2011年

2011年チラシ画像

 数学や理科の好きな高校生や予備校生の皆さんに、数学や理科にさらに興味を持ってもらえるように企画した「高校生のための市大授業」です。

 大学の授業や大学の教室・実験室がどんなものなのか、進学を希望する大学の中を知っていただきたく、本学杉本キャンパスで行います。平成16年春から始まった市大授業も今回で14回目となります。

 日程は4月29日(金・祝)です。申込はこちらで受け付けます。

 前半(午後1時から)と後半(午後3時から)の二つの授業を申し込む事ができます。定員を大幅に超える申込があった場合は、受講をお断りする場合があります。受講不可能な場合に限り4月27日(水)までにご連絡します。

 理学部市大授業と同日・同キャンパス1号館で、文学部市大授業「文学部を知りたい人のための市大授業ーひらけゆく世界 みえてくる人間ー」も開催します。詳しくは、http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/sj/をご覧ください。

2011年4月29日(金・祝)

前半 午後1時00分〜午後2時30分(以下から1つの授業を選択)

平方剰余の相互法則

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数学科 教授 古澤昌秋(定員100名、講義)

数学では360度、ではなく180度(おっと、ガッツ石松さんすみません)見方を変えて考えることが重要な役割を果たすことがしばしば起こります。
「平方剰余の相互法則」はその最も重要な事例の一つであると私は思います。この法則はレオンハルト・オイラーによって予想され、カール・フリードリッヒ・ガウスによって1796年に証明されました。現在「相互法則」とよばれる定理は数学の色々な分野にあります。また、「平方剰余の相互法則」自体を高度に一般化した相互法則が予想されており、それは現代の数学の中心的未解決課題の一つとして、世界中の多くの数学者を魅了しています。
今回の市大授業では、このようにその後の大きな発展の原点となった「平方剰余の相互法則」についてお話させて頂こうと思います。

プロフィール
職歴 プリンストン高等研究所研究員、スタンフォード大学Szegő Assistant Professor、MSRI研究員、ジョンズ・ホプキンズ大学Visiting Assistant Professor、マックス・プランク数学研究所研究員、広島大学助教授を経て、大阪市立大学大学院理学研究科教授
学歴 東京大学理学部卒業、東京工業大学理工学研究科修士課程修了、ジョンズ・ホプキンズ大学大学院博士課程修了、Ph.D.
専門分野 保型表現、保型エル函数
仕事と熱、熱と仕事

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化学科 准教授 八ッ橋知幸(定員100名、講義・演示実験)

風邪をひいた時は「熱がある」や「体が熱っぽい」という言い回しをよく使いますね。ところが「体温が高い」と言う人は滅多にいません。はたして皆さんは「熱」と「温度」の違いをご存じでしょうか。
「熱」というのは温度差のみを原因として流れるエネルギーのことです。一方、重い物を持ち上げる仕事に必要なのもエネルギーです。では、これらのエネルギーは同じものなのでしょうか。
本講義ではこれらのエネルギーの変換と違いを簡単な実験によって明らかにします。

プロフィール
職歴 大阪市立大学 理学部 助手、講師、准教授を経て、2011年より大阪市立大学 大学院理学研究科 教授、その間、ドイツ マックス・プランク量子光学研究所 客員研究員
学歴 東京都立大学 工学部 工業化学科 卒業、同大学院 工学研究科 博士課程修了、工学博士
専門分野 レーザー化学、多価イオン化学
5億年前に生じた地球生物システムの大変革

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地球学科 教授 江﨑洋一(定員100名、講義)

約5億年前に、原始的な陸上生態系が地球上に誕生しました。そのことによって、海洋生態系に「オルドビス紀の大放散」と呼ばれる、地球史上最大規模の海生無脊椎動物群の多様化現象が生じています。
当時、どのような生物が陸上生態系の主役であり、それがどのような生活を営み、そしてどのようなメカニズムを通じて、海の生物の大放散が引き起こされたのでしょうか。
地質学、古生物学、地球化学、古海洋学的な証拠や、地球と生物との「相互作用の変化」にも触れながら、わかりやすく解説します。

プロフィール
職歴 大阪市立大学理学部助手、講師、助教授を経て、大阪市立大学大学院理学研究科教授
学歴 北海道大学理学部地質学鉱物学科卒業、同大学院理学研究科後期博士課程修了、理学博士
専門分野 地球生物学、層位・古生物学

後半 午後3時00分〜午後4時30分(以下から1つの授業を選択)

ミクロの領域─クォークとハドロン─

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物理学科 准教授 有馬正樹(定員100名、講義)

クォークは物質を構成する基本単位です。本当の素粒子を求める科学的な試みは、原子の周期律表に始まり、数十年を経て究極の粒子“クォーク”に到達しました。そして、クォークが織りなすミクロの領域が姿を現しました。
ところが、ミクロの領域をのぞいても、そこに見えるのはクォークではありません。いくつかのクォークが集まってできたハドロンと呼ばれる粒子が見えるのです。そして不思議なことに、ハドロンはミクロの領域の主役であるかのごとくに振る舞います。
クォークはどのようにしてハドロンになるのか?ハドロンが構成するミクロの領域はどのようなものなのか?これらを理解することは物理を研究する醍醐味の一つです。
この授業では、現代物理学が捉えた素粒子の姿について、いくつかの具体的な例を挙げながらわかり易く説明します。

プロフィール
職歴 大阪市立大学理学部助手、講師を経て現職
学歴 東京理科大学理学部物理学科卒業、東京大学大学院理学系研究科修士課程修了、同研究科博士課程修了、理学博士
専門分野 原子核理論
時間生物学への招待:さまざまな生物時計とそのしくみ

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生物学科 准教授 後藤慎介(定員100名、講義)

 生物は環境の変化を予測しながら生活しています。多くの生物はたとえ太陽がなくても、一日のうちでいつ朝が来るのか、いつ夜が来るのかを予測することができます。これは、生物のからだの中に「時計」があるからです。生物によっては、この時計を使って、1年のうちでいつ夏が来るのか、いつ冬が来るのかをも予測できるようです。
わたしたちの研究室では動物のからだの中に存在するさまざまな時計を遺伝子レベルで解析しています。近年は、RNAi(RNA干渉法)といった技術を使って、コオロギやカメムシの遺伝子発現を抑制し、時計を止めることで、目的とした遺伝子の働きを調べています。
本講義では、生物がもつさまざまな時計について紹介し、私たちが行っている最新の研究成果をまじえて時計のメカニズムについてお話しします。

プロフィール
職歴 日本学術振興会特別研究員、オハイオ州立大学博士研究員、大阪市立大学大学院理学研究科講師を経て、現在同研究科准教授
学歴 北海道大学理学部卒業、北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了、博士(地球環境科学)
専門分野 動物生理学