! 坪田教授 大阪科学賞 受賞 !

大阪市立大学大学院・理学研究科・数物系専攻・物性物理学講座・素励起物理学研究室の坪田誠教授が、第24回(平成18年度)大阪科学賞を受賞されました。


「量子流体力学の研究と新しい超流動乱流の発見」に対して数物系専攻(物理学科)の坪田誠教授が、第24回(平成18年度)大阪科学賞を受賞しました。大阪科学賞は、理学、工学、農学、生物学、医学、薬学、情報科学とそれらの学際的分野において、学術上の顕著な業績をあげた研究者2名に、毎年授与されるものです。坪田教授は、低温物理学の理論を専門とし、近年の一連の量子流体力学の発展に対する貢献と、特に、新しい超流動乱流の発見が評価されました。極低温になった液体ヘリウムでは、量子力学的効果が顕著になり、流体の粘性を失った超流動という状態になります。そして、この超流動状態では量子渦と呼ばれる特殊な渦が出現します。このような量子渦が、下図のように複雑に絡み合った状態を、量子乱流(または超流動乱流)と言います。乱流と言えば、約500年前のレオナルド・ダ・ヴィンチの時代から、物理や数学などの基礎研究においても、また流体工学や航空工学などの応用分野においても、未解決の大問題として知られています。しかし近年、量子乱流が、普通の流体の乱流よりも簡単な乱流の雛形になるということが示され、500年もの間謎であった乱流研究にブレイクスルーが起こるかもしれないと期待されています。坪田教授は、1941年にロシアの研究者が提案した乱流の最も重要な法則が、量子乱流でも成り立っていることを世界で初めて示しました。また、普通の乱流は流れの速度を上げたときに生じますが、流速ではなく温度を変えておこる新しい乱流発生の過程を、ヘルシンキ工科大学との共同研究により、超低温の超流動ヘリウムにおいて発見しました。この研究は「ネイチャー」に掲載され、2003年のノーベル物理学賞が「超伝導と超流動の理論に関する先駆的貢献」の業績に対し3名の物理学者に授与された際、現在もっとも重要な超流動の研究として、ノーベル財団の公式ホームページで紹介されています。坪田教授は、このような量子流体力学の分野において世界をリードする研究業績をあげて活躍しています。

(理学研究科ニュースレターより)

記念講演会
開催日
平成18年11月1日(水) 14:15〜16:30
場所
大阪科学技術センター8階 大ホール
 (大阪市西区靭本町1丁目8番4号)

財団法人 大阪科学技術センター  http://www.ostec.or.jp/
大阪市計画調整局 http://www.city.osaka.jp/keikakuchousei/news/20060921.html
坪田研究室 http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/phys/eep/index.html  量子乱流のムービーはこちら