談話会(2022年度)

        
日時 2022年10月20日(木)17:00〜18:00
講演者(所属) 松澤 陽介(大阪公立大学)
タイトル Zariski稠密軌道予想と算術次数
場所 数学大講究室(理学部棟E408)& Zoom   参加登録
(参加登録は10月19日AM 9:00までに行なってください)
概要 数論力学系では代数多様体の自己写像による有理点(より一般に座標が代数的数である点)の軌道の数論的な性質を研究する. この分野で非常に興味深く魅力的な問題の一つに,Zariski稠密軌道予想というものがある. これは座標が代数的数である点でZariski稠密な軌道を持つものがあるであろうという予想である. 最近Long Wang氏との共同研究でこの予想を,代数曲面の自己双有理写像を含むある種のクラスの自己有理写像に対して証明した. 数論力学系の簡単な紹介から始めてこの結果について説明したい.
        
日時 2022年9月22日(木)16:15〜
講演者(所属) 二宮 広和(明治大学総合数理学部)
タイトル 非一様場における面積保存曲率流のダイナミクス
場所 なかもずA13-228講義室&Zoom
概要 細胞の運動や自己駆動粒子などでは,体積保存が運動に大きく影響している. 本講演では,面積保存曲率流について説明する.環境が回転対称な場合の定常解の 性質や解が大域的に存在するための条件などを考察して,環境が一般の場合における 界面のダイナミクスについても説明する予定である.
        
日時 2022年9月8日(木)16:15〜1時間程度
講演者(所属) 川上 竜樹(龍谷大学)
タイトル 半空間上の指数型非線形境界条件を有する熱方程式について
場所 なかもずA13-228講義室&Zoom
概要 非線形熱方程式の可解性において, 非線形項の増大率及び減少率と初期値が属するクラスの関係は 古くから研究され, さまざまな臨界指数の導出や最適な空間の探索が現在も続いている. 全空間の場合, 初期値をある種の臨界に相当する空間から選んだ場合, 指数型の非線形項が最適となることが知られている. 本談話会では同様の問題を半空間上の非線形境界条件を有する線形熱方程式の場合について考察した結果を紹介する. 本講演内容は Giulia Furioli 氏 (Bergamo 大学) と Elide Terraneo 氏 (Milano大学) との共同研究に基づく.
        
日時 2022年8月9日(火)17:00〜18:00
講演者(所属) 野海 正俊 (立教大学・理)
タイトル 「楕円 van Diejen 差分作用素と Selberg 型楕円超幾何積分」
場所 数学大講究室(理学部棟E408)& Zoom   参加登録
(参加登録は8月8日AM 9:00までに行なってください)
概要 楕円 van Diejen 作用素 (BC型のRuijsenaars 作用素) について, Selberg 型の楕円超幾何積分で表される固有函数のクラスが存在 することを示す.このクラスの固有函数は,van Diejen 作用素の ゲージ変換による対称性と核函数関係式に基づいて,単純な固有 函数に積分変換を施すことによって構成される.
(Leeds 大学の Farrokh Atai 氏との共同研究)
        
日時 2022年7月12日(火)16:00〜17:00
講演者(所属) 井上 歩(津田塾大学)
タイトル Quandle 理論入門(対称性を記述する言語として)
場所 数学大講究室(理学部棟E408)& Zoom
7月12日井上 歩(津田塾大学)の参加登録
(参加登録は7月11日AM 9:00までに行なってください)
概要 Quandle とは,ある公理を満たす,代数系の一種である. Quandle の理論は,結び目理論と非常に相性が良いため,主として結び目の研究のために活用され,発展してきた経緯がある. 一方で quandle は,対称性を記述する言語としても優秀である. 本談話会では,この観点から quandle 理論の初歩を紹介したい.
        
日時 2022年4月26日(火)17:00〜18:00
講演者(所属) 森本 真弘(大阪公立大学数学研究所)
タイトル ヒルベルト空間内の対称性をもつ極小固有フレドホルム部分多様体
場所 数学大講究室(理学部棟E408)& Zoom
4月26日(橋本先生、森本先生)の参加登録
(参加登録は4月25日AM 9:00までに行なってください)
概要 R. S. Palais とC.-L. Terng は1988年に固有フレドホルム部分多様体の概念を導入した.これは可分ヒルベルト空間に余次元有限にはめ込まれた部分多様体であり, ユークリッド空間にproper にはめ込まれた部分多様体を一般化する.定義から固有フレドホルム部分多様体の形作用素は自己共役コンパクト作用素となり, 更に無限次元微分トポロジーやモース理論が適応可能となる.その後のG. Thorbergsson やE. Heintzeらの研究を通して,有限次元部分多様体幾何学への応用や, affine Kac-Moody対称空間と呼ばれる無限次元対称空間との関わりが明らかとなり,固有フレドホルム部分多様体は幾何学における1つの重要な研究対象として知られるようになった. 本講演では,特殊な対称性をもつ極小な固有フレドホルム部分多様体について,講演者がこれまでに得た研究成果を発表する.
        
日時 2022年4月26日(火)15:45〜16:45
講演者(所属) 橋本 義規(大阪公立大学)
タイトル 標準計量,幾何学的不変式論,ベルグマン核
場所 数学大講究室(理学部棟E408)& Zoom
4月26日(橋本先生、森本先生)の参加登録
(参加登録は4月25日AM 9:00までに行なってください)
概要 標準計量と呼ばれる,「良い」曲率を持つRiemann計量を探すことは微分幾何学において重要な問題であり,非線形編微分方程式を解くことに帰着されることが多い. 一方で,Atiyah-Bott,藤木,Donaldsonは「複素射影代数多様体の曲率は無限次元モーメント写像である」という「哲学」を提唱した. これに従うと,標準計量とはモーメント写像の零点に他ならないが,Kempf-Nessの定理によればモーメント写像の零点は幾何学的不変式論の意味で安定であることから, 標準計量を許容する多様体は何らかの意味で「代数幾何的に安定」であることが示唆される.本講演では,この分野の入門的事項から初めて,講演者の結果を紹介しながら(かなり主観的なバイアスのかかった)分野の概観(の一部)をお伝えしたいと思う. その中で,ベルグマン核と呼ばれる複素解析的対象が重要な役割を果たすことにも言及する.本講演で紹介する結果の一部はJulien Keller氏との共同研究である.
.最終更新日: 2022年10月17日