市大数学教室

大阪市立大学数学研究所
(Osaka City University Advanced Mathematical Institute)
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大阪市大・大阪府大合同「南大阪応用数学セミナー」(2015年度)
(2014年)
(2016年)

大阪市立大学数学研究所(OCAMI)での事業の一環として、
大阪市立大学数学研究所および大阪府立大学工学部有志を運営委員として
広く解析・応用解析をテーマにしたセミナーを行います。


連 絡 先: 高橋 太
〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138
大阪市立大学大学院理学研究科数物系専攻・数学研究所
電話:06-6605-2508
電子メール: futoshi@sci.osaka-cu.ac.jp(高橋)
   
運営委員:  高橋 太、小坂 篤志、岩渕 司、村井 実(大阪市立大・理学研究科/数学研究所))
壁谷 喜継、川上 竜樹(大阪府立大・工)
   



数学教室は12月に理学部に移転しました.
移転マップ
理学部「12」の建物です.
 第28回セミナー
   
日 時: 平成27年(2015年)11月28日(土)14時~17時30分
場 所: 大阪市立大学(杉本キャンパス)理学部E棟数学講究室(E408号室)
   
14:00~15:00  
講 演 者: 町原 秀二 氏(埼玉大学理工学研究科)
タ イ ト ル: 空間1次元Dirac-Klein-Gordon方程式系の初期値問題
アブストラクト: 空間1次元Dirac-Klein-Gordon方程式系の初期値問題の適切性について考える。
解を捕らえる空間をソボレフ空間で考えるが、方程式系の構造や、ソブレフ空間における関数の積評価の影響から正則度を表す指数の関係が定まることを観察する。
その後、特に非適切性の証明について詳しく紹介したい。この内容は岡本葵氏(信州大学)との共同研究に基づく。
   
15:15~16:15  
講 演 者: 廣澤 史彦 氏(山口大学理工学研究科)
タ イ ト ル: 変数係数波動方程式の初期値問題の解析とその応用
アブストラクト: 定数係数波動方程式の初期値問題を変数係数に一般化した場合, $L^2$ 適切性やエネルギー保存などの基本的な性質が成り立つことは一般に期待できない。
実際, derivative loss やエネルギーの発散など, 変数係数特有の現象が起こりうることが知られている。本講演では, このような特異な現象を引き起こす可能性のある係数の性質, および,ある種の非線形波動方程式の大域可解性へ応用について考察する。
   
16:30~17:30  
講 演 者: 三沢 正史 氏(熊本大学自然科学研究科)
タ イ ト ル: ある幾何学に現れる退化型変分問題とその熱流について
アブストラクト: 球面に値をとるベクトル値関数の一階導関数のある積分汎関数を考える。
この汎関数は, 写像先空間の距離の解による引き戻しのノルムの2乗積分である。
一階導関数のベクトルの大きさ(引き戻しのトレースのルート)の4乗積分(4-エネルギー)とは異なる。とくに, この変分汎関数に対応する退化楕円型作用素は4乗積分に対応する4調和作用素とは代数的性質が異なる。この退化楕円型作用素の弱収束に関するあるコンパクト性について述べ,その応用として, 定常方程式の弱解の正則性,また, 熱流の弱解の存在について報告する。これらは山口大学の中内伸光氏との共同研究の結果である。
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 第27回セミナー
   
日 時: 平成27年(2015年)10月24日(土)14:00~17:30
場 所: 大阪府立大学中百舌鳥キャンパス 数理工学科B9棟111教室
   
14:00-15:00  
講 演 者: 矢崎 成俊 氏(明治大学理工学研究科)
タ イ ト ル: 接線速度を利用したさまざまな移動境界問題とその応用について
アブストラクト: 平面内の二つの異なる相や部分を分け隔てる境界が時々刻々と変形する移動境界問題について考える.一般に,移動境界は平面閉曲線として記述され,変形速度は,現象や問題に応じて,曲率,接線角度,位置,あるいは何らかの偏微分方程式の解に依存して定まる.どのような変形速度であっても,法線速度と接線速度に分解されるが,移動境界の形状を決定するのは法線速度のみであって,接線速度は形状決定には無関係である.この性質を利用して,さまざまな接線速度が数学解析や数値計算に応用
されてきた.本講演では,画像輪郭抽出やHele-Shaw流れの数値計算などの応用例を紹介したい.
   
15:15-16:15  
講 演 者: 二宮 広和 氏(明治大学総合数理学部)
タ イ ト ル: FitzHugh-Nagumo型方程式の特異極限問題の解の存在と進行波解
アブストラクト: 2次元空間上のFitzHugh-Nagumo型方程式は,数値計算からさまざまな解があることがわかっている.さまざまな形状の解を数学的に扱うために,特異極限問題を導入し,特異極限として表れる自由境界問題のV字型進行波解とスポット型孤立進行波解について紹介する.また,V字型進行波解の近傍における時間発展問題の局所的・大域的可解性も説明する.なお,gradient blowupとの関係についても説明する予定である.
   
16:30-17:30  
講 演 者: 名和 範人 氏(明治大学理工学研究科)
タ イ ト ル: 非線形シュレーディンガー方程式とネルソン拡散過程
アブストラクト: レーザービームの自己集束モデルを含むような,擬共型不変な非線形シュレーディンガー方程式の爆発解の爆発の速さを,解の背後にあるネルソン拡散過程を利用して評価する。下からの評価は普遍的であるようだが,上からの評価は,技術的な問題かもしれないが,解の形状に強く依存しているように思われる。いずれの場合も,爆発解から定義される強度分布が,爆発時刻でデルタ関数的な特異性を持っていることが重要な役割を果たしている。
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 第26回セミナー
   
日 時: 平成27年(2015年)7月11日(土)14:00~17:30
場 所: 大阪市立大学(杉本キャンパス)理学部E棟数学講究室(E408号室)
   
14:00-15:00  
講 演 者: 中村 誠 氏(山形大学理学部)
タ イ ト ル: On the nonrelativistic limit of nonlinear field equations
アブストラクト: The Cauchy problem of the equations derived by the nonrelativistic limit of nonlinear field equations is considered. The space-time metric is given in the setting of uniform and isotropic. The global solutions and blow-up solutions are considered in the energy space.
   
15:15-16:15  
講 演 者: 門脇 光輝 氏(滋賀県立大学工学部)
タ イ ト ル: 二層媒質中の波動伝播に対するレゾルベントの空間遠方での漸近挙動
アブストラクト: 三次元二層媒質中の波動伝播に対するレゾルベントの空間遠方での漸近挙動について得られた成果を報告する.全空間の単独媒質中の波動伝播に対する漸近挙動はよく知られており,さらにそれは散乱および逆散乱問題を考察する上でも有用であることも認知されている.しかし,二層媒質中の波動伝播に対しては,屈折波の存在がもたらす特異性のため,深い結果は得られていないと思われる.本成果は磯崎洋氏(筑波大)と渡邊道之氏(新潟大)との共同研究に基づくものである.
   
16:30-17:30  
講 演 者: 松山 登喜夫 氏(中央大学理工学部)
タ イ ト ル: Kirchhoff方程式のGevrey級解
アブストラクト: 本講演ではKirchhoff方程式の時間大域的なGevrey級解の存在について解説する。Kirchhoff方程式は、 主要部に未知関数の$L^2$ノルムが掛かった準線形2階双曲型偏微分方程式であり、弦の横方向の振動が縦方向より非常に大きい場合に近似された運動方程式として、1883年にG. Kirchhoffが提唱した。Kirchhoff以来57年の年月を経て1940年にS. Bernsteinが実解析解の存在を証明し、35年後の1975年、Pohozhaevが一般次元にBernsteinの結果を拡張した。Gevrey族は実解析的クラスと$H^¥infty$クラスの間にあるクラスであるが、Kirchhoff方程式のGevrey可解性は未だに解かれていなかった。なお、初期値のSobolevノルムが十分小さい時はいくつか結果がある。証明の鍵は、時間に依存する係数をもつ線形双曲型偏微分方程式の解のエネルギー不等式とKirchhoff方程式の局所解の寿命に関する上からの評価である。証明は背理法で遂行する。
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 第25回セミナー
   
日 時: 平成27年(2015年)5月16日(土)14:00~17:30
場 所: 大阪市立大学(杉本キャンパス)理学部E棟数学講究室(E408号室)
   
14:00-15:00  
講 演 者: 生駒典久氏(金沢大学理工研究域)
タ イ ト ル: 微少な曲面積を持つ Willmore type torus の存在
アブストラクト: 本講演では,3次元 Riemann 多様体上において Willmore 汎関数を考え, 曲面積一定という制約条件下においてこの汎関数の臨界点となる曲面 について考察する.特に,種数1の曲面の存在について考え,制約条件 として与えられる曲面積は非常に小さいものを考える.3次元 Riemann 多様体の Ricci 曲率や scalar 曲率にある条件を課した下,上記の様な 曲面の存在を示す.本講演は A. Malchiodi 氏(SNS, Pisa) と A. Mondino 氏 (ETH, Zurich) との共同研究に基づく.
   
15:15-16:15  
講 演 者: 佐藤洋平氏(埼玉大学理工学研究科)
タ イ ト ル: 引力的な項と斥力的な項を含む非線形シュレディンガ-方程式系の 解の存在と形状について
アブストラクト: この講演では変分構造をもつ3本の方程式から成る時間異存しない非線形 シュレディンガ-方程式系を考える.この方程式系に対応する汎関数は 3個の相互作用の項を持つが, それらの項の係数のうち1つが正で2つが 負のときの解の存在定理を紹介する. また,相互作用の項の係数のうち 正のものを大きくすると, その解の2つの成分関数が境界の近くにピークを もつことが分かるが, 境界のどの位置にピークを持つのかを解析する. 本研究はZhi-Qiang Wang氏(ユタ州立大), Jaeyoung Byeon氏(KAIST)との 共同研究に基づく.
   
16:30-17:30  
講 演 者: 柴山允瑠氏(大阪大学基礎工学研究科)
タ イ ト ル: 特異点をもつハミルトン系の周期解について
アブストラクト: 2000年に3体問題の8の字解の存在が示されて以来, n体問題において 周期解の存在を示す研究が盛んになされ, 多くの周期解の存在が示さ れてきた. 本講演では, 4体問題の超8の字解など講演者が存在を示し た周期解とその証明の手法を紹介する. また, エネルギー固定のもと での特異的ハミルトン系の周期解の存在問題にも触れる.
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 第24回セミナー
   
日 時: 平成27年(2015年)4月25日(土)14:00~17:30
場 所: 大阪府立大学(中百舌鳥キャンパス)数理工学科B9棟111号教室
   
14:00-15:00  
講 演 者: 岩渕司(大阪市立大学・理学研究院)
タ イ ト ル: 臨界型Burgers方程式の時間大域解と漸近挙動について
アブストラクト: Burgers方程式の線形部分についてLaplacianを分数冪Laplacian$(-\Delta)^{1/2}$に置き換えた方程式を考え、全空間において初期値問題を考える.尺度不変性が成り立つBesov空間において小さい初期値に対する時間大域解が得られることを示す。更に初期値が可積分ならばその解が時間無限大においてPoisson核に漸近することを示す。証明では、Besov空間における最大正則性評価式を利用し、熱方程式等で知られているような基本的な方法を用いる。
   
15:15-16:15  
講 演 者: 村井実(大阪市立大学数学研究所)
タ イ ト ル: 周期境界条件下での微分型非線形シュレディンガー方程式の厳密解について
アブストラクト: 周期境界条件下での微分型非線形シュレディンガー方程式 の厳密解に興味がある. ここでは,特に$u(x,t)={\rm e}^{-i \omega t}U(x-ct), \ U(0)=U(2 \pi),\ U_{x}(0)=U_{x}(2 \pi)$ の形の全ての解を求めることを考える.ただし,$c,\, \omega \in {\bf R}$ である.この問題は, 極座標 $U(x)=r(x)\exp(i \theta(x))$ を用いると2階非局所非線形微分方程式に帰着される.従来知られているのは, $r(x)$ が定数の場合である.$r(x)$ が非定数の場合も込めて解がどうなっているかについて調べる.なお,本研究は坂元国望氏(広島大学)と四ツ谷晶二氏(龍谷大学)との共同研究である.
   
16:30-17:30  
講 演 者: 土田哲生氏(名城大学・理工学部)
タ イ ト ル: $(-\Delta+|x_1|^a+|x_2|^b)u=0$の正値解の構造について
アブストラクト: ${\bf R}^2$上のシュレディンガー方程式$(-\Delta+|x_1|^a+|x_2|^b)u=0$$(0\le a\le b)$の正値解の構造を熱核とマルチンの理論を通して考察する。特別な$a=b=0$と$a=b=2$の場合の他、(i) $0\le a\le 2<b$,(ii) $a>2, b>2$,(iii) $0= a< b\le 2$の場合が解明されており、正値解の構造が大きく異なることを報告する。(i)と(ii)では作用素の第二変数の部分の熱核のintrinsic ultracontractivityが大きな役割を果たす。(iii)の場合はグリーン関数の遠方での漸近形を調べることで結果を導く。本発表は村田實氏(東工大)との共同研究に基づく。
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最終更新日: 2016年1月14日
(C)大阪市大数学教室