人類紀自然学
−地層に記録された人間と環境の歴史−
(ISBN4-320-04646-7)
人類紀自然学編集委員会(代表:熊井久雄) 編著
A5,324頁,3800円
●内容
人類が地上に現れて以降,その人類が自身を取り巻く自然から受けた影響や,その自然に作用することによって自然自体を改変してきた歴史を明らかにして,そこから法則性を導き出し,将来の予測や対策に結び付けようという目的で研究されているのが「人類紀自然学」である.
本書は,「人類紀自然学」の基本的基盤である「第四紀学」の関係分野の概要に加えて,いくつか実践的な研究手法やその結果などの事例を収録した.まず,
第1章では時間軸である層序学の基本的事項を解説し,第2章は人類紀の長期的変化,とくに第四紀が別名「氷河時代」と呼ばれるような気候の周期的な変化の
説明に費やした.将来予測は現在の数値に予想される数値を挿入すれば事足りるのではなく,ミランコビッチ・サイクルなど長期的な変化パターンがベースにあ
るということを認知していなくてはならない.第3章では短期的な変化サイクルとそれに重なる人類の作用をいくつかの例で解説する.中でも後期更新世のダン
スガード・オシュガーサイクルなど急激な気候変化は今後人類の環境汚染結果のような急激な変化の予測に有益な資料を提供するものと思われる.最後の第4章
は,まさに人類による環境へのインパクトと,生産活動が及ぼす人類自身の改変の様子を紹介する.最後に第5章では人類紀に特有な災害について,人類紀自然
学的アプローチからの研究例を収録した.ことに,津波災害の周期性の予測などには地層から読み解く災害史が重要な資料となることを示した.
●目次