植物進化適応学研究室 附属植物園



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        072-891-2681(飯野,植松)

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1. 研究室概要

当研究室のある植物園では国内外の様々な植物を遺伝子資源として種子,あるいは生きた状態で収集・保存している。それらを含めた種々の植物の系統進化学的・環境応答学的な側面を分類学,生理学,生態学,育種学の手法を用いて研究している。研究成果は植物の保全,あるいは将来における人類の生活向上のために必要な情報として広く一般にも公開される。


2. 所属教員と各自のテーマ

教授 岡田 博

 被子植物に見られる多様性を種、あるいは集団のレベルで研究している。植物は進化の過程で、あるいは集団が置かれている環境条件によってさまざまな程度に繁殖様式の様相(開花習性、自家受精と他家受精の比、有性生殖と栄養繁殖の比など)を変えていく。互いに近縁な植物分類群間でそれがどのように起こっているのか、またそれが集団の遺伝的多様性、種分化とどのように関連していくのかをキンポウゲ科キンポウゲ属、シソ科タムラソウ属、ブドウ科ヤブカラシなどを用いて解析している。また、これらの研究成果を活用し、近年の地球環境の急変に伴う植物多様性の危機に対処する方策を模索するための植物保全学的研究を進める。ケーススタディとして枚方市穂谷地区の植物の保護に取り組む。

准教授 飯野盛利

植物の環境応答機能を光受容体、植物ホルモンなどの働きに注目し、またイネを主材料な材料にして研究している。2008年度は主に次の成果を得た。(1)光形態形成および傷害応答・病害抵抗性:光形態形成のイネ突然変異体(2系統)の原因遺伝子がジャスモン酸生合成酵素のものであることを見いだし、ジャスモン酸は光形態形成と傷害応答の両者に関与するシグナル因子であることを明らかにした。また、これらの突然変異体を用いてジャスモン酸といもち病耐性の関係を解析している。(2)光屈性:光屈性突然変異体cpt2の原因遺伝子候補をマップベースクローニング等で絞り込み、相補性検定のための実験を進めた。また、重力屈性が低下したlazy1突然変異体は強い光屈性を示すことを利用して、光屈性の光量-反応曲線を解析した。更に、lazy1突然変異体と光屈性突然変異体を交配して作出した2重・3重突然変異体を用いて、光量-反応曲線で分離される全ての反応成分にフォトトロピン1が光受容体として関与していることを明らかにした。(3)重力応答:シロイヌナズナのAtLAZY1遺伝子(イネLAZY1遺伝子のホモログ)の発現を抑えたRNAi形質転換体を作出し、その機能を解析した。LAZY1は、イネだけではなく、シロイヌナズナでも重力屈性に関与していることを明らかにした。

講師 植松千代美

 高等植物の遺伝的多様性と進化に興味を持ち以下の研究を進めている。(1) 源平咲きハナモモの花色変異をモデルシステムとした枝変わり突然変異の分子機構の解明:2008年度は花色発現を制御しているPeace遺伝子コード領域への介在配列の有無を調査した。(2)葉緑体(cp)DNAの構造変異を指標としたバラ科の進化学的研究 (3)東北地方のナシ属遺伝資源の探索・保存と遺伝的多様性の評価。 (4)遺伝子組換え植物の生態系への影響調査:神戸港周辺でこぼれ落ち種子由来の組換えナタネとアブラナ科野生種のイヌカキネガラシ、マメグンバイナズナ、ホソエガラシ、イヌガラシが同所的に生育していることを明らかにした。これらに組換え遺伝子が拡散する可能性を評価するために、野生種の開花特性を調べるとともに、イヌカキネガラシと非組換えナタネの交雑実験を行った。ナタネを母本とした場合には結実率、発芽率とも低かったが、イヌカキネガラシを母本とした場合には結実率約40%、発芽率約80%と高く、雑種形成の可能性が示された。


3. 所属研究員・大学院生・学生
博士研究員 2
後期博士課程 1名
前期博士課程 1名
学部4回生 1名



4. 研究業績

<論文等>

飯野盛利 2009. 回旋運動、就眠運動 石井龍一他編「植物の百科事典」pp.40-42. 朝倉書店

Okada, H. 2008. Pollination system of Aldrovanda vesiculosa L., Droceraceae, a strictly endangered plant in Japan. Makinoa 7:93-100.

植松千代美 2008. 植物園,遺伝子組換え食品など14項目,日本科学者会議編集「環境事典」,旬報社,東京.

飯野盛利 2007. 植物は感じて動く, 重力屈性と光屈性. 生物の科学 遺伝 61(3): 14-15.

Katayama, H. Adachi, S., Yamamoto, T. and Uematsu, C. 2007. A wide range of genetic diversity in pear (Pyrus ussuriensis var. aromatica) genetic resources from Iwate, Japan revealed by SSR and chloroplast DNA markers. Genetic Resources and Crop Evolution 54:1573-1585.

Okada, H., Tsukaya, H. & Okamoto, M. 2007. Taxonomic notes on Cayratia tenuifolia (Heyne) Gagnep., Vitaceae. Acta Phytotaxonomica et Geobotanica 58(1): 51-55.

Sudarmono & Okada, H. 2007. Speciation process of Salvia isensis (Lamiaceae), an endemic species to serpentine areas in Ise-Tokai district, Japan, from viewpoints of the contradictory phylogenetic trees between chloroplast and nuclear DNA. Journal of Plant Research. 120: 483-490.

Yoshihara, T. and Iino, M. 2007. Identification of the gravitropism-related rice gene LAZY1 and elucidation of LAZY1-dependent and -independent gravity signaling pathways. Plant and Cell Physiology 48: 678-688.

学会発表

日本植物分類学会第8回大会(仙台20093

一般講演 1

日本農芸化学会2009年度大会福岡20093

一般講演 1

日本植物生理学会第50回年会(名古屋20093

一般講演 2

The 4th Asian and Oceanian Conference on Photobiology (Varanasi) November 2008

招待講演 1

園芸学会(三重)20089

一般講演 1

日本農芸化学会2008年度大会名古屋20083

一般講演 1

日本植物生理学会第49回年会(札幌)20083

一般講演 1

2007年度日本植物分類学会講演会(三田)200712

招待講演 1件

日本植物学会第71回大会(野田)20079

一般講演 1

日本育種学会(山形)20079

一般講演 1