インターネット講座2001(平成13年度) 「自然に挑む先端化学」− たんぱく質の立体構造 −担当:理学研究科・構造生物化学・宮原郁子 |
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前回までこの講座では物性分野のトピックスについて講義がおこなわれてきましたが、今回からは生体分野になります。突然、講義内容が全く別なものに変わったかのように思われる方も居られるかもしれませんが、対象が生体内物質に変わっただけで、化学の立場から分子を理解するという点においては同じです。生体物質もまた、炭素や水素といった原子が構成する巨大な分子であり、生命活動とはそれらの分子間におこる厳密に制御された一連の化学反応にほかならないのです。 さて、生命現象の解析の対象といえば遺伝情報を担う核酸と、実際に生命現象を秩序正しく担うたんぱく質の2つに分けられます。DNAは遺伝情報の内容にかかわらず基本的に直線的な構造をとるのに対し、たんぱく質は非常に複雑で多様な構造をしています。これは、個々のたんぱく質分子が生体内中に存在する何千という異なる分子をわずかな三次元的相互作用で認識しなくてはならないということから容易に理解できます。 ミオグロビンが決定されたのが1958年にもかかわらず、それ以降たんぱく質の構造研究の進展は非常に遅いものでした。しかしながら、最近10年ほどの進展は目を見張るものがあります。それは、たんぱく質データベース(Protein Data Bank・PDB)の過去の構造データの登録数の推移のグラフを見ると一目瞭然です。 今年のはじめにヒトの遺伝子の数が3〜4万個であることが報告されたのは記憶に新しいですが、さまざまなゲノムが解析されている今、それらの遺伝子にコードされるたんぱく質の構造と機能を調べることへと研究の対象が移りつつあり、この数年のうちにたんぱく質についての膨大な情報が得られるようになることはまちがいないでしょう。 今回のテーマは、現在一般的にしられているたんぱく質立体構造に関する話で、先端化学というよりはやや基礎的な話が大部分になりますが、さらなる応用に関しては次回の先生にお任せするということでご了承ください。基本的なたんぱく質の構造の構成単位、および実際の構造決定などについてご紹介します。 |