地球科学におけるGRASS GIS入門 (第4回:7月25日)

 実習です!!


GRASSの操作

 本講座の第4回目は,GRASSのデータベース設定とラスターファイルの入力・表示等を行います.第2回・3回の実習で説明したコマンド等も再度説明します.


データベースの設定

 GRASSでの作業は前回の講義で示した構造を持つデータベースのもとで行なわれます.従って,最初にデータベースを作成する必要があります.データベースの作成には次に示す情報が必要です.

1.LOCATION(地域名)

2.MAPSET(地図名)

3.DATABASEデータベースを格納するディレクトリ

4.使用する座標系

5.対象地域の位置座標およびグリッド解像度の標準値

6.タイトル

 LOCATIONとして,”hyougo”などの地域名を選び,MAPSETとして”landslide”とするなど適当な名前(プロジェクト名やユーザー名など)を定めます.DATABASE名はデータベースのデータを保存するUnixのディレクトリを指定します(このディレクトリはあらかじめ存在する,あるいは作成しておく必要があります).座標は種々の座標系で取り扱えるようになっています.なお,UTM座標系を用いる場合はUTM座標値やゾーンがわからない場合が多いですが,そういう場合は適当な値でテスト的にデータベースを作成するか,あるいは,既存のデータベースを立ち上げます(ここでは,前回利用したleicsでとりあえず立ち上げてください).GRASSのコマンドが利用できる状態になれば,緯度経度からUTM座標値に変換するコマンドを用いて正しい座標値等を求め,そのUTM座標値をもとに再度正確なデータベースを作成します.

 これらの初期設定の手順を以下に示す.また,その例をリスト(ルーペをクリックしてください)に示します.

@GRASSを起動する.”WELLCOME TO GRASS”の画面が表示されるのでリターンを押す(すでに,leicsを利用したので,この画面は出てきません).

A例に示した画面になるので,LOCATION,MAPSET,DATABASE名を入力する.なお,linuxのキーボード設定によっては矢印キーやBS(バックスペース)やDeleteキーを受け付けない場合があります.異常な動作をした場合は,Ctrl+c(コントロールキーとcのキーを同時に押す)により終了します.カーソルの行間移動はリターンで行い,間違った場合は再度入力する.正しく入力したことを確認し,ESCキーを押して次へ進む.

Bデータベースの座標系を選択します.

 0.x,y,1.UTM,2.state plane,3.緯度経度,99.その他

の5つの中から選択します(0,3以外の座標系にはゾーン等が必要です).

C必要ならばタイトルを入力します.

D北端・南端・西端・東端の座標値および東西・南北各方向の解像度を入力する(座標系により単位や与え方が異なります).

E調査地域に応じた楕円体の名称を入力する.どの楕円体を利用するかは国によって異なりますが,日本でUTMを用いる場合はbesselを選択します.これでLOCATIONの作成が終了します.

FAの画面が再表示されるのでESCキーを押し,新しいmapsetを作成する.

 以上でデータベースの作成が終了します.一度作成したデータベースに関してはB以降の操作を繰り返し行なう必要はありません.なお,GRASSを起動した場合には必ずAで示した画面が表示される.

 

[座標値変換:緯度経度座標→UTM座標]

 GRASSには種々の座標間の変換コマンドがあります.緯度経度座標値からUTM座標値へ変換する場合はm.ll2uを用います.UTMのゾーンが分からない時もm.ll2uで知ることができます.なお,2つ以上のゾーンにわたる場合は,中心となるゾーンを利用することにより歪を少なくできます.座標変換を行う場合の手順を以下に示します.また,実行例をリストに示します.

@コマンドm.ll2uを実行します.

A参照する楕円体を指定します(besselと入力します).

BUTMのゾーンを指定します.わからない場合は指定しない(自動的に計算されます).

Cたくさんの緯度経度座標値を一度に変換する場合はファイルにあらかじめ作成しておき,結果をファイルに出力します.ファイル入力でない場合はそれぞれリターンを押します.

Dいろいろなフラグの設定がありますが,一般的にはすべてデフォルトでよい(リターンを押す).

E変換したい緯度経度座標を指示された形式にしたがって入力します.秒以下の値は小数点形式を用います.別の座標値を変換したい場合は同様に入力して下さい.終了する場合はendと入力します.

 


では,実際にGRASSを起動して,下記の地域のデーターベースを作成してみましょう.LOCATION名,MAPSET名は適当につけてください.座標系はUTMを用いてください.分解能は縦・横とも30mとします.なお,この地域は今回の実習用に作成した架空の地域です.DEMも実際には存在しない地形のものです.ご了承下さい.

(ヒント:まず,前回行った実習の地域(leics)で起動して,m.ll2uコマンドで本地域の南西(左下)のUTM座標を求めてください.southとwestはその値にして,northとeastは表示している座標値の差の値をそれぞれ足した値で設定します.つまり,north=south+6690,east=west+6090となります.

また,この地域のアスキー形式のDEMを準備しましたので,下記のdem.tar.gzをクリックしてダウンロードして,解凍し,ラスターレイヤーを作成してください.ラスターデータはUTMの座標系になっており,格子数は縦223×横203で,分解能は30×30mで,単位はmです.領域は上の図の全域です.ラスター名はファイル名と同じく"dem"として下さい.アスキー形式のラスターを入力するコマンドは,r.in.asciiです.

dem.tar.gz (47KByte) (ブラウザの設定によりファイル名が変わった場合は,変更してください)

tar -zxvf dem.tar.gz      (解凍方法.demというアスキーファイルが出来上がります)

(ヒント:アスキー形式のラスターファイルにはヘッダー部が必要です.ダウンロードし,解凍したものはヘッダー部分の実際のUTMの座標値が入っていませんので,各自でデータベースを設定した領域と同じ値を入れてください.Unixのxeditコマンドやviを使うか,windows等のエディターソフトを使うことも可能です.)

r.in.asciiの利用説明のリストを示します

さらに,ラスターに関係した以下に示すコマンドを実行して,断面図や傾斜分布図,3次元表示図等を作成してみて下さい.なお,コマンドの簡単な日本語説明をリスト形式で準備していますのでクリックして見て下さい.なお,説明に示したものと同じものを入れても動作しない場合もあります.説明をよく読んで下さい.

モニターの起動:d.mon

画像の表示:d.rast

色の設定変更:r.colors

断面図の作成:d.profile

傾斜分布図の作成:r.slope.aspect

3次元表示:d.3d

注意:今回作成したファイルやMAPSETは今後も利用しますので,終了時に削除しないで下さい!!

 


 以上で,今回の実習は終了です.

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