目標とする温度によって、用いる冷凍器の種類が異なる。それぞれが一長一短の特徴を持つため、目的にあわせた使用が望まれる。
最低到達温度 |
寒剤と手法 |
77 K |
液体窒素 |
4.2 K |
液体ヘリウム4 |
1 K |
液体ヘリウム4の減圧排気 |
0.3 K |
液体ヘリウム3の減圧排気 |
5 mK |
希釈冷凍器 |
1 μK ? |
常磁性体(核スピン)の断熱消磁 |
このうちの上の二つは、単に寒剤中に試料・温度計を導入するか、連続的に寒剤を吹き付けるなどの方法で冷却が行われる。圧力上昇による爆発・窒息・凍傷に注意することは勿論であるが、寒剤に不純物が溶け込んでいる場合は沸点上昇が起こるために温度が一定にならない可能性がある。それ以外は、特に説明の必要はないだろう。
減圧排気は、液体と気体のエントロピー差を利用した蒸発冷凍そのものである。これも、特に説明に必要はないだろう。液体の温度は、蒸気圧曲線にしたがって下がってゆくだけである。
従って、ここでは主に希釈冷凍器と断熱消磁冷凍器について解説する。ただし、断熱消磁冷凍法は常に希釈冷凍器とセットで行う。
なお、以下のように別の特徴をもつ冷凍法もある。
■ポメンランチェク冷却
■熱音響冷凍器
■レーザー冷却