研究紹介:光で高分子の時間を計る

刺激に応答する機能性ポリマーのミクロなダイナミックスの解明

環境応答性高分子の相転移・相分離ダイナミックスの解明

独自開発した計測システムを駆使して、新規な高分子の外部刺激による一連の動的挙動(ダイナミックス)の解明に取り組んでいます。

分析化学の大切な要素である、「分離と精製」には、溶液中で形成される「界面」が重要な役割を果たしています。

私たちが対象とする高機能性ポリマーは、このような界面を温度変化やpH変化という外部刺激により可逆的に形成することができる、ユニークな物質群です。

私たちは、このような物質を新たに合成し、独自に開発した計測システムを駆使して、このような物質が、外部刺激により「構造を変化させ」(=相転移)、さらに「新しい界面を作る」(=相分離)という、一連のプロセスのダイナミックス(動的な挙動)の解明に世界で初めて成功しました。

特に、このような高分子のミクロなダイナミクスを、高分子の立体規則性により制御できることや、物理ゲル状態の出現など、全く新しい切り口でこの機構に迫っています。

ナノ秒の早い過程からミリ秒の遅い時間まで、ポリマーの応答ダイナミクスを計測する装置を開発し、世界で初めて実時間計測することに成功しました。この成果は、ジャーナルの表紙を飾りました。

単一分子蛍光追跡法により露わになったミクロなポリマーネットワーク構造