三重周期極小曲面は界面活性剤の数学的モデルであることが知られており、
数学以外の分野、例えば、物理・化学・結晶学などで研究されている。
特に、面積関数におけるMorse指数が最小になる場合は自然現象の安定性
を表していることが期待され、それは種数3の場合に該当する。
実際、1990年代に物理学者によって様々な変形族が構成され、その相関図
が与えられている。
2018年にその変形族における分岐理論を小磯深幸氏・Paolo Piccione氏と共に考察した。
鍵になるのは退化次数が4以上になる地点であり、そこから新しい変形族が枝分かれする。
しかし、その地点には新しい変形族が生じるところとそうでないところの2種類があり、
それらを分類することが重要となる。
本講演では特異点論の基礎的な横断性定理を使って、
その分類が可能であるということを紹介したい。
なお、講演内容は江尻典雄氏との共同研究に基づくものである。
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