大阪市立大学 宇宙物理・重力 研究室 Research Group for Theoretical Astrophysics, Osaka City University



過去のコロキウム情報[2022年度]


日時:4月8日(金)
講師:中尾 憲一氏(大阪市立大学)
題目:Quantum radiation in gravastar formation II; without gravitational collapse
概要:前回のコロキウムでは、black hole ではなく black hole mimicker と呼ばれる ultra-compact object を形成する重力崩壊に伴う量子論的粒子生成についての先行研究を紹介し、black hole mimicker の一つである gravastar (GRAvitational VAcuum condensate STAR) が最終生成物となる場合には、gravastar 内部の de Sitter geometry に関連した Gibbons-Hawking 温度の熱的放射が生成されるという新しい結果を報告した。今回は、Gibbons-Hawking 温度の熱的な放射について理解を深めるために、静的な球殻で囲まれた真空領域が突然正の宇宙定数で満たされ、gravastar が形成される簡素なモデルでの量子論的な粒子生成について解析した結果を紹介する。このモデルは重力崩壊も地平面形成も伴わないが、熱的な放射が生成される。


日時:4月15日(金)
講師:工藤 龍也氏 (弘前大学)
題目:コンパクト天体周りのPhoton Sphereの安定性とその近傍における光線の分類
概要:1919年に,A. Eddington等によって太陽による光の曲がりが観測されて以来,この現象は重力理論の検証や物質探査のための道具として幅広く活用されてきた.2019年には,Event Horizon Telescopeグループによりブラックホール初撮像が報告され,今後は,強重力場における重力理論の検証が主軸となることが予想される.
 本講演では,強重力領域の指標であるPhoton Sphere (PS)の安定性別に光線がどのような振る舞いをするか議論する.Unstable PSとMarginally stable PS近傍を通過する光の曲がりは発散することが知られているが,Stable PS近傍を通過する光の曲がりは発散しないことを示す.また,静的球対称時空における最外のPSがStableならば,時空は漸近的に非平坦であることを証明する.


日時:4月22日(金)
講師:佐合 紀親氏 (大阪公立大学)
題目:ブラックホール疑似天体を周回する粒子の運動と重力波
概要:銀河中心に存在する大質量天体とそれを周回する恒星質量程度のコンパクト星からなる大質量比連星は、宇宙重力波望遠鏡LISAの主要ターゲットの一つである。一般に、大質量比連星からの重力波を予測する際には、中心の大質量天体をブラックホールと仮定 する。しかし、仮に中心天体がブラックホールに似た特異コンパクト天体である場合には、重力波波形にブラックホールの場合とは異なる特徴が現れると予想される。
ブラックホールと特異コンパクト天体の違いは近傍のみに現れるとするならば、その違いを重力場方程式の境界条件の違いとして表現できる。本発表では、中心天体表面の境界条件をpure-ingoing条件から変更した場合に、周回するコンパクト天体の軌道進化と重力波波形がどのように変化するのか、また、その変化をLISAで検出できるのかを議論した最近の研究について紹介する。


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