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<2007年 秋季>
数学や理科の好きな高校生や予備校生の皆さんに、数学や理科にさらに興味を持ってもらえるように企画した「高校生のための市大授業」です。大学の授業や大学の施設がどんなものなのか、進学を希望する大学の中を知っていただきたく、本学杉本キャンパスで行います。2004年、2005年、2006年に引き続き8回目の市大授業です。日程は11月18日(日)です。高校や予備校からのFAXでの一括申込ばかりでなく、個人的申込方法(葉書や電子メール)も採用します。前半(小森、石川、飯尾)と後半(森本、田中、吉川)の2つの授業を受けることもできます。詳細は大阪市立大学理学部ホームページ(http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/)に平成19年9月から掲載します。定員を超えた場合には教室を変更してできるかぎり受講可能とします。受講不可能のときのみ、11月14日(水)に連絡します。

2007年11月18日(日) <終了しました>
◇前半:午後1時00分〜午後2時30分
ニュートンさん3次方程式を解いてください
数学科 准教授 小森洋平 (定員100名、講義)

 みなさんは数学 II の授業で2次方程式の解き方を習いましたか。解の公式という大変便利な式がありましたね。これは暗記しておきましょう。ところで3次方程式の解き方も習いましたか。3次方程式にも解の公式はあります。しかし複雑すぎて、使いものにならない公式なのです。ではもし3次方程式がどうしても解きたくなったら。そんなことあるかって。あるんですよ。私は128次方程式を解きたくなったこともあります。今回の市大授業では解の公式を使わないで、方程式を解く方法を紹介します。みなさんはニュートンという名前を聞いたことがありますか。リンゴが落ちるのを眺めていたあの人です。ニュートンさんが3次方程式を解いてくれます。

<プロフィール>
職歴: 大阪市立大学理学部・助手、講師、助教授を経て、2007年より大阪市立大学大学院理学研究科・准教授
学歴: 早稲田大学理工学部数学科卒業、京都大学大学院理学研究科数理解析専攻後期博士課程修了, 理学博士
専門分野: 複素解析学、タイヒミュラー空間論

低温の世界は不思議だ
物理学科 准教授 石川修六 (定員100名、講義)

 自然界には途方もない環境がいくつかある。例えば太陽の表面は6000℃の温度であり、そこからは巨大なエネルギーが放出され続けている。一方、夜空を飾る星々の間の空間は-200℃の温度の放射で満ち溢れている。
 最も温度の低い状態はどこにあるのだろう。実は人間が作り出している特別な場所が最も温度が低い。絶対温度目盛りを使うと0.00001Kである。
 我々が生活している温度は約300K(25℃)、太陽表面は約6300Kであるので、その差が7桁にも及ぶのである。このような大きな温度変化の途中でいろいろな現象が見えてくる。どんな不思議がそこにあるのだろう。

<プロフィール>
職歴: 大阪市立大学理学部物理学科助手、大阪市立大学理学部物理学科講師、大阪市立大学大学院理学研究科・数物系専攻(物理学科)・准教授。この間、カリフォルニア大学バークレー校物理学教室特別研究員、東京大学物性研究所 嘱託研究員、東京大学物性研究所 客員助教授などを兼務
学歴: 京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科修士課程および博士後期課程修了、理学博士
専門分野: 超低温物理学

物質の多様性〜分子からみた生命現象〜
物質科学科 教授 飯尾英夫 (定員100名、講義)

 人類は古くから、動植物、微生物や海洋生物がそれらの生体内で生産する有機化合物(おもに炭素原子からできた骨組みを持つ物質)を飲・食物のみならず、薬、毒、香料や染料などとして利用してきました。これらの有機化合物には、いずれの生物にも共通して見いだされる化合物もあれば、生物の種や属の違いによって異なる化合物もあります。進化のプロセスの中で、ある生物が外部環境に適応するために、その生物固有の化合物を作り出すことを身につけたからだと考えられます。このような生物固有の化合物は、生体内にわずかしか含まれないことが多く、その生物が生長していくある特定の時期だけに生産されて生体反応を制御する物質として、他の生物を攻撃する時、あるいは、他の生物から自己を守る時に毒物質として、生物間で情報を相互に伝達するための物質として、働いていることが分かってきました。
 それぞれの生物が固有に作りだし、生体内や生物間である機能を担っている物質は、一般には試料の入手が困難なうえ、その含量も微量で不安定であるため、いろいろな生物現象の仕組みについてこれまでよく分かっていないものが多くありました。しかし、単離精製技術の向上や、NMR、質量分析などの構造解析法の進歩により、ごく微量で作用している鍵物質の実体を明らかにし、それらの物質が関与している生物現象の仕組みについていくつかの知見が得られるようになってきました。たとえば、わが国が誇る発光生物としてのホタルイカを見てみましょう。ホタルイカには腕先にある3 対の大型の腕発光器や、胴部などに千個前後の小さな皮膚発光器があります。発光することによって、体の影を隠したり、外敵を威嚇・眩惑したり、オスメスを識別したり、エサをひき寄せたりしていると考えられています。ホタルイカの発光を有機化学的に説明すると、発光物質ホタルイカルシフェリンが発光酵素ホタルイカルシフェラーゼによって酸化される化学反応で生じる光で、熱を伴わない冷光です。夏の夜を彩るホタルの発光―ルシフェリン_ルシフェラーゼ反応―では、生体の高エネルギー物質ATP(アデノシン三リン酸)やマグネシウムイオンも必要です。
 この授業では、生命現象を担う物質の「かたち」をきめる:ごく微量しか含まれていない鍵物質をいかにして純粋に抽出し、その化学構造を決定するかについて、その基礎的なことがらをいくつかの実例を交えながら解説します。生命現象を担う物質の「はたらき」とは:ごく微量の鍵物質が関与している生物現象の仕組みについて、ホタルやホタルイカなどの生物発光を例に取り上げ解説します。さまざまな生命現象とそれに関与している鍵物質を紹介しながら、その機能についてお話しします。また、簡単な実験を行います。「ホタルの光を再現してみよう」と題して、生物発光にみられるルシフェリン-ルシフェラーゼ反応に類比したルミノール発光を試験管内で再現してみたり、市販のケミカルライト(ペンライト)に応用されている過シュウ酸エステルの化学発光(シュウ酸誘導体に過酸化水素水を加えると酸化反応により活性中間体ができます。この活性中間体から蛍光物質にエネルギーが移り、その蛍光物質が発光します。使用する蛍光物質の種類により青、赤、緑、黄などいろいろな発光色になります。)の実験を皆さんに体験していただこうと思っています。

<プロフィール>
職歴: 大阪市立大学理学部助手、助教授を経て、同大学大学院理学研究科教授
学歴: 名古屋大学大学院農学学研究科、農学博士
専門分野: 天然物有機化学、有機合成化学


◇後半:午後3時00分〜午後4時30分
生命現象を担う天然有機化合物の世界
化学科 教授 森本善樹 (定員100名、講義)

 みなさんは高校の化学の授業で有機化合物について学びましたか?有機化合物とは炭素原子を含む化合物のことで、自然 界に存在する有機化合物を天然有機化合物(天然物)と呼んでいます。生物は多様な構造をした天然有機化合物を生産しており、それらは様々な生命現象にかかわっています。人類が知り得ている天然物はまだほんの少しかもしれません。人間の想像力を絶する自然が創造した有機化合物の世界をみてみよう。そのおもしろい構造の多様性に皆さんは何を思うか?



<プロフィール>
職歴: 日本学術振興会特別研究員、大阪市立大学理学部化学科助手、講師、助教授を経て、大阪市立大学大学院理学研究科物質分子系専攻教授
学歴: 北海道大学理学部化学科卒業、同大学院理学研究科化学専攻博士課程修了、理学博士
専門分野: 合成有機化学、天然物有機化学

ミクロの世界の構成者たち:バクテリア〜地球外生命
生物学科 教授 田中俊雄 (定員100名、講義)

 微生物といえども、姿、形はさまざまでこの世界が多種多様な遺伝子に満ちていることを示しています。バクテリアが一つの独立したグループを形成するのに対し、カビや酵母は私たち人類をも含むグループの一員として進化の道をたどりました。さらに、海底噴火口、塩湖、石油鉱床などの極限環境からこれら2つのグループとは明らかに異なる微生物群が見つかっています。地球外の天体にも微生物がいるのでしょうか?今世紀の地球では、バクテリアによる感染症が再燃し、カビや酵母による真菌症も深刻化しています。一方、こうした敵と戦うための抗生物質の多くは微生物がつくりだしたものであり、バイオエタノールも生分解性プラスチックも微生物の発酵産物です。こうしたヒトとの関わりをとおしてミクロの世界をもっと身近に感じてもらえたらと思います。

<プロフィール>
職歴: 大阪市立大学理学部・助手、講師、助教授を経て、2002年より大阪市立大学大学院理学研究科・教授
学歴: 大阪市立大学理学部生物学科卒業、大阪市立大学大学院理学研究科生物学専攻後期博士課程中途退学、理学博士
専門分野: 微生物化学、生体低分子機能学

大氷河時代(第四紀)の自然環境と生物の変遷
地球学科 教授 吉川周作 (定員100名、講義)

 およそ250万年前,地球上に人類が誕生して以降,現在までの地質時代は第四紀(人類紀)と呼ばれます.別名,大氷河時代と言われるように,氷期と間氷期が激しく繰り返した気候大激変の時代で,温暖な後氷期の現在でも,南極やグリーンランドに厚く巨大な氷床が発達しています.私たち人類はこの厳しい自然環境のなかで誕生し,その環境を生き抜き,繁栄してきました.最新の地質学的成果を基にして「第四紀の気候変化と日本列島の自然環境・生物群の変遷」について紹介します.

<プロフィール>
職歴: 大阪市立大学理学部助手、助教授を経て、大阪市立大学大学院理学研究科教授
学歴: 大阪市立大学理学部地学科卒業、同大学院理学研究科修士課程修了、理学博士
専門分野: 第四紀環境地質学