過去のセミナー情報(2005年度)


日時 : 3月20日 (月) 15:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : On the algebraic curves in (p,q) minimal string theory
講演者 : 福間 将文氏 (京大)

概要: Loop amplitudes in $(p,q)$ minimal string theory are investigated in terms of the continuum string field theory based on the free fermion realization of the KP hierarchy. The Schwinger-Dyson equations for FZZT disk amplitudes are derived directly from the $W_{1+\infty}$ constraints in the string field formulation, and the associated algebraic curves are analyzed for general backgrounds. Annulus amplitudes of FZZT-FZZT, FZZT-ZZ and ZZ-ZZ branes are also discussed. [hep-th/0602274]
日時 : 2月8日 (水) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : Triangle Anomalies from Einstein Manifolds
講演者 : 立川裕二氏 (東大)

概要: AdS/CFT 対応においては、CFT 側の三角量子異常は AdS側の Chern-Simons 項に対応する。そこで、type IIB 超重力を 五次元 Einstein 多様体 X x 五次元 AdS 空間で考えた場合に、 AdS 側の CS 項を Kaluza-Klein 還元によって決定する方 法を説明したい。 また、X が 佐々木-Einstein 多様体の場合には対 応する CFT を与える箙ゲージ理論が知られている。その三角量子異常を計算し、 重力側の計算と完全に一致することを示したい。 この講演は共同研究 hep-th/0601054 に基づく。
日時 : 12月27日 (火) 15:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : Circular loop operators in conformal field theories
講演者 : 河本祥一氏 (University of Oxford)

概要: The notion of the conformal dimension for a local operator is an important tool in studying CFTs. Some conformal field theories, like N=4 supersymmetric Yang-Mills have non-local observables, notably Wilson loops. I will explain what the analog of a conformal dimension is for such observables.
日時 : 11月1日 (火) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : Origin of Pure Spinor Superstring
講演者 : 相阪 有理氏(東大)

概要: Dブレインを手掛りとし、超弦理論の非摂動的性質や、 ゲージ理論との対応が活発に調べられるようになって久しいが、 Dブレインと結合するゲージ場であるRamond-Ramond(RR)場中の超弦理論の解析は、 従来の手法では特殊な場合を除いて困難であり、十分には行われてこなかった。 そのような中、 近年Berkovitsにより提唱された超弦理論のピュア・スピノル(PS)形式は、 一般のRR背景場中で超弦理論を定式化する手法として大変有望である。 しかし、一方で、 理論のスペクトル・散乱振幅等の計算規則等が全て天下り的に与えられており、 これらの規則と、弦理論としての世界面上の対称性との関連が理解されていなかった。 最近、我々は、Green-Schwarz形式と等価な、ある古典作用から出発し、 PS形式のスペクトルを定めるBRST演算子を系統的に導出することに成功した。 本セミナーでは、PS形式の簡単な復習からはじめ、 我々の得たこの結果についてお話させて頂きたい。
参考文献: JHEP 0505(2005)046, [hep-th/0502208]
日時 : 9月27日 (火) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : BMN Operators from Wilson Loop
講演者 : 三輪 光嗣氏(京大)

概要: AdS/CFT 対応は超弦理論とゲージ理論の双対性の研究において非常に重要です。  ゲージ理論の Wilson Loop は、超弦理論の弦そのものと対応することが予想されており、   特に興味深い演算子です。  私たちは、これまでに提案されている弦の振動状態に対応する演算子(BMN演算子)が、  Wilson Loop の振動モードに対応した演算子と解釈できることを見出しました。   こうした対応は、Wilson Loop と弦場、さらには Wilson Loop のループ方程式と  弦場の Hamiltonian の間に密接な対応があることを期待させます。  セミナーでは、まずWilson Loop とBMN演算子の関係を明らかにし、  次に4次元 N=4 SYM のループ方程式の解析を行います。
日時 : 10月4日 (火) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : Solving Spectral Problems in AdS/CFT
講演者 : 酒井 一博氏(Laboratoire de Physique Theorique de l'Ecole Normale Superieure, France)

概要: Integrability enables us to obtain the complete spectrum of the classical solutions in IIB superstrings on $AdS_5\times S^5$ and of the long operators in large N ${\cal N}=4$ super Yang--Mills at one-loop. General solutions are described in terms of algebraic curves. I present the construction of the solutions and make a comparison between both sides of AdS/CFT, introducing novel features of supersymmetric Bethe ansatz equations.
(based on hep-th/0410253, hep-th/0502226, hep-th/0503200)
日時 : 9月20日 (火) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : AdS5 x S5 超弦理論の可積分性
講演者 : 佐藤 松夫氏(Univ. of Rochester)

概要:  AdS5 x S5 超弦理論の可積分性を調べた。Bena, Polchinski, Roiban らが得 たものと等価なフラットカレントのワンパラメータファミリーが一般化された Z_4変換のもとで明白に不変であることを示した。Z_4対称性はこの理論の等長変 換PSU(2,2|4)の自己同型なので一般化されたZ_4対称性はカレントの解析を単純 化する。  また、この理論の正準解析を行った。特に、カレントのポアソン括弧を計算し た。このポアソン括弧はシュインガー項を含んだ代数をなすことが分かった。 シュインガー項のためにこの系の量子可積分性を知るには更なる解析が必要である。
論文: hep-th/0411200 (JHEP 0412 (2004) 055) Ashok Das, Jnanadeva Maharana, A. Melikyan, Matsuo Sato "The Algebra of Transition Matrices for the $AdS_5 \times S^5$ Superstring" +hep-th/0508183
日時 : 8月24日 (水) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : Dissolving D0-brane into D2-brane with background B-field
講演者 : 佐藤 可直氏(東大)

概要: 背景磁場 中のD2-brane上に置かれたD0-braneは不安定であり、D2-brane上に溶解すると 考えられる。この系の開弦理論はSeiberg-Witten極限において非可換ゲージ理 論により記述され、D0-braneの溶解は不安定なゲージ場のソリトン解として記 述される。D0-braneの溶解過程はnon-BPS D-braneの消滅の場合と異なり、開 弦自由度の消滅の困難を伴わない。本講演においてはゲージ場の運動方程式を 数値的に解くことにより、ソリトン解が非可換平面上で拡散していくこと確か める。さらに行列模型において導出された形式をもちいてD-brane電荷、基本 弦電荷、エネルギー密度の分布を見積もり、これらの分布がタキオン凝縮の過 程とともにD2-brane上において拡散していく様子を見る。また進行中の関連し た研究について議論する予定である。
日時 : 6月28日 (火) 14:00〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : Radiative Corrections to Neutrino Reactions off Proton and Deuteron
講演者 : 窪田 高弘氏(阪大)

概要: Radiative corrections are calculated for antineutrino proton quasielastic scattering, neutrino deuteron scattering, and the asymmetry of polarised neutron beta decay from which $G_{A}/G_{V}$ is determined. A particular emphasis is given to the constant parts that are usually absorbed into the coupling constants, and thereby those that appear in the processes that concern us are unambiguously tied among each other.
日時 : 6月1日 (水) 14:00〜
場所 : 理学部第6講義室
題目 : 1/2 BPS ボーテックス解の構成とそのモジュライ空間
講演者 : 大橋 圭介氏(東工大)

概要: 超対称 U(Nc) ゲージ理論における1/2 BPS ボーテックス解のモジュライ空間 は、Dブレイン解釈によって間接的には決定されていたが、今までBPS 方程式 を解くという直接的な方法による理解は成されていなかった。 我々はBPS方程式をある種の仮定の下で「解く」事によって、直接的にボーテ ックス解のモジュライ空間を決定した。その結果はその空間の次元など知られ た結果を再現するが、既知のことだけでなく、解の形状との対応関係を議論す ることによって新しい知見をもたらすことを示す。
日時 : 5月31日 (火) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : 量子特異点系としての N=3 Calogero model
講演者 : 米澤 信拓氏(KEK)

概要 :N=3 Calogero模型は1969年にCalogeroによって解かれた 非常に古い量子可解模型である。これを近年開発された量子特異点の手法を用いて より一般的な解と準位を求め、量子特異点の持つ対称性について説明する。

日時 : 5月17日 (火) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : Tachyons in Compact Spaces
講演者 : 須山 孝夫氏(京大)

概要 :タキオンを含む弦理論の存在は以前から知られていたが、近年になって そのような理論の真の意味についての理解が深められた。  具体的には、摂動論で得られたスペクトラムにタキオンが存在したとしても、 そのような理論には安定な「真の真空」が存在する場合があることが認識された。 一口にタキオンと言っても実際には幾つかのカテゴリーが存在し、「真の真空」に ついての議論は全ての場合に対して成功しているわけではない。  我々は、まだ理解されていないタイプのタキオン、具体的にはコンパクト空間内で 局在しているタキオンを含むような弦理論について議論し、少なくともある種の理論に ついては安定な「真の真空」が存在することを示す。

日時 : 4月26日(火)16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : Gauged Linear Sigma Model on Supermanifold
講演者 : 関 穣慶氏(京大)

概要 :近年、超対称Yang-Mills理論のMHV振幅に関するtwistor変換と超多様体CP(3|4)上の 位相的弦理論が注目されてきたが、超多様体上の超弦理論そのものについては未だにあまり よく知られていない。そこで、これを調べる道具としてのgauged linear sigma modelを 超多様体上で構成し、真空構造を明らかにする。また、境界のある世界面を考え、超対称性に ついての境界条件から、超多様体の中にどのようなD-braneが存在し得るかを議論する。

日時 : 4月19日 (火) 16:30〜
場所 : 理学部第10講義室
題目 : 超弦理論とQCD
講演者 : 杉本 茂樹氏(京大基研)

概要 :超弦理論の中で QCD を実現する D ブレインの配位を提案し、 それを超重力理論が使える近似の範囲で解析する。 QCD におけるカイラル対称性の破れなどの現象をこの枠内で導き、 さらにハドロンのスペクトラムや相互作用をかなりうまく再現する ことを示す。

本セミナーは21世紀COEプログラム「結び目を焦点とする広角度の数学拠点 の形成」の支援を受けて開催されております。