講師: 田中 貴浩
(京都大学大学院理学研究科 教授)

「重力波で拓かれる宇宙像」

アインシュタインの一般相対論は時空の曲がりによって重力を表します。重力波はその時空の曲がりが波となって伝わったものです。2015年に宇宙の彼方から到達した重力波が初めて検出されました。この重力波を放出した源はブラックホールの連星が合体したものだと考えられています。この検出に続き、すでにたくさんのブラックホール連星合体からの重力波が検出されています。2017年には中性子星の連星が合体したことにより発生したと考えられる重力波も検出されました。これらの重力波観測はブラックホールなどの大きく曲がった時空の情報をもたらし、これまでできなかったような一般相対論の検証を可能にします。また、ブラックホールの形成過程や中性子星を構成する高密度物質などについての理解も進みつつあります。今年中に日本の重力波検出装置であるKAGRAも観測を開始する予定で、重力波研究は大いに盛り上がっています。

略歴

1968年生まれ
大阪の高槻育ち
専門は、宇宙物理学。特に、重力波物理学、宇宙論。
1990年
京都大学 卒業
1995年
京都大学大学院 博士過程修了(学位取得)
京都大学大学院 博士過程修了(学位取得)大阪大学助手
2000年
京都大学基礎物理学研究所 助教授
2003年
京都大学大学院理学研究科助教授
2008年
京都大学基礎物理学研究所教授
2014年から現職
京都大学大学院理学研究科教授