GRASS SEEDS(チュートリアルD)
そろそろGRASSの操作に慣れてきたきたことと思います.そこでこのトレーニング・セッションでは,以前より説明を簡略にしようと思いますので,その点を御了承下さい.
GISには一般的に,複数の条件を満たすエリアを探し当てるという機能があります.このトレーニング・セッションでは,下記の条件のもとに架空の候補地(サイト)を選定する練習を行ない,GISでこれを如何に行なうかを調べて見ましょう.
屋内遊戯場・運動場・駐車場など様々な施設を完備したレジャーセンターを,開発事業団の提示する条件を満たす区画に建設しようと思います.
以下の条件 :-
1. Shepshedから500m以内の距離で,近郊の地域からのアクセスに便利なこと;
2. AとBクラスの道路から,あるいは自動車道から距離450m以内で,車によるアクセスが容易なこと;
3. 高い工事コストを避けるため,傾斜度が2゜以下の土地であること;
4. 土地購入コスト節約のため,農業適性度(Agricultural Grade)がIIIの土地であること;
5. 総合レジャーセンターとしての様々な施設を完備するためにも,最低2.5 hectares(ヘクタール)の面積を有すること;
この章のエクササイズを始める前に,まずGRASSを起動し,データベース等を設定してください.起動や設定は前回のチュートリアルBと同じです.
このトレーニング・セッションでは,GISの操作に関する基本的な知識をさらに発展させるとともに,特に候補地選定作業のための「ふるい分けマッピング(sieve mapping)」の技術を説明します.
Display 1
これから利用するコマンド一覧|
g.region r.buffer r.slope.aspect r.clump d.erase r.report |
Display 2
このレッスンで扱うラスター地図|
ファイル名 |
地図の主題 |
|
landcov |
土地被覆/土地利用 |
このステップでは,Display2にリストアップされた地図の中から,提示された複数の条件を満たす地図をそれぞれ作成するという作業を行います.
最初にモニターを立ち上げましょう.
Command :
d.mon x0作業に入る前に,研究対象地域を北西四分割地に変えます.
Command :
g.regionResponses :
>
Fill in the `form' as follows:
North Edge
East-West
50rows
120,columns 115 になっていることを確認.Command :
d.frame -eDiscussion
このように目的とするサブ領域のウィンドウを設定する作業は,GISにおいて基本的な操作です.GRASSでは,対象とする領域の境界やグリッドの分解能は最初に設定したデフォルト設定で動作します.g.regionコマンドはその後の操作で領域の範囲を修正する働きをします.上の例では,これまでと同じグリッド分解能を指定しましたが,変更することも可能です.d.frame -e
コマンドはグラフィックウィンドウ(モニター)をクリアーし,新しい地域設定を有効にします.最初から2つ目までの条件を満たす地図レイヤーに関しては,練習Bでバッファーゾーンを作った時の操作方法で作成することが出来ます.ある点・線・形態から一定の距離内のゾーンを作成する操作はGISではよく使われます.
Shepshed(地図urbanに示した都市)から500m以内に含まれる地域(セル)を示す地図を作成する必要があります.この作業は次の2段階分かれます.まず第1に,
r.bufferを使ってShepshedとそこから500m以内のゾーンを表示する地図を作成します.次に,r.reclassコマンドで,バッファーゾーン(都市500m以内のエリア)のみを1(またはTRUE),bufferの外側は0(FALSE)と定義して下さい.Command :
r.buffer urban distances=500 output=urbanbufCommand :
r.reclassResponses : Enter name of the layer to be reclassified
>
Enter name of the NEW RECLASSIFIED map
>
urbanbuf2<Esc><Enter>
(Escキー,Enterキーを打つ)レイヤーを以下のように再分類して下さい.
CATEGORY LABEL OLD VAL NEW VAL
distances from these locations
1 0500m
2 1TITLE:
500 meter buffer around urban areas(市街地周辺500m以内のバッファーゾーン)
(クリックすると大きな図が表示されます)
この条件を満たすバッファーゾーン作成の操作は,
urbanbuf2地図を作成した時とほぼ同じ方法(r.buffer コマンド)で行ないます.しかし,この場合は,r.bufferコマンドを使う前に,まず自動車道(Motorway)とA/Bクラスの道路('A'roadsと'B'roads)のみを含む地図を作成しなければいれません.Command :
r.reclassResponses : Enter name of the layer to be reclassified
>
Enter name of the NEW RECLASSIFIED map
>
main_roads<Esc>
(Escキーを打つ)カテゴリーは以下を除いてすべてゼロを与えて下さい.
CATEGORY LABEL OLD VAL NEW VAL
Motorway
3 1'A' roads
9 1'B' roads
11 1TITLE:
Main Roads (Motorway, A and B roads)自動車道とA/Bクラスの道路を引き出した後は,新たな地図
main_roadsに含まれる道路周辺のバッファーゾーンの作成に移りましょう.Command :
r.buffer main_roads distances=450 output=main_roadbufCommand :
r.reclassResponses : Enter name of the layer to be reclassified
>
Enter name of the NEW RECLASSIFIED map
>
main_roadbuf2<Esc><Enter>
(Escキー,Enterキーを打つ)レイヤーを以下のように再分類し,そのレイヤーにふさわしいタイトルとカテゴリーの分類名を与えて下さい.
CATEGORY LABEL OLD VAL NEW VAL
distances from these locations
1 0450m
2 1d.rast
を使って,以上の操作の結果をチェックしてみましょう.
(クリックすると大きな図が表示されます)
この条件をのために,まず
topoファイル(地形データ)から傾斜度を示す地図を新たに作成します.傾斜を求めるコマンドはr.slope.aspectで,ここでは,地形の傾斜(slpoe)だけではなく,傾斜の方位(aspect)も求めておきましょう.Command :
r.slope.aspect elevation=topo slope=slope1 aspect=asp1Discussion
ファイルslope1の内容はそれぞれのセルにおける傾斜の角度,asp1には傾斜の方位が東を基準として反時計回りに角度で示された値が含まれています.d.rastを使って出来たばかりのファイルslope1とasp1を表示してみましょう.
slope1(クリックすると大きな図が表示されます)
aps1(クリックすると大きな図が表示されます)
次は,
r.reclassを使って地図slope1の中で,傾斜が2度以下のエリアには値1を付け,それ以外のエリアはゼロと定義した新しい地図flatを作成します.Command :
r.reclassResponses : Enter name of the layer to be reclassified
>
Enter name of the NEW RECLASSIFIED map
>
flat>
0<Esc><Enter>
(Escキー,Enterキーを打つ)カテゴリーは以下を除いてすべてゼロを与えて下さい.
CATEGORY LABEL OLD VAL NEW VAL
0 degrees
1 11 degrees
2 12 degrees
3 1TITLE:
Flat areas (slope <= 2 degrees)(Next category:___ に
end と入力し,残りの処理を省略しましょう.)再び,
d.rastを使って以上の操作の結果を表示してみましょう.
(クリックすると大きな図が表示されます)
このような条件の指定は簡単に行えます.
r.reclassコマンドを使って農業適性度IIIのエリアを選択するという作業のみです.しかし,与えられた地図に,農業適性度を表わすものがありません.ここでは,この解決策として,土地利用図(landcov)を用いてその中の牧草地(Pasture)と雑木林(Scrub)を農業適性度IIIのエリアと同等のものであるとみなすことにしましょう.Command :
r.reclassResponses : Enter name of the layer to be reclassified
>
Enter name of the NEW RECLASSIFIED map
>
gradeIII<Esc><Enter>
(Escキー,Enterキーを打つ)カテゴリーは以下を除いてすべてゼロを与えて下さい.
CATEGORY LABEL OLD VAL NEW VAL
Pasture(牧草地)
6 1Scrub(雑木林)
7 1TITLE:
Grade III agricultural land再度,
d.rastを使って以上の操作の結果を表示してみましょう.
(クリックすると大きな図が表示されます)
Discussion
GISの操作では,ほしいデータが直接利用できない場合が多く,その代わり「代理」のデータを使わなければならないことがよくあります.この代理のデータはほとんどの場合,実際のデータとほぼ内容的に同じものを提示してくれることは事実ですが,いずれにしてもデータから結論を下す時は慎重に考慮した上で行って下さい.ここでは今まで新たに作成した4つ条件を満たす各地図レイヤー(
urbanbuf2,main_roadbuf2,flat,gradeIII)を1つに合成し,4つの条件を全て満たすエリアのセルのみを示す地図レイヤー(sites)作成しますマッピングの処理は,それぞれの地図を掛け合わせると手軽に行うことが出来ます.その理由がなぜか思い出せない人は,再び練習Bを参照して下さい.
Command :
r.mapacalcResponses :
mapcalc>
mapcalc>
<Enter> (Enterキーを打つ)
(クリックすると大きな図が表示されます)
次は,
sites地図の中でも,さらに5番目の条件で提示されている敷地として最低限必要な面積をもつエリアを選び出します.それにあたっては,r.clumpコマンドを用いて,同じ属性コード値がつながっているブロックのセルを探してみましょう.Command :
r.clump sites output=sites2Command :
d.rast sites2
(クリックすると大きな図が表示されます)
Discussion
これで,それぞれのブロックのグループを形成したセルはそれぞれに新しいコード値が与えられました.これより各ブロックの面積を計測することが出来ます.Command :
r.report sites2 units=hectここで得られた面積が
2.5ヘクタール以上のエリア(背景(back ground)を除いて)のカテゴリー名を書き留めておきましょう.Display 3.
2.5ヘクタール以上のカテゴリー|
カテゴリー番号 |
面積(ヘクタール) |
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この情報から,
r.reclassコマンドを用いて,当初提示された複数の条件を全て満たすレジャーセンターの候補地を指定します.それぞれの可能性のあるサイトは別々に分類する必要があります.Command :
r.reclassResponses : Enter name of the layer to be reclassified
>
Enter name of the NEW RECLASSIFIED map
>
sites3>
2 All values set to null (no data)<Esc><Enter>
(Escキー,Enterキーを打つ)新しい地図
sites2をさらに再分類します.面積2.5ヘクタール以上と思われるエリアのカテゴリーを個別に1,2,3…とし,2.5ヘクタール以下のエリアはnullと分類して下さい.また,"
Potential site 1", "Potential site 2"というように,各カテゴリーに適切なラベルを与えて下さい.さらに,この地図に適切なタイトルを与えてください.
さて,以上の操作でレジャーセンターの建設地として最も適したサイトを選定することができました.あとは,道路網や市街地などの良く知られた目じるしと比べられるようにすると役に立ちます.この作業は,マップセットの中からどれか地図レイヤーを選び出して,その上に完成したsiteマップを重ねるという操作によって行われます.
必要ならば,まず
g.listコマンドを使って保管されている地図の種類を調べて下さい.次に,d.rast -oコマンドで,複数の地図のイメージを重ねて一つにします.そして最後に,sites3地図をその合成地図の上に重ね合せます.
(クリックすると大きな図が表示されます)
これ以外にも,完成図を表示するコマンドとして,
d.his, d.grid, d.label, d.scaleなどがあります.これらのコマンドは対話的に,あるいはコマンドラインからも使えます,一度試してみてください.
g.manual
コマンドでその他の表示コマンドのリストを見ることもできます.この章で作成したラスター地図は,次は使いません.もし,必要ならば,これらの地図をすべて削除することによってディスクの空きを確保することができますが,この作業は十分慎重に行って下さい.まず,最初に
g.listコマンドで,現在ディスクに保管されている地図レイヤーを全て再確認して下さい.ここで覚えておいてほしいのは,削除するのはPERMANENTマップセットのファイルではなく,自分自身のマップセットで作成したファイルということです.GRASSを終了するためには,まずこのセッションの間に開いたウインドウを閉じなければいけません.
Command :
d.mon stop=x0最後に,GRASSを終了して下さい.
Command :
exitGOOD BYE from GRASS !
これで終了です.