第10回目の講義です.拡張の第2段として,GRASSのグラフィカルユーザーインターフェースの1つであるT
clTtkGRASSの利用方法について説明します.今までは,GRASSをコマンドモードから操作していましたが,コマンドを手で入力するのは,Windows等の優れた環境に慣れた人にとっては大変だったと思います.今回は,基本的にマウスでクリックして使えるGRASSに拡張する方法を説明します.実習の方では,TclTkGRASSのインストール方法を説明し,TclTkGRASSを利用したLeicsの練習問題を実習します.
Tcl/Tkとは,
Tool Command LanguageとTool Kitの2つの部分からなる言語で,Unixで開発され,用いられてきました.この言語はグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の機能が優れています.Tcl/Tkの説明は, http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/4137/jane.html等に詳細に記述されていますので参照して下さい.GRASSもこのTcl/TkをGUIに利用できるようにしたものがあり,TclTkGRASSと呼ばれています.TclTkGRASSは,いろいろなバージョンがあり,本講座の実習で解説したGRASS4.2.1のversion20およびversion21に付属しているTclTKGRASSはversion2.5〜2.9です.なお,TclTkGRASSを動作させるためには,Tcl/Tkのバージョンが8.0以上です.TclTkGRASSはGRASSのLinuxバイナリーの中にすでに含まれていますが,バージョンによっては,インストールを行なわなければならないものもあります.これらについては,実習の方を参照して下さい.
一般的にTclTkGRASSを起動するためには,GRASSをまず立ち上げます(古いバージョンでは,GRASSを立ち上げなくても良い).以下に起動と終了の方法を示します.
まず,GRASSを目的のLOCATION,MAPSETで普通どおりに起動します
grass4.2
↓ (↓は,Enter(リターンキー)を押すことを意味します)(GRASSの起動画面が表示されるので,LOCATION,MAPSET,DATABASEを指定します)
GRASSのプロンプトが表示された状態で,
tcltkgrass &
↓と入力することによりTclTkGRASSが起動します(
& を忘れないで下さい).X-Window上に次のようなTclTkGRASSのコントロールパネルが表示されます.

これで,TclTkGRASSが利用できます.また,同時に通常のGRASSコマンドもキーボードから利用できます.TclTkGRASSに入っていない操作や慣れた操作は,コマンドモードで行う方が早い場合もあります.
TclTkGRASSを終了するには,右端にある「Quit」を押します.終了時に,

と表示されますので,設定を保存するときは,YESを選択してください.なお,TclTkGRASSは,終了しましたが,GRASS自身はまだ動作していますので,GRASSを終了する場合は
exit
↓と入力して下さい.
TclTkGRASSは,12の機能に分かれています.なお,実際は本来のGRASSが動作しているため,特に新しい機能があるわけではありません(場合により,動作が不完全なものもあります).また,重複している機能もあります.
Configをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・モニターのスタート,ストップ,選択(メニュー;Monitors)
・ウィンドウのコントロール(Module Windows)
・起動時のモニターの設定・表示フォントの変更(Option)
・設定の保存(Save config)
例として,モニターの初期設定を示します.Configのメニューから,Optionを押すと次のようなメニューが表示されます.

この中から,Display dimensionを選択すると,次のような画面が表示されます.

上から,最初に表示されるモニターの左端の位置(LEFT),画面の上からの位置(TOP),モニターの幅(WIDTH),高さ(HEIGHT)を指定します(値はキーボードから入力します).画面に表示されるモニターを設定する場合は,CELLの設定・変更は必要ありません.
Mapをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・各形式のファイルリストの表示(List)
・各形式のファイルの管理(コピー(Copy),名前の変更(Rename),削除(Remove))
・利用するMAPSETの変更(Change mapset access)
・画像グループの管理(Image Group)
例として,ラスター形式のファイルリストを表示します.Mapメニューから,listを選択すると,次のようなコマンドの画面が表示されます.
表示されたウインドウの上に本来のGRASSのコマンド名が表示されています(この場合,g.list).また,最初の行の青い文字は,この機能の簡単な説明で,長い場合は横のスクロールバーが付いており,スクロールして見るようになっています.また,一番下の青い文字が,実際に起動するコマンドオプションを含めたGRASSで実際に動作するコマンドとそのオプションです.これも,長い場合はスクロールバーで見れるようになっています.この中で,表示したいファイルの形式(ここでは,Raster files)を選択します.選択すると上の図の様に,チェックボックスが赤くなります.選択後,右下にあるRunのボタンを押します.

ラスターファイルの一覧表が上のように表示されます.終了はQuitで,ファイル名一覧をファイルに保存したい場合はSaveを押して下さい.Listのコマンド画面を消すには,右上の×を押します(コマンドの実行はRun,終了は×です.以下の説明では省略します).また,常に必要なコマンド(例えば,画面を消す;d.eraseなど)は,消さずに置いておくと便利です.
Regionをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・モニター領域のズームやパン(ZOOM,PAN)
・現在の領域設定の表示(Display region settings)
・デフォルト領域への再設定(Select default region)
例として,現在の領域設定を表示します.Regionメニューから(Display region settings)を選択します.次のように,現在の領域が表示されます.

Displayをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・モニターのスタート,ストップ,選択(Monitor)(Configと同機能)
・各種情報の表示(RasterやVectorなどに同様の機能があります)
・マップのタイトルや文字の表示など(Text)
・カラーテーブルや凡例表示,グリッド(格子線)の作成,ヒストグラムの表示(Graphics)
・画面の削除(Erase display frame)
例として,凡例を表示します.DisplayメニューからGraphicsを選択します.次のようなメニューが表示されます.

この中で,Display legendを選択すると,さらに次のようなコマンド画面が表示されます.

ここで,rasterボタンを押すと,次のようにラスターファイルの一覧表が表示されるので,ファイル名を選択し,OKボタンを押す.

d.legendのコマンド画面(1つ上の画面)のRunボタンを押すと次のように凡例が表示されます.

Rasterをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・ラスターマップの各種表示(Display)
・ラスターマップの各種解析(Analyse map)
・ベクトルへの変換(Extract vector map)
・サポートファイルの編集,再分類,演算など(Develop map)
例として,傾斜方位図を作成します.RasterメニューからAnalyseを選択します.次のようなメニューが表示されます.

ここでTerrain toolsを選択します.さらに次のような画面が表示されます.

この中で,Slope and aspectを選択します.

r.slope.aspectのコマンド画面が出てきますので,必要な情報を入力します.なお,入力しなければデフォルトが用いられる場合は,その情報が[ ]に囲まれて表示されています.これで良ければ,入力する必要はありません.設定が終わればRunを押して実行します.動作状況を示す次のような表示がありますので,確認します.Quitを押して表示を閉じ,コマンド画面の右上の×を押し,終了します.

aspectの結果を表示したものを以下に示します.

Vectorをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・ベクターマップの各種表示(Display)
・ベクターマップの各種解析(Analyse map)
・ベクターからラスター・サイトへの変換(Convert map)
・サポートファイルの編集,再分類,演算など(Develop map)
Siteをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・サイトマップの各種表示(Display)
・サイト情報のマウスによる検索(Query with mouse)
・サイト情報の補間によるラスター作成(クリッギング等)(Interpolation)
Imageをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・画像のグルーピング(Create/edit imagery group)
・位置合わせのためのGCPを用いた画像の回転・移動など(Rectification)
・マトリックスオペレータを用いた画像のフィルタリング処理など(Image filtering)
Importをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・GIFやTIFF画像などのラスター化(Raster map)
・Arc/info形式のベクトルファイルの変換・入力(Vector map)
Exportをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・ラスターファイルからTIFF画像の変換・出力(Raster map)
・ベクトルファイルからDXF形式やArc/info形式への変換・出力(Vector map)
MapCreateをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・プリンターへの各種出力(MapCreating;Paint driver)
・ポストスクリプト形式ファイルへの各種出力(MapCreating;Postscript driver)
Helpをクリックした際に表示されるメニュー.
主に次のような機能を行ないます.
・マニュアルの表示(Manual pages)
・TcltkGRASSの簡単な説明(Help)
例として,マニュアルを表示します.HelpメニューからManual pagesを選択します.

g.manualのコマンド画面が出てきますので,moduleボタンを押します.画面にコマンド一覧が出てきますのでスクロールバーを使い,目的のコマンドを見つけて選択し,OKボタンを押します.

コマンド画面のRunボタンを押すと,次のようにマニュアルが表示されます.

グラフィカルユーザーインターフェースにTcl/Tkを用いたTclTkGRASS.
12に分けられた各種機能.
Config(環境設定) Map(マップの管理)
Region(地域管理) Display(表示関係)
Raster(ラスター関係) Vector(ベクトル関係)
Site(地点関係) Image(画像関係)
Import(地図情報の変換・入力) Export(地図情報の変換・出力)
MapCreating(プリント出力) Help(ヘルプ)
(以上,第10回講義)