研究内容

主な研究課題 (Topics of research)

超高速分光を用いた励起状態ダイナミクスの研究: Investigation of ultrafast excited state dynamics
新しい非線形分光の開発 (特に振動分光):
Development of nonlinear optical spectroscopy
低次元系有機物質における光機能の解明:
Elcidation of optical function in low dimensional organic material

現在の研究課題 (Current research)

光合成初期過程における超高速励起エネルギー移動の研究 (大阪市立大学橋本グループとの共同研究)
Investigation of ultrafast excitation energy transfer in photosynthesis (collabration of Prof. Hideki Hashimoto)

実験装置の写真

実験室 (Experimental Laboratory)

  

実験室の風景です。我々の研究グループでは、光と物質の相互作用により誘起される線形、非線形光学現象を観測し、物質の基本的な性質や光機能を解明することを目的としています。そのため、様々な光学技術を駆使し、光の周波数変換、超短パルスの発生を行っています。


光源 (Light Source)

  

光源となるモード同期Ti:サファイアレーザー(左)と再生増幅器(右)です。


波長可変光源 (Visible and Near-Infrared Optical Parametric Amplifiers)

  

物質の励起状態のダイナミクスを調べるには、物質の吸収帯と共鳴する波長(エネルギー)の光で励起しなければなりません。しかし、吸収帯は物質により様々であるため、多くの物質の励起状態を調べるためには波長可変励起光源を必要とします。我々の研究室では、2つの光パラメトリック増幅を用いた波長可変光源を用意しています。1つは、Ti:サファイアレーザーの基本波(800nm)を用い、1100nm〜1600nmの波長可変出力光を得ています(左写真)。もう1つはT:サファイアレザーの第2高調波(400nm)を用い、470nm〜700nmの波長可変出力光を得ています(右写真)。

ラマン励起光源 (Narrow Band Raman Excitation Light Source)

 

我々のグループで特に力を入れているのが時間分解振動分光です。独自に開発したフェムト秒時間分解誘導ラマン増幅・損失分光では、高い時間分解能とスペクトル分解能を両立することに成功しています(Yoshizawa et al., Phys. Rev. A 61, 013808, 2000)。装置のスペクトル分解能を決める狭帯域ラマン励起光源の発生には、4f配置と呼ばれる2つの回折格子対と2枚のレンズで構成される光学配置をとっています。この4f配置とスリットを組み合わせることにより、狭帯域ラマン励起光源を得ています。4f配置の利点としては、スリットの開閉によりスペクトル幅を自由に選択できること、4f配置が原理的にゼロ分散であるためフーリエ限界に近い光パルスが得られることです。

測定系 (Measurement and Detection System)

 

試料周りの光学系。現在の光学系では、フェムト秒時間分解吸収、発光、誘導ラマン分光及び様々な非線形光学測定を同一励起条件下で測定することが可能となっています。このように、異なる分光手法を同一条件下で測定することにより、励起状態ダイナミクスを多角的に捉えることができます。

検出系: CCD (Detector: CCD)

画素数2000x800 pixelのCCD検出器です。液体窒素冷却型であるため、熱雑音の影響が少なく、高感度の測定を行うことができます。現在は主にフェムト秒時間分解発光分光に用いています。

検出系:リニアイメージセンサー (Detector: kHz synchronized linear image sensor)

 

レーザーのパルス繰り返し(1KHz)に同期した検出システムです。リニアイメージセンサーはCCDよりも感度は低いものの、1ショットパルスの読み込みが可能なため、レーザーの強度揺らぎによる影響が少なく、ノイズレベルを10-4以下に抑えることが可能です。検出器には、1024 pixel (Siベース)と 256 pixel (InGaAs)の2つのリニアイメージセンサーを用い、分光器内での切り替え可能になっています。この2つの検出器を使い分けることにより、可視領域から中赤外領域(400〜1500nm)までの高感度マルチチャンネル検出を行うことができます。

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