集中講義(2015年度)

科目名 代数構造論特別講義Ⅲ・Ⅳ
日程 9月28日(月)~10月2日(金)
談話会:9月30日(水) 16:30~17:30)  
講演者(所属) 内藤 聡(東京工業大学)
タイトル 有限次元既約最高ウエイト表現の結晶基底のLakshmibai-Seshadri パスによる実現
場所 大講究室(理学部棟E408)
講義内容 有限次元複素半単純リー環に付随する量子群上の有限次元既約最高ウエイト加群の結晶基底の 具体的な実現のうちで、非常に普遍性のあるものの一つとして、Lakshmibai-Seshadriパスによる ものがある。この Lakshmibai-Seshadri パスとは、 半単純リー環の Weyl 群の元の Bruhat順序に 関する減少列であって、ある種の整数性条件を満たすものの事である。 この Lakshmibai-Seshadri パスの概念の様々な variationを考える事によって、アフィン・リー環に付随する量子群上のextremal ウエイト加群の結晶基底や、量子アフィン展開環上の最も基本的な有限次元加群であるレベル・ゼロ 基本表現やそれらの テンソル積加群の結晶基底の具体的な実現が得られる事が分かっている。 この講義では、最も基本的な場合として、オリジナルの Lakshmibai-Seshadriパスの理論における基本的 な結果を解説する。 特に、有限次元既約最高ウエイト表現やその Demazure 部分加群の指標の Lakshmibai-Seshadri パスによる表示等を紹介する予定である。 参考文献としては、 M. Kashiwara, Bases cristallines des groupes quantiques, SMF, 2002 の、Chapitre 8 を挙げておく。
科目名 幾何構造論特別講義Ⅰ・Ⅱ
日程 12月14日(月)~12月18日(金)
談話会:12月16日(水) 16:30~17:30)
講演者(所属) 田中 真紀子(東京理科大学)
タイトル コンパクト対称空間の幾何学-点対称が導く幾何-
場所 大講究室(理学部棟E408)
講義内容 対称空間は各点で点対称が定義できる空間であり、点対称は対称空間の変換のうちで最も基本的なものと言える。 この集中講義では、対称空間の定義や例などの基本事項から始め、コンパクト対称空間は点対称を用いて定義される 全測地的部分多様体“極地”と“子午空間”の一対によってその対称空間としての構造が決まる、という長野正先生の 定理を紹介することを目標とする。
科目名 数理解析学特別講義Ⅰ・Ⅱ
日程 10月26日(月)~10月30日(金)
談話会:10月28日(水) 16:30~17:30)
講演者(所属) 仲田 均(慶應義塾大学)
タイトル シリンダーフロー:一様分布列の誤差から作られる力学系
場所 大講究室(理学部棟E408)
講義内容 一様分布論において誤差の評価は 重要な問題として古くから議論されている。 その中で、誤差の大きさの力学系としての 表現は cylinder flow とよばれ、 それ自体が力学系の研究テーマとして興味深い問題を提供している。 この cylinder flow は、 最近では translation surface 上の flow の cross section としても 再び注目されている。 この講義では、cylinder flow について定義から始め、 その後、円周上の(微分)同相写像の共役問題と からめながら基本的概念、性質を紹介する。 さらに、エルゴード理論の中で cylinder flow の問題が なぜ重要な意味を持つのかについて考える。