地球科学におけるGRASS GIS入門(第5回)

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第5回目の講義です.今回は前回に引き続きGRASSの持つ機能を説明します.前回同様,マニュアル的になってしまいました(なぜか,実習の方が講義のようです).このマニュアルはベクトルプログラムモジュールが残っています.

実習ではGRASSの前回入力した地形データを用いて,r.mapcalcにより簡単な地形解析を行います.


3-5-3.ファイル・地域管理モジュール

----- ファイルの管理(コピー・削除・名前の変更) -----

g.copy:各種データファイルのコピー.現在のmapsetにおけるラスターやベクトルデータなどを属性ファイルを含めて適切な要素ディレクトリーにコピーする.

g.remove:各種データファイルの削除.現在のmapsetにおけるラスターやベクトルデータなどを属性ファイルを含めて削除する.

g.rename:各種データファイルの名前の変更.現在のmapsetにおけるラスターやベクトルデータなどを属性ファイルを含めて名前を変更する.

----- ヘルプ機能(オンラインヘルプ・マニュアルの参照) -----

g.help:GRASSのオンラインヘルプコマンド.データベースの設定,データベース管理ツール,ウインドウ管理,データ変換,他のソフトとのインターフェース,地図のデジタイズ,画像処理,地図表示,地図のプリント,報告書作成,マクロ開発,用語解説などの項目がある.

g.manual:コマンドのオンラインマニュアル.それぞれのコマンドを指定して,マニュアルを参照できる.

----- 対象地域の管理(範囲,分解能の変更) -----

g.region:対象とする地域の範囲と分解能を変更したり,標準に戻したりするなどの管理を行うコマンド.

 

3-5-4.画像処理モジュール

----- 画像の合成等 -----

i.composite:指定した3つの画像バンドファイルからカラー合成画像を作る.

i.group:画像ファイルのグループやサブグループの形成および編集を行う.

i.grey.scale:ラスター地図レイヤーにグレイスケールカラーテーブルを割り当てる.

----- 画像の位置合わせ等 -----

i.target:画像は通常xy座標系のLOCATIONで取りこみます.それをUTM座標系のLOCATIONに変換して用います.このためには,3つの作業が必要です.まず,i.targetコマンドでUTM座標系側のLOCATION(ターゲットロケーション)とマップセットを指定し,次に,i.pointsで位置あわせのための座標を求め,i.rectifyで実際にUTM座標系側に変換します.なお,座標が正しくわかっている場合(例えば,国土地理院の地図画像2万5千など)は,i.pointsは必要なく,vi等で座標の対応関係を指定することができます.

i.points:座標変換を行う際に必要となる座標変換マトリックスを2つの画像を表示しながら作成します.リモートセンシング画像や空中写真を地図に正確に合わせるためには通常GCP(グラウンドコントロールポイント)という位置の情報が必要となる.画像と地図を見比べながら,確実な同一地点を選ぶことにより,これらを作成します.i.pointsはズーム機能があり,拡大表示しながら作業を行えます.座標変換マトリックスはそのまま,座標変換コマンドi.rectifyの入力として利用できます.

i.rectify:コマンドi.pointsによって作られた座標変換マトリックスを用いて,画像の座標変換(位置合わせ)を行います.このプログラムは,変換時には近傍点のリサンプリングをおこないます.また,線形アフィン変換を用いています.

i.rectify2:i.rectifyと似ていますが,1次,2次あるいは3次の多項式を用いていた座標変換を行います.

----- 画像の多変量解析(分類等) -----

i.class,i.cluster,i.maxlik,i.gensig:組み合わせて何段階かの処理により,ラスターレイヤーの分類を行います.画像処理で一般的な教師つき分類や教師なし分類を実現します(詳細な説明は省略します).

i.pca:主成分分析(Principal Component Analysis)を行います.

----- 画像の磁気テープ等入力 -----

i.tape.mss,i.tape.tm,i.tape.spot:1/2インチ磁気テープからLandsat MSS,Landsat TMおよびSPOTの画像データ等を読み込みます.

 

3-5-5.サイト(位置)プログラムモジュール

----- サイトデータの入出力 -----

s.in.ascii:サイトデータをアスキー形式で入力します.入力は標準入力(キーボード)あるいはinput=nameでファイルから入力できます.入力は位置(easting, northing)およびカテゴリーラベルを入れます.fs=nameオプションで入力フィールドの間に指定されたセパレータを指定できます.セパレータは,文字,空白,あるいはタブのいずれかです.

s.out.ascii:既存のサイトリストファイルをASCII形式で出力します.

----- サイトデータから曲面の推定(ラスターの作成) -----

s.surf.idw,s.surf.tps:ランダムに分布するサイトデータの位置の値を満足する曲面をラスター形式で作成します.例えば,色々な位置で測定した重力値を補間して曲面を求めたりします.また,等高線をデジタイズし,そこから地形図(dem)を作成したりもします.なお,オプションとして種々のラスター計算を行う機能もあります.

 

3-5-6.ハードコピー出力モジュール

----- 出力プリンターの設定 -----

p.select:ハードコピーのための出力装置を選びます(ヒューレットパッカードのプリンターは設定した経験があるのですが,他は経験がありません.ドライバー等のすりあわせが面倒な場合があり,Unixの知識が必要な場合があります).

ps.select:ハードコピーのためにポスト・スクリプト (PostScript)デバイスを選びます.ポストスクリプト形式のプリンターで一般的に対応するファイル出力します.このファイルは,WindowsのCorelDrawなどの新しいバージョンではインポートできるものがあります.

----- カラーの設定 -----

p.chart:現在選ばれているプリンターのカラーチャートをプリントします.

p.colors:プリンター出力と直接対応するための色の設定を行います.

----- ハードコピー出力 -----

p.map:カラー出力装置にハードコピーを出力します.出力はラスター地図,ベクトルオーバーレイ,位置データ,テキストラベルなどです.

ps.map:ポスト・スクリプト出力ファイルを作成します.操作はp.mapとほぼ同じです.

----- その他の出力 -----

p.vrml:バーチャルリアリティモデルのファイルを作成します.

注)バーチャルリアリティモデルは,3次元モデルの動的な可視化表示が可能なVRML(Virtual Reality Modeling Language)を用いて作成します.このVRMLは標準的な仮想3次元空間記述言語であり,3次元的にモデルの面やその材質等を定義することにより基本的な3次元空間の形状モデルを記述することが可能です.Microsoft Internet Explorer, Netscape Navigator/Comunicaterなどの比較的新しいWebブラウザではこのVRMLを用いたモデルをリアルに可視化するツールがプラグインとして付属しています.また,テキスト形式でモデルを記述するために,ワープロやエディターのソフトで変更や修正(簡単なものであれば作成)が容易に行なえます.なお,vrmlの一般的な拡張子は.wrlです.これらに関しては後日実習を行う予定です.

 


まとめ(5)

GRASSのファンクション(3)

 ファイル・地域管理モジュール

ファイルの管理(コピー・削除・名前の変更)

g.copy g.remove g.rename

ヘルプ機能(オンラインヘルプ・マニュアルの参照)

g.help g.manual

対象地域の管理(範囲,分解能の変更)

g.region

GRASSのファンクション(4)

 画像処理モジュール

画像の合成等

i.composite i.group i.grey.scale

画像の位置合わせ等

i.target i.points i.rectify i.rectify2

画像の多変量解析(分類等)

i.class i.cluster i.maxlik i.gensig i.pca

画像の磁気テープ等入力

i.tape.mss i.tape.tm i.tape.spot

GRASSのファンクション(5)

 サイト(位置)プログラムモジュール

サイトデータの入出力

s.in.ascii s.out.ascii

サイトデータから曲面の推定(ラスターの作成)

s.surf.idw s.surf.tps

GRASSのファンクション(6)

 ハードコピー出力モジュール

出力プリンターの設定

p.select ps.select

カラーの設定

p.chart p.colors

ハードコピー出力

p.map ps.map

その他の出力

p.vrml

 

(以上,第5回講義)


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