不飽和炭化水素変換反応を触媒する金属酸化物クラスターの合成
M1 西川 耕二
ポリ酸イオンは前期遷移金属4A-7A元素の酸素酸イオンであり、化学式がMxOyn-
(M=Mo, V, W, Ti, Al, Nb, Taなど)で表される金属酸化物クラスターイオンである。ポリ酸イオンの多くは水溶液で合成され、対イオンである陽イオンの多くはアンモニウムや金属イオンである。このようなポリ酸イオンは、絶縁体から超伝導まで幅広く分布している金属酸化物をミクロサイズまで切り刻んだ分子断片ともみなすことができる。
5配位、または6配位の金属のオキソ錯体では、頂点間かまたは稜線間のオキソ配位子を共有するような構造をとることがきる結果として多様なポリ酸が生じ、またさまざまな化学的性質を示す。
近年、ポリ酸イオンの構造化学的、および分光学的認識が深まるにつれ、その分子素子構築のための重要な素材であることが示され、さらには生理活性作用や生物化学分野への応用も行われており、ポリ酸の化学の研究分野が基礎的にも応用的にも重要であることが認識されつつある。(Fig. 1)

そこでこのポリ酸をどのような方法によりデザインしていくかが、基質に対する反応性に対して重要である。本研究ではFig. 2に示したように、ルイス塩基として働くと期待できるモリブデン酸イオンやバナデン酸イオンと、ルイス酸であると考えることができる金属カチオンユニットを反応させることで、脱水縮合を伴わない金属酸素酸イオンのオリゴメリゼーションによるM-O-M'骨格を有する新規な金属酸化物複合体が合成できると考えた。実際、ルイス酸として(tacn)MnCl3、ルイス塩基として[NBun4]2[Mo2O7]を用いた反応では新奇なMn-Moクラスターを合成した。(Fig. 3)この錯体は中心にキュバン骨格を有し、その隣には崩れた骨格が存在し、この部分が基質の反応活性場となる。

