GRASSを用いた地理情報システム入門(4月27日一部改定)
本講座の第1回目の実習として,GISのフリーソフトであるGRASSを入手し,Linuxへインストールする作業とインストールが正常にできているかどうかの確認まで行います.できれば,Linuxも含めて来月の講義(第2回目)までに,インストールを完了しておいてください.今回の実習は,このGRASSのインストールと確認までで終わりです.なお,すでにインストールされている方は自習(ごめんなさい!)です.
本実習では,Unixのコマンドが色々と使われていきます.簡単な説明はしますが,詳細はオンラインマニュアルか,市販の本等で調べてください.Linuxのオンラインマニュアルは,
man コマンド名で調べられます(なお,マニュアルの使い方も,man manでわかります).GRASS5.0Betaのインストール
現在,GRASSのバージョンは5.0betaと4.2.1の2通りがあります.本講座では,version5.0beta6を使用します(GRASS4.2.1のインストール方法をご覧になりたい方は
こちらをクリック).GRASSはインターネットで入手可能です.インターネットを用いて,GRASSを入手するためのWebサイトの1つとしてGRASSの日本のミラーサイトがあります(本講座講師の1人であるラガワンが管理しています).ここからは,GRASSのソフトやバグレポートなどの各種情報が入手できます.[入手方法]
GRASSのインストール方法には,基本的に各自でソースからコンパイルする方法とすでにコンパイルしてあるバイナリー形式のものを再設定する方法と2通りがあります.コンパイル済みのものは,特定のLinux(ライブラリーのバージョンにより異なる)しか動作しないなどの問題が生じます.従って,ここでは,各自の環境等が不明なために,ソースからインストールする方法を説明します.この場合,自動的にコンピュータの各種情報を集めてくるので作業は簡単ですが,コンパイルにはかなりの時間がかかります.また,ハードディスクの空き容量は約260Mbyteが必要です(テストデータにはさらに約30Mbyte).Linuxのディスク容量の確認を確認の上(コマンドdfで確認),作業をはじめてください.
grass5.0betaのソースは下記をクリックするとダウンロードできます.
grass5.0beta6final.tar.gz(21Mbyte)
(注意:オリジナルのGRASSのホームページにも同じ名前のものがありますが,コンパイルできない場合などがあります.それを少し修正しましたので,こちらからダウンロードして下さい.)
Webのブラウザによっては,ダウンロードした際に,名前が変わってしまう場合があります.その場合は,もとの名前に変えて下さい.Unixでファイル名を変えるコマンドはmvです(mv 古いファイル名 新しいファイル名).Linuxまた,Windows等でダウンロードする場合に,zip形式に対応していないという表示が出る場合があるかもしれませんが,そのままファイルを保存する作業を進めて下さい.なお,本講座の正式な受講生でネットワークなどの問題でダウンロードが不可能に近い方はMLで連絡ください.
[インストール]
GRASS5.0Betaのソースからのインストール方法を以下に簡単に説明します.なお,このインストール方法はGRASS5.0Betaに付属したマニュアル(Neteler M.,1999)を,コマンド等の説明を加えて日本語化したものです(
英語のオリジナルはこちらをクリックしてください).Step
0.Linuxを立ち上げ,ログインします.rootでインストールする場合と個人ユーザーでインストールする場合を分けていますので注意してください(rootの権限を持っていない方でもインストールは可能です).例) Welcome to Linux.
XXXX login:
root ↓(以降,
赤色の部分を入力し,↓はリターン(Enter)を意味します).Password:
****** ↓(
******はパスワードで,実際には画面に現われません).ここで示すGRASSのインストールは,基本的にCシェルで行なうようになっているようです.シェルとはコマンドを解釈し,実行するプログラムのことで,Bシェル(プログラムは/bin/bash),Cシェル(/bin/csh),TCシェルなどいろいろあります.Bシェル(Bourneシェル)では,インストールできない場合がありますので,Cシェル以上でインストールしてください.シェルの設定確認を行ないます.つぎのように入力してみて下さい.
echo $shell ↓
Cシェルの場合,
/bin/csh
と表示されますが,Bシェルの場合なにも表示されません.Cシェルの場合は,シェルの設定・変更の必要はありません.シェルの設定はユーザー登録の際に行ないますが,現在動作しているシェルの確認と変更はchshコマンドで行ないます.
chsh ↓ (シェル変更のコマンド)
Password:
****** ↓ (ユーザーのパスワードを入力します,******
はパスワードで,実際には画面に現われません).Changing the login shell for xxxxxx
Enter the new value, or press return for the default
Login Shell [/bin/bash]:
/bin/csh ↓ここで[ ]の中に示されているのが現在のシェルです(この場合はBシェル).Cシェルにするには,赤色で示した様に
/bin/csh と入力してください(Linuxにより表示が異なる場合がありますし,また,別の方法で設定できる場合もあります).シェルの設定を変更した場合は,一度ログオフし,再度ログインしてください.これにより,新しく設定したシェルが動作します.なお,シェルを変更した場合,KDEやGnomeなどのユーザーインターフェース環境を再度設定しなければならない場合もありますので,その際はマニュアル等を良く読んでください.なお,本講座ではgrassというユーザー名で例を示すことが多いので,grassというユーザーを新規に作成し,その際シェルをCシェルに設定するというのも1つの方法です.
Step
1.ソースの保存と解凍ダウンロードしたGRASSのソースを保存するためのディレクトリーを適当な場所に作成します.
rootの場合の例:
mkdir /usr/local/grass5src ↓
ユーザーの場合の例:
mkdir /home/xxxx/grass5src ↓
mkdirはディレクトリ作成コマンドです.ユーザーの場合は
/home/xxxxをユーザー自身のホームディレクトリと読み替えてください.ここに示したものは例で,領域があいていればどこでも良いです(ファイルの権限は必要です).また,Unixのコマンドやファイル構造に不慣れな方は,ここに示した通りに作業を行ってください.このディレクトリに,ダウンロードしたファイル(grass5.0beta6final.tar.gz)を移動させます(ダウンロードしたディレクトリへ移動して行うか,フルパスで書きます.パス(Path)とは目的のディレクトリやファイルまでの道筋のことです).
rootの場合の例:
mv grass5.0beta6final.tar.gz /usr/local/grass5src ↓
ユーザーの場合の例:
mv grass5.0beta6final.tar.gz /home/xxxx/grass5src ↓
mvは移動コマンドです(ここの例では,mv ファイル名 移動先ディレクトリ名:ファイル名を移動先ディレクトリ名へ移動させます).
コピー先のディレクトリーへ移動し,tarコマンドを用いて,解凍します.
rootの場合の例:
cd /usr/local/grass5src ↓
tar -zxvf grass5.0beta6final.tar.gz ↓
ユーザーの場合の例:
cd /home/xxxx/grass5src ↓
tar -zxvf grass5.0beta6final.tar.gz ↓
cdは現在のディレクトリを移動するコマンドです.tarはテープ形式の解凍・圧縮コマンドです.これを実行するgrass5.0betaというディレクトリが作成され,その下にたくさんのディレクトリやファイルが作成される様子が画面に表示されます.なお,grass5.0beta6final.tar.gzファイルは,インストールが完全に修了するまで残しておいた方が安全です(ディスク容量の問題などがある場合は,解凍後は削除してもかまいません.ファイルを削除するためのコマンドはrm ファイル名です).
Step
2.ソースのコンパイルディレクトリをgrass5.0betaに移動して,コンパイルを実行します.CPUのスピードにもよりますが,かなり時間がかかります(環境にもよりますが,PV500MHzの場合,約18分かかりました).
rootの場合の例:
cd grass5.0beta ↓
./configure ↓
make install ↓
ユーザーの場合の例:
cd grass5.0beta ↓
./configure --prefix=/home/xxxx/grass5.0 --with-bindir=/home/xxxx ↓
make install ↓
(/home/xxxxはユーザーのホームディレクトリ)
configureのオプションの--prefix=の後ろは,実行形を除いたGRASSがインストールされるディレクトリー名で,--with-bindir=の後ろは,実行形のプログラムがインストールされるディレクトリー名です
(詳細な説明はgrass5.0betaディレクトリの中のINSTALLを参照して下さい).コンパイルが終了するとつぎのように表示されます.

以上で,インストールは終わりです.rootの方は,一度ログオフして,ユーザーでログインしなおしてください.ユーザーの方はそのままで結構です.つぎに,動作の確認を行なうために,テストデータをダウンロードします.
[テストデータの入手・解凍]
GRASSには,いろいろなテストデータがあります.GRASSの動作を確認するためにもテストデータは必要です.ここでは,grass4.2.1の時代から使われてきたspearfishのテストデータをダウンロードし,テストしてみましょう.テストデータは下記をクリックするとダウンロードできます.
spearfish_grass5data.tar.gz(6.7Mbyte)
これを,ユーザのホームディレクトリへコピーして,解凍します.
cp spearfish_grass5data.tar.gz /home/xxxx/ ↓
cd /home/xxxx/ ↓
tar -zxvf spearfish_grass5data.tar.gz ↓
解凍後に,spearfishというディレクトリができ,その下にテストデータが保存されます.
[GRASSの起動と動作の確認]
GRASSを起動し,動作を確認します.GRASSはX-Windowの環境を利用するため,X-Windowが立ち上がっていない場合は立ち上げます.X-Windowをスタートさせるコマンドは一般的に
startx ↓
です.つぎに,xtermやKtermなどのシェルを立ち上げます.GRASSの起動は,
grass5.0beta6 ↓
です(ユーザーでインストールした場合は,現在のディレクトリがユーザーのホームディレクトリである必要があります).画面につぎのように表示されます.

この画面は,つぎからは表示されません.リターン(Enterキー)を押すと,つぎの画面が表れます.

この画面が,これからGRASSを立ち上げた際に表示される画面です.テストデータで動作を確認するためにLOCATION,MAPSET,DATABASEのところに,つぎのように入力してください.各項目間の移動はリターンです.また,DeleteキーやBackSpaceキーは思いどおりには動かない場合もあります.余分な文字はスペースで消してください.なお,これらの説明は今回は行ないません.
LOCATION:
spearfish_____MAPSET: xxxx__________
(MAPSETには,自動的にユーザー名がはいっています.そのまま利用して下さい)
DATABASE: /home/xxxx____________
(DATABASEは,テストデータを入れたユーザーのホームディレクトリーです)
正しく入力できたならば,ESCキーを押して,リターンキーを押します.もし,中断したい場合は,Ctrlキーをおしながらcを押してください.間違った場合は,再度同じ画面が表示されます.正常に立ち上がると,つぎのように画面に表示されます.

画面の一番下の GRASS 5.0beta6 > がプロンプト(入力促進記号)です.この後ろにコマンドを入れていきます.では,まず色々な図を表示するためのモニターを表示します.
GRASS 5.0beta6 > d.mon x1 ↓
画面上につぎのようなウィンドウが表示されます.

ここに,図を表示してみます.ラスター形式のデータを表示するコマンドは,d.rastです.つぎのように入力してください.
GRASS 5.0beta6 >
d.rast aspect ↓先ほどの,モニターにつぎの図のように表示されます.

これでテストは,完了です.作業を終わる手続きとしては,開いたモニターを閉じます.コマンドはつぎの通りです.
GRASS 5.0beta6 >
d.mon stop=x1 ↓正常にモニターが閉じられると,画面に,
Monitor 'x1' terminated
と表示されます.GRASSを終了するためのコマンドは,exitです.
GRASS 5.0beta6 >
exit ↓画面に,
Goodbye from GRASS GIS
が表示され,プロンプトが元に戻り,終了します.これでインストールとテストが完了します.これから先の話は,次回以降に行ないます.
ハードディスク等の容量の問題で,ソースからのコンパイルが行なえない場合は,Linuxバイナリーを用いてインストールして下さい.
Linuxバイナリーを用いたインストール方法
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