セミナー情報(2011年度)

日時 : 2012年1月31日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室1
題目 : SU(3) 12フレーバー理論におけるconformal fixed pointについて
講演者 : 伊藤悦子氏

概要 : 近年、格子シミュレーションによる4次元非可換ゲージ理論の赤外固定点の探索が盛んに行われている。 その動機は理論的な興味はもちろんのこと、 さらに、そのような理論が存在する事で素粒子標準模型のヒッグスセクターの起源を 説明できる模型を構築できる可能性があるためである。 様々なゲージ理論の中でも、特にSU(3)ゲージ理論の12個のフェルミオンが結合した系は、 いくつかの独立なグループが研究しているが、 この理論に赤外固定点が存在するか否かの一致した結論は未だ出ていない。 本講演では、関連研究を紹介すると共に、格子シミュレーションを用いてどのように固定点の存在を調べるか、 また、どのように固定点近傍での臨界指数の導出するかについて詳しく解説する。


日時 : 2012年1月17日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室2
題目 : ハミルトニアン力学の幾何学化を使った高階キリングテンソルを持つ時空の構成
講演者 : 宝利 剛氏(阪市大数研)

概要: 曲がった時空上で自由粒子の運動を考えるとき、 運動の定数(保存量)の存在と時空の対称性が深く関連していることが知られている。 実際、ネーターの定理として知られているように、 運動量の1次で与えられる保存量の存在は時空に作用する等長変換群(アイソメトリー)の存在と等価である。 この考え方を拡張して、運動量の2次以上の保存量が存在するとき、 時空に「隠れた対称性」が存在すると言われる。 このような自由粒子の運動に保存量を与える4次元時空の例はたくさん知られているが (例えば、カーブラックホール時空)、それらはすべて運動量の2次の保存量を与えており、 運動量の3次以上の保存量を与える4次元時空の例は知られていなかった。 そこで我々は、2次元空間で運動量の高次の保存量を与える例を4次元時空に持ち上げる手法 (アイゼンハートリフト)を利用し、 運動量の3次以上の保存量を与える4次元時空の例をいくつか構成したので紹介したい。 またこれらの例がハミルトニアン力学においてどのような意味を持つのかについて話したい。

参考文献:1103.5366


日時 : 12月13日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室1
題目 : Cosmological inflation and perturbation in higher-dimensional gauge theory
講演者 : 小山陽次氏(中央大)

概要 : 初期宇宙のインフレーションは現在の宇宙論に不可欠であるが、 そのモデルづくりにはポテンシャルのパラメタの微調整問題があった。 我々は高次元ゲージ理論に基づいたインフレーションモデルを提案する。 高次元ゲージ場の余剰次元成分は4次元ではスカラー場である。 このスカラー成分をinflaton、又curvatonに応用することで微調整問題のないインフレーションモデルが構築できる。


日時 : 12月6日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室1
題目 : W(1+infinity) algebra as a symmetry behind AGT relation
講演者 : 柴正太郎氏(KEK)

概要 : AGT(-W) relation claims that the partition functions of 4-dim N=2 supersymmetric quiver gauge theories correspond to the correlation functions of Liouville (Toda) field theory times so-called "U(1) factor". We take notice of this factor, and then find some evidences which imply that W(1+infinity) algebra describes the symmetry behind AGT(-W) relation. In this seminar, I want to start from the concrete form of AGT(-W) relation, and to explain clearly why this U(1) factor is related to W(1+infinity) algebra.


日時 : 11月29日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室1
題目 : fundamental string solution on T-fold background
講演者 : 菊池徹氏(京大理)

概要 : 弦理論に存在する奇妙な時空の一つにT-foldというものがある。通常の時空では、時空を覆うpatchを変えるこ とは座標変換に対応するが、 このT-foldでは、patchの変換はより一般のT-dual群変換に対応する。最近になっ て、de Boer, Shigemoriによって、5^2_2と呼ばれるbraneの重力解がT-foldの簡単な具体例になっていることが 発見された。 T-foldのような時空の性質をよりよく理解するために、その時空中で様々なprobeがどのような振る舞いをする かを調べたい。そのような動 機に基づいた研究の一環として、我々は5^2_2の周りを等角速度で回転運動する弦 の解を具体的に求めたので、これを紹介したい。この弦の解は 5^2_2の周りを回転するにつれ、時々刻々とT- dual群の作用を受け、その形を変化させていくようなものになっている。 この発表は同じく京都大学理学部の岡田崇氏と酒谷雄峰氏との共同研究に基づきます。


日時 : 11月15日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室1
題目 : De Sitter solutions in warped compactifications and modulus stabilization
講演者 : 鵜沢報仁氏(近大)

概要 : We present several exact solutions of the warped de Sitter spherical compactifications in the higher-dimensional gravitational theory coupled to scalar and several kinds of gauge fields. We then discuss the realizability of the de Sitter spacetime and the stabilization of modulus corresponding to the overall size of the internal space at the minimum of the potential in the lower-dimensional effective theory, because of the balance of the contributions of the field strength and the curvature of the internal space. The modulus settles down at the local minimum where the extra dimensions are fixed. We show that in both pictures of the higher-dimensional theory and the lower-dimensional effective theory the de Sitter solutions can be obtained only if there is the 0-form field strength in the higher-dimensional theory.

References:
[1]Masato Minamitsuji, Kunihito Uzawa, arXiv:1103.5326 [hep-th]
[2]Masato Minamitsuji, Kunihito Uzawa, arXiv:1109.4818 [hep-th]
[3]Masato Minamitsuji, Kunihito Uzawa, arXiv:1110.2843 [hep-th]


日時 : 6月30日(木)15:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室2
題目 : ε-Corrected Seiberg-Witten Prepotential Obtained from Half Genus Expansion in β-Deformed Matrix Model
講演者 : 米澤信拓氏(大阪市大)

概要 :  2009年に発表されたAGT予想は、 四次元の超ゲージ理論と二次元の共形場理論の対応を指摘したもので、 発表以後、非自明な検証をことごとくパスしており、 およそ正しいものであると信じられ、AGT"対応"と呼ばれている。 この対応関係を仮定し、一方の量を他方で求めるという応用も多々なされている。  発表者らは、二次元の共形場理論に対応するベータ変形された行列模型のラー ジN展開を考慮し、 自由エネルギーの展開をおこなった。 これは、AGT対応を信じると超ゲージ理論側のサイバーグ-ウィッテン・プリポテ ンシャルの ε補正を得たことに相当している。 本発表ではその詳細について解説する。


日時 : 6月29日(水)16:30〜
場所 : 大阪市立大学  2号館220A号室
題目 : d=4, N=2 wall-crossing現象とD-brane上の場の理論
講演者 : 西中崇博氏(KEK)

概要 : 4次元のN=2超対称性を持つ理論におけるBPS状態の縮退度は、 black hole entropyやSeiberg-Witten理論におけるdyon spectrumとの関連から、 これまで盛んに調べられてきた。 特に近年、縮退度のmoduli依存性(wall-crossing phenomena)を支配する公式 が提唱され、 理論のmoduliを変化させた時にBPS状態の縮退度がどのように変化するかを調べ られるようになった。 本講演では、特にCalabi-Yau 3-fold上のtype IIA string theoryにおいて、 Calabi-Yauに巻き付いたBPS D-branesの縮退度とそのmoduli依存性、 またD-brane上の場の理論におけるinstanton countingとの関係について議論する。


日時 : 6月28日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室2
題目 : Invariant Mass Distribution of Jet Pairs Produced in Association with a W boson in ppbar Collisions at sqrt(s) = 1.96 TeV
講演者 : 山本和弘氏(大阪市大)

概要 : 米国フェルミ加速器研究所のCDF実験で得られた、高エネルギー 陽子反陽子衝突からのWボソン+2ジェット生成事象解析の最新結果 を紹介する。解析に用いたデータは4.3fb-1の積分ルミノシティに相当 する統計で、重心系エネルギーは1.96TeVである。得られた解析結果 からは、2ジェットの不変質量分布の120-160GeV/c2の範囲に、標準 理論やデータの統計的・系統的不定性では説明が難しい事象の超過 が見られた。今回の講演では、このデータ解析について、関連分野や 競合する実験の結果等も含めて解説する。


日時 : 6月7日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室2
題目 : 多宇宙の波動関数と宇宙項問題
講演者 : 岡田崇氏(京大)

概要 : 宇宙項問題は120桁ものfine-tuningを必要とするため、 素粒子・宇宙論において最も深刻な「ヒエラルキー問題」の一つである。 本セミナーでは、多宇宙において宇宙項問題が自然に解決される可能性について、 量子宇宙論に基づいて議論する。 この種の議論は1989年の Colemanの研究から始まったが、 それはユークリッド重力に基づいた解析であるために、 解析の正当性や我々のローレンツ時空との関係は不明瞭である。 このような動機から、本セミナーでは物理的なローレンツ時空に基づいて宇宙項問題を議論する。 Wheeler-DeWitt方程式によって与えられる宇宙の波動関数は、 宇宙項が消えるような確率分布をもつことを示す。 また、宇宙項以外の物理量としてQCDのθパラメータやヒッグス質量についても議論する。


日時 : 5月17日(火)16:30〜
場所 : 学術情報センター9階グループ研究室2
題目 : 完全 WKB 解析と Heun の方程式の固有値問題
講演者 : 小池達也氏(神戸大)

概要 : 完全WKB解析 (exact WKB analysis) とはBorel総和法に もとづくWKB法のことで、1983年にVorosにより導入されて以降、 "asymptotics beyond all orders" として近年活発に研究されている 漸近解析の新しい流れの端緒の一つとなったものである。 この講演では1次元シュレーディンガー方程式に対する完全WKB解析について、 Borel 総和法やWKB解の接続公式といった完全WKB解析の基本事項を概説した後、 Heun の方程式の固有値問題を題材にして、その応用法について解説する。





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