、血球細胞がガン化する原因をつくった遺伝子DNAを含む核だけをみごとに壊しています。

出芽酵母に対するファルネソールの作用
未処理細胞
ファルネソール処理細胞
未染色
活性酸素の検出
未染色
活性酸素の検出
ヒト白血病細胞に対するFPyの作用
未処理細胞
FPy処理細胞
未染色
核染色
未染色
核染色

 FPyの酵母に対する作用はさらにユニークです。FPyは分裂酵母の細胞壁多糖合成には影響を与えないものの、不定形の細胞壁マトリクスを桿菌形態に整形する過程を特異的に阻害しているようです。自分自身の「形」を作ることこそ生物に固有の能力と言えます。FPyを用いて生物の「形」つくりのメカニズムを明らかにすることができるかも知れません。

准教授 藤田 憲一

(e-mail kfujita@)

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研究テーマ:
「薬剤耐性機構を標的とする生理活性物質」
「糸状菌(カビ)の菌糸において形態異常を誘発する生理活性物質」
「アスペルギルス属の糸状菌におけるチューブリン代謝とその異常が形態形成へ及ぼす影響」
「抗真菌剤UK-2Aの構造活性相関」
「γ-ポリグルタミン酸に多機能性を賦与することを目的とする非天然型バイオポリマーへの変換」最下段参照

研究テーマ紹介:

「糸状菌(カビ)の菌糸において形態異常を誘発する生理活性物質」

 高齢、臓器移植後の免疫抑制剤の投与、AIDSなどによって免疫力が低下する場合、酵母やカビによる日和見感染が起きること(真菌症)があります。これらの感染症は、現在、増加していますが、治療に使える抗真菌性抗生物質の数は限定されています。真菌が人と同じ真核生物に属しているため、薬のターゲットも限られています。従って、抗真菌性抗生物質の開発は困難を極めており、新たなターゲットを持つ抗真菌剤の探索が日夜続けられています。

 糸状菌には生育条件によっては酵母型、糸状型などの形態を示すものがあります。例えば、カンジダ菌は2形性酵母と言われ、培養条件によってその形態は異なっています。酵母型の細胞が出芽によって増殖したり、一方、糸状菌型の菌糸が伸張・分岐成長したりします。この菌は血清中では糸状菌型の形態で生育し、この形態のときだけ、病原性を示すことが知られています。このような人にはなく糸状菌に特有の形態形成機構をターゲットとし、最終的には病原性をコントロールするような生理活性物質を広く天然資源より検索しています。このような物質のターゲットとして、従来、細胞壁の生合成・維持系や、細胞の形自体を維持している細胞骨格系などが報告されています。特に細胞壁は人に存在しません。このような真菌に特有の構造体やその合成・代謝系に選択的に作用する物質は、実際に真菌症の治療に応用されうる可能性を秘めています。本研究は応用研究ですが、得られた物質が形態異常を誘導する機構をひも解くことによって、逆に基礎研究、例えば、殆どわかっていない糸状菌の形態形成機構についての研究にフィードバックすることも可能なリサイクル型テーマなのです。

「アスペルギルス属の糸状菌におけるチューブリン代謝とその異常が形態形成へ及ぼす影響」

 上述の探索研究の結果得られた、芳香族アミノ酸フェニルアラニンのアナログであるジヒドロフェニルアラニンはアスペルギルス属(コウジカビ)の糸状菌に菌糸の先端を膨潤させたり、菌糸の分岐を過剰にするような形態異常を伴う抗真菌活性を示します。糸状菌における形態異常は細胞壁の変形に由来しますが、本物質は細胞壁と結合したり、その生合成系や代謝系には影響しませんでしたが、興味深いことに細胞壁を支えている微小管を消失させることがわかりました。微小管は細胞分裂の時に染色体を分離させる役割を果たす構造体なのですが、糸状菌の菌糸においては、それに加えて、菌糸の構造を支える細胞骨格として重要な役割を担っているのです。さらに詳しく調べると微小管を構成している単量体の蛋白質チューブリンも消失していることがわかりました。現在、ジヒドロフェニルアラニンはチューブリンの代謝に影響を与えているのではないかと予想し、それに的を絞って研究しています。

左、核染色;中央、チューブリンの蛍光抗体染色を行い、微小管を可視化;右、位相差観察
DHPA処理を行うと菌糸と平行に走る微小管の太い繊維像が不鮮明になる。

「抗真菌剤UK-2Aの構造活性相関」

 真菌特異的作用を示すUK-2Aは本研究室で単離された新規物質で、農薬への応用が期待されています。UK-2Aは真核生物のミトコンドリア内膜に存在する電子伝達鎖の複合体IIIでの電子伝達阻害を引き起こし、酸素呼吸を阻害します。本物質とよく似た構造を持つアンチマイシンAは動物細胞に対する強い毒性を示しますが、UK-2Aは毒性がほとんどありません。その原因の一つとして、活性酸素種(ROS)を産生が挙げられています。UK-2AはROSを産生させませんが、アンチマイシンAは産生させます。しかしながら、最近、合成されたアンチマイシンA誘導体においてはROSを産生させるのに細胞毒性が弱いといった矛盾したデータが得られました。本研究では、なぜUK-2Aの毒性が低いのかをアンチマイシンAと比較しながら、再び探っています。アンチマイシンAについては近年、複合体III以外にも標的が報告されています。細胞の生死をコントロールするBcl-2ファミリー蛋白質にあるBH-3ドメインと結合し、細胞のアポトーシスを制御するらしいのですが、本研究室でもそれを裏付けるデータが得られています。さらにアンチマイシンAが他のターゲットを持っているのか、UK-2Aは呼吸阻害以外の標的を持たないのかを詳しく調べている最中です。




田中俊雄・藤田憲一

「γ-ポリグルタミン酸に多機能性を賦与することを目的とする非天然型バイオポリマーへの変換」

 近年、バイオプラスチックとしてポリ乳酸に注目がおよんでいます。乳酸は光合成の産物であるでんぷんやその他の糖質原料から乳酸発酵によって得ることができますが、乳酸をポリ乳酸に変換するには化学反応が必要となります。一方、PGAは植物や微生物が作るグルタミン酸をさらに微生物が自分自身の酵素を使って重合したものであり、それゆえ完全な脱石油型ポリマーと言えます。PGAには高い粘性、吸水性や保湿性があり、このような性質を利用してこれまでにもさまざまな製品が開発されてきました。これまでの研究でPGAのこのような性質にはD-グルタミン酸とL-グルタミン酸の両光学異性体が同一分子中に共重合する独特の分子構造が重要な役割を果たしていることを明らかになりました。一方、本学のキャンパス土壌から分離されたPGA高生産菌 Bacillus subtilis F-2-01のおかげでPGAの工業生産が可能になったことから、ますますその用途開発の機運が高まっています。人畜無害の超ポリマーPGAの機能性をさらに高め、プラスチック、繊維、食品、医療材料などとして利用するには、その構造を目的の機能に合わせて種々変換することが重要です。遺伝子操作や変異処理によってPGA生産菌を育種・改良するとともに、PGAの分子構造を修飾する酵素の生産菌を探索するなど、PGAに多機能性を賦与するための技術開発に力を入れています。代謝調節機能学研究室と協力しながら研究室一丸となってとりくんでいるところです。

教授 荻田 亮(兼担)

(e-mail aogita@)

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研究テーマ:
「液胞膜を選択的ターゲットとする抗真菌剤の作用機構解析およびその応用性」
「天然物からのメタボリックシンドローム予防成分の単離・構造とその作用 機構の解析 ーステロール輸送阻害をターゲットとしてー」

 

 

 



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