大阪市立大学数学研究所
 
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談話会(2009年度)

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最終更新日 2011.3.31

講演者:佐藤洋平(早稲田大学)
タイトル:非線形シュレディンガー方程式のマルチピーク解の構成
日時:3月19日(金) 13:30〜14:30
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
この講演では非線形シュレディンガー方程式 (*) -\epsilon^2 \Delta u +V(x)u=f(u) in \R^N の特異摂動問題を考える。 ここで(*)の特異摂動問題とはパラメータ \epsilon を 0 に近づけていく時の (*)の解の多重存在やその解の形状を研究する問題である。 この方程式の場合、パラメータ \epsilon が 0 に十分近いとき、 ポテンシャル関数 V(x) の1つあるいは複数の臨界点の近くに極大点をもち、 それ以外の点では0に近い形状をしたピーク解をもつことが知られている。 そこで、逆に V(x) の指定された1つあるいは複数の臨界点の近くに ピークをもつようなピーク解が構成できるか、 という問題は特異摂動問題の基本的な問になっている。 この講演では、V(x) の指定された複数の極小点の近くに ピークをもつようなマルチピーク解を構成する。 特に V(x) の極小値が 0 であるか正であるかによって、 その極小点の近くにピークをもつ解の形状は本質的に異なることに注意する。
数学研究会論文賞受賞講演
講演者:鄭 仁大(大阪市立大学)
タイトル:交代結び目のアレクサンダー多項式に関する研究
日時:3月19日(金) 11:15〜12:00
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
結び目のアレクサンダー多項式とは, 整数係数ローラン多項式環に値をとる結び目不変量であり, 二つの代数的条件によって特徴づけられることが知られている. 一方で,交代結び目のアレクサンダー多項式については, Crowell と Murasugi による基本定理が古くから知られているが, 代数的な特徴づけは現在でも成されていない. 本講演では,種数 2 以下の交代結び目のアレクサンダー多項式の 係数間に成り立つ最良の線形不等式を紹介する. また,種数 2 交代結び目のアレクサンダー多項式の 特徴づけ問題に対する部分的な解答を与える.
数学研究会論文賞受賞講演
講演者:岸本健吾(大阪市立大学)
タイトル:閉ブレイドの図式的変形について
日時:3月19日(金) 10:15〜11:00
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
閉ブレイドを含む絡み目は, その閉ブレイドを固定したまま全体を閉ブレイド表示に出来るということが Lambropoulou-Rourke によって示されている. 本講演の前半では, 図式変形を用いることでこの別証明を与え, さらに成分の向きを逆にする事によって変化するブレイド指数の差に対して, 上からの評価を与える. 後半は, 結び目の交代性を評価する不変量である概交代数と交代化数に関する, Abe との共同研究について述べる. 結び目の閉ブレイド表示を通してこれらの不変量に対して上からの評価を与え, Abeによる交代化数の下からの評価を組み合わせることによって, ほとんどすべての閉正3次ブレイドの概交代数と交代化数を決定する.
数学研究会論文賞受賞講演
講演者:安部哲哉(大阪市立大学)
タイトル:The alternation number of a knot (結び目の交代化数について)
日時:3月19日(金) 9:15〜10:00
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
結び目の交代化数 (alternation number) とは, 結び目を交代結び目に変えるために必要な交差交換の最小回数のことである. この講演では,結び目の交代化数について概観する. 特に, Khovanov homology に由来する不変量 (Rasmussen invariant) を 用いた交代化数の評価について話す.
講演者:小磯深幸(奈良女子大学理学部,JSTさきがけ)
タイトル:曲面の変分問題の解の大域解析とその応用
日時:2月10日(水) 16:30〜17:30
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
曲面についての条件付き変分問題の代表例は,「与えられた体積を囲 む閉曲面の中で面積極小のもの」を求める問題,すなわち,等周問題で ある.これは,体積をパラメータとする,変分問題の一助変数族と見な せる.このように,一般に,条件付き変分問題は,変分問題の一助変数 族と見なせる.パラメータを変えていった時の解(臨界点)の成す空間 の構造の変化を調べることは重要である.本講演では,条件付き変分問 題について,解の安定性,及び,解空間の分岐について,最近得られた 結果を報告する.なお,変分問題の解が安定であるとは,エネルギー汎 関数の第 2変分が非負のときをいう.特に,エネルギー極小解は安定で ある.また,現在推進している JST「数学と諸分野の協働によるブレー クスルーの探索」領域・さきがけ研究についてもお話ししたい.
数学研究会特別賞受賞講演
講演者:鎌田直子(名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科)
タイトル:結び目の安定同値類とその不変量
日時:1月15日(金) 14:40〜15:40
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
閉曲面上の I束( Iは閉区間)内の結び目の同型類をさらに曲面の stabilizationと destabilizationで割ったものを安定同値類といいま す.特に, 閉曲面が有向閉曲面のとき,結び目の安定同値類は仮想結び 目と自然に同一視されることが知られています.Kauffmanが導入した仮 想結び目は結び目ダイアグラムのGauss Codeに着眼をおいた結び目の拡 張で,それには Jones多項式, 基本群, カンドルなどの結び目の不変量 が自然に定義できます. 一方, Bourgoinが導入したtwisted knotは閉曲 面を向き付け不可能な曲面も許した場合の結び目の安定同値類に対応し ます.twisted knotに対しても Jones多項式, 基本群などが定義されま す.また,これらの不変量を発展させた宮澤多項式(=arrow polynomial) など,仮想結び目やtwisted knotの不変量も導入されていて,結び目の 不変量の自然な解釈,研究に寄与することが期待されています.これら の不変量と性質について紹介したいと思います.
数学研究会特別賞受賞講演
講演者:秋吉宏尚(近畿大学理工学部)
タイトル:標準的基本領域を用いた3次元双曲多様体の研究
日時:1月15日(金) 13:30〜14:30
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
Thurstonのハーケン多様体の双曲一意化定理によると, 3次元球面内 のほとんど全ての結び目および絡み目の補空間は有限体積完備双曲構造 を許容する(カスプを持つ双曲多様体となる)ことがわかる.また, Epstein-Pennerはカスプを持つ双曲多様体に対して,双曲構造から標準 的な理想多面体分割を定義した.この講演では,Jorgensen による穴あ きトーラス クライン群に対する理論を概説し,作間誠,和田昌昭,山 下靖の三氏とともにその理論を発展させて得られた 2橋結び目補空間の 標準的分割について述べる.また,これらの研究の過程で分かってきた, クライン群の標準的基本領域と無限体積双曲構造の関わりついても述べ た上で,現在研究を進めている,コンパクトでない錐特異集合を持つ 3次元双曲錐多様体の研究の現状にも触れる.
講演者:藤川英華(千葉大学理学部)
タイトル:タイヒミュラー空間の自己正則埋め込みの力学系
日時:12月2日(水) 16:30〜17:30
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
リーマン面の正則被覆写像は,対応するタイヒミュラー空間の間の正則埋め込みを誘導する.したがって,リーマン面が非自明な自己被覆をもつとき,タイヒミュラー空間の非自明な自己正則埋め込みが存在する.本講演では,まずリーマン面一般についての非自明正則自己被覆の構造定理を解説し,それを用いてタイヒミュラー空間の自己正則埋め込みのタイヒミュラー・小林距離に関する幾何的性質を考察する.複素多様体間の正則写像は,小林距離に関して一般に縮小性をもつが,双正則写像は等長写像である.上記のタイヒミュラー空間の自己正則埋め込みは,いわばその中間に位置する写像であり,その縮小性の度合いを測る.
OCAMI談話会特別企画
講演者:望月拓郎(京都大学)
タイトル:ワイルド調和バンドルについて
日時:10月6日(火) 16:30〜17:30
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
ワイルド調和バンドルの研究について概説します. 研究の主要な目的は, 従順調和バンドルに関する結果をワイルド調和バンドルの場合に拡張すること, そして半単純非正則ホロノミックD-加群に対して強レフシェッツ定理を得ることです. 従順(あるいは正則)な場合には生じなかった興味深い現象・困難がいくつかあります. 例えば, ``変わり目点''と呼ばれる非常に悪い特異性の存在は大きな障害でした. また, 高次元の場合のストークス構造についても詳しい考察が必要になります. このあたりのことについて説明する予定です. もしも可能ならば, より最近の研究も紹介したいと思います.
講演のスライドはこちら
OCAMI談話会特別企画
講演者:市野篤史(大阪市立大学)
タイトル:表現論と数論的不変量
日時:10月6日(火) 15:00〜16:00
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
局所ラングランズ予想は、局所体上の簡約代数群の表現論と数論的対象を結びつける。この予想を基にして、表現論的不変量がどのように数論的不変量と結びつくかを調べる事は興味深い。この事を形式次数の場合に解説する。
講演者:小野 薫(北海道大学)
タイトル:Lagrange 部分多様体に関する flux conjecture の類似について
日時:7月29日(水) 16:30〜17:30
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
閉 symplectic 多様体の Hamilton 微分同相写像群が symplectic 微分同相写像群の単位元連結成分の中で、 C^1-位相に関して閉じていることを主張する C^1-flux conjecture を数年前に Floer 理論を用いて証明した。その手法で Lagrange 部分多様体に関する類似の問いについて何が分かるかを話したい。ここで、Lagrange 部分多様体に関する類似の問いとは、与えられた Lagrange 部分多様体と Lagrangian isotopic なもの全体の空間を Hamilton 微分同相写像群の作用で割った空間が Hausdorff になるかという問いである。一般的には否定的であることが分かっている。特別な場合ではあるが、次のことが分かる。 Maslov 類が消えていて、FOOO 理論の意味で unobstructed な場合には、その Lagrange 部分多様体の Hamilton 微分同相写像群による軌道は C^1-位相に関して閉である。
講演者:松本久義(東京大学)
タイトル:スカラー型の一般化された Verma 加群の間の準同型について
日時:7月1日(水) 16:30〜17:30
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
概複素半単純リー代数の放物型部分代数の一次元表現からの誘導表現はスカラー型の一般化された Verma 加群と呼ばれる。それらの間の準同型の分類は30年以上の歴史があるがいまだ未解決の問題である。ここでは、実型の極小放物型部分代数の複素化を含むような放物型部分代数のクラスについて得られた結果を述べたい。
講演者:Prof. Jozef Zajac (the State University of Applied Science in Chelm)
タイトル:Teichmller spaces of a Jordan curve  
日時:4月22日(水) 16:30〜17:30
場所:数学講究室 (3040)
アブストラクト:
In this presentation we will discuss the problem of introducing the group and metric structure to the family of all admissible parametrization functions of a given oriented Jordan curve on the extended complex plane. Introducing special number uniquely characterizing each parametrization function and then using Teichmuller metric we will show that it is bringing the construction to the Teichmuller space of a given oriented Jordan curve. Moreover, if additionally, the Jordan curve is a quasicircle then one may associate two conjugated Teichmuller spaces of a given quasicircle. One may show that the distance function between these conjugated spaces is determined uniquely by a constant characterizing the quasicircle.
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