【ウツギ】
和名 うのはな
ユキノシタ科
Deutzia crenata Sieb. et Zucc
5月中旬〜6月上旬「うのはな」が咲くと、植物園周辺の山で明け方に、夜半にホトトギスが鳴きます。ホホトギスがウグイスなどの巣に卵を産みつけるという托卵(たくらん)は、人の知能を越えています。

「卯の花をかざしに関の晴着かな」(曽良)松尾芭蕉の「おくのほそ道」の「白河の関」の中の句です。
明るい初夏の陽光のもと、関所越えの道端に卯の花がまぶしいくらいに白く咲き乱れている様子を思い浮かべてください。300年を経った今、新幹線でアッという間に、気づかぬうちに通り過ぎていきます。未知の国へ足を踏み入れる時の緊張感が伺えます。

「卯の花の匂う垣根に、ホトトギスはやも来鳴きて、しのび音もらす夏は来ぬ」の歌が有りますが、卯の花は匂いません。この「匂う」は、匂うように美しいという意味です。