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<2008年 春季>
数学や理科の好きな高校生や予備校生の皆さんに、数学や理科にさらに興味を持ってもらえるように企画した「高校生のための市大授業」です。大学の授業や大学の教室・実験室がどんなものなのか、進学を希望する大学の中を知っていただきたく、本学杉本キャンパスで行います。平成16年春から始まった市大授業も今回で9回目となります。日程は4月29日(火・祝日)です。詳細は理学部ホームページに平成20年3月から掲載します。申込は理学部ホームページ(http://www.sci.osaka- cu.ac.jp/koudai/koudai.html)で受け付けます。ホームページから申し込むことができない場合は、FAXによる申込も可能です(FAX番号:06-6605-2522)。前半(午後1時から)と後半(午後3時から)の二つの授業を申し込む事ができます。定員を大幅に超える申込があった場合は、受講をお断りする場合があります。受講不可能な場合に限り4月24日(木)までにご連絡します。
理学部市大授業と同じ日時・同会場で、文学部市大授業「ひらけゆく世界 みえてくる人間ー文学部を知りたい人のための市大授業ー」も開催します。詳しくは、http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/lit/prospects/kd.html をご覧ください。


2008年4月29日(火・祝日) <終了しました>
◇前半:午後1時00分〜午後2時30分

身近な確率のお話 〜モンテカルロ法について〜

写真 数学科 講師 竹内敦司(定員100名、講義)

 皆さんは『確率』という言葉を聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?さいころ、コイン投げ、じゃんけんに始まり、合格率、降水確率、病気の感染確率など、日常生活のあちらこちらで『確率』が顔を出します。確率の話の中に、『大数(たいすう)の法則』という有名な定理があります。高校の教科書の中にも登場していますし、皆さんも知らず知らずのうちに、この定理を使っています。例えば、均質な材料で作られた立方体のさいころを考えてみます。最初に1の目が出たとしても、次も続いて1の目が出るかどうかは分かりません。「神のみぞ知る」領域です。ところが、さいころを何度も繰り返し投げると、1の目が出る頻度が6分の1に近づいていくということを、私たちは経験的に知っています。このことを運・不運に関係なく、数学的に正当化される定理が『大数の法則』です。数値計算(コンピューター・シュミレーション)の一つの方法に、ランダムな実験を行って結論を得る計算手法があり、『モンテカルロ法』とよばれています。大数の法則は、モンテカルロ法における数学的裏付けの基本となるものです。
 今回の市大授業では、簡単な実験を皆さんと一緒におこない、円周率πの近似値を計算してみたいと思っています。

<プロフィール>
職歴: 大阪市立大学大学院理学研究科・助手、助教を経て、2007年より大阪市立大学大学院理学研究科・講師
学歴: 大阪市立大学理学部数学科卒業、同大学大学院理学研究科数物系専攻後期博士課程修了、理学博士
専門分野: 確率論、確率解析


光と化学
写真 化学科 教授 中島信昭(定員100名、講義)

 光は七色といいます。光、あるいは色と化学との関係は炎色反応、金属イオンの色、酸性、アルカリ性を決める時の試薬のところで出てきます。実は光と化学の関係はもっと深く面白いです。太陽の光が化学反応を起こし、植物を成長させています。目が見える、これは光による目の色素の反応が基になっています。TVではブラウン管から最近の超薄型TVまで光に関係した材料や色素が使われています。さらに、地球温暖化では目に見えない赤外の光を二酸化炭素などが吸収するからです。演者の研究室の名前はレーザー化学です。今世紀は光の時代といわれており、理想の光はレーザーです。光、すなわちレーザーや色と化学の関係を紹介します。

<プロフィール>
職歴: 分子科学研究所助手、大阪大学レーザー研助教授を経て、大阪市立大学大学院 理学研究科教授
学歴: 大阪大学基礎工学部合成化学科卒、同大学院博士課程修了、工学博士
専門分野: 物理化学、レーザー化学


虫と共に生きる
写真 生物学科 教授 沼田英治(定員100名、講義)

 わたしたち人類は、まるで地球の主のような気持ちで日々をすごしています。しかし、昆虫は人類が地上に出現する数億年も前から生き続けており、種名が明らかなものだけでも90万種、未記録種も含めると100万種以上が存在し、地球上にすむ動物種全体の、なんと4分の3を占めています。旧約聖書に書かれているバッタや享保の大飢饉時のウンカの例にみられるように、多くの昆虫が害虫として人類の歴史上に登場してきましたが、逆に絹を供給してくれるカイコや蜜を供給してくれるミツバチのように、人間生活の役に立つものも少なくありません。そして、わたしたちを含む多様な生態系の一員としてさまざまな昆虫が果たす役割も大きいのです。たとえば、動物の死体や糞の多くはキンバエやシデムシなどの昆虫によって食べられています。さらに、昆虫はわたしたちに美しい風物やすばらしい生きざまを見せてくれます。ホタルがいなければ源氏物語の蛍の章は生まれず、タマムシがいなければ法隆寺に玉虫厨子はなかったでしょう。土の中で7年間もの長い幼虫期間を過ごしたセミが羽化するシーンには感動します。どうでしょう、わたしたちにとっての利益や損失という観点を離れて、同じ地球に生きる仲間として虫と共に生きることを考えてみませんか。親しくなるには、まず、仲間のことを知ることから始めましょう。本講義では、虫たちがどのようなからだのつくり、しくみをしていてどのように成長するのかを学び、続いてわたし自身が研究している虫たちの興味深い生活を紹介します。最後に、ハエの幼虫を使って難病を治す驚異の治療法、マゴットセラピーについてお話しします。

<プロフィール>
職歴: 大阪市立大学理学部・助手、講師、助教授を経て、大阪市立大学大学院理学研究科・教授
学歴: 京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科動物学専攻博士課程修了、理学博士
専門分野: 動物生理学

◇後半:午後3時00分〜午後4時30分
場の量子論のすすめ
写真 物理学科 教授 糸山 浩司(定員100名、講義)

 大昔から人間は目に見える自然現象を粒子と波動に分けて理解してきました。では、原子・分子の世界(高校の教科書では、後ろの方に押しやられています)、あるいはもっと極微の目に見えない世界は粒子なのでしょうか、波動なのでしょうか。20世紀初頭の物理学者達はこのすばらしい推理小説に夢中になり、量子という二重人格者をつきとめたのです。そしてこの後には「力を媒介する量子」という湯川秀樹の考え方に始まり今日の弦(紐)理論に至るスリリングな70数年の物語が待ち構えていました。この世界への入り口を少しでも早く見つけたい君達に講義します。

<プロフィール>
職歴: 米国フェルミ加速器研究所理論部研究員、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック分校理論物理学研究所研究員、大阪大学大学院理学研究科・助教授を経て大阪市立大学大学院理学研究科・教授
学歴: 東京大学理学部物理学科卒業、米国コロンビア大学芸術及び科学大学院博士課程修了、PhD 取得
専門分野: 場の量子論及び紐理論(理論物理学)


水と物質 そして人間
写真


物質科学科 教授 木下勇(定員100名、講義)

 水は地球に存在する最大の液体です。これには最もな理由があり、宇宙に最も存在する元素である水素と、三番目に多い酸素との化合物であり、しかも二つの元素間の親和性はきわめて高い。このため水はどこにでも存在する液体である。しかしこの液体の性質はきわめて複雑で、まだほんの少ししか解明されていない。この講義では水という物質のなぞに迫りながら、今現在人類が直面している問題を明らかにしていこうと考えています。

<プロフィール>
職歴: 大阪市立大学理学部助手、講師、助教授を経て大阪市立大学大学院理学研究科・教授
学歴: 東北大学理学部卒業、名古屋大学大学院理学研究科博士課程単位取得退学、理学博士
専門分野: 錯体化学、グリーンケミストリー


平野をつくる地層と地盤災害
写真 地球学科 准教授 三田村宗樹(定員30名、講義&実習)

 日本の大都市である東京、大阪、名古屋、新潟は、それぞれ関東平野、大阪平野、濃尾平野、越後平野といった海岸平野に立地しています。これらの海岸平野はいずれも大きな河川の河口に発達した広い低平地です。都市には多くの人が暮らし、多くの建物や土木構造物が平野を形づくる地下の地層に支えられています。山地や丘陵地をつくる地質は、その場所を訪れて斜面に露出した地層や岩石を直接観察できますが、平野をつくる地層は、地下にあるため人の暮らしに身近なものにもかかわらず簡単に見ることができません。
 一般の多くの人に平野を構成する地層つまり自分たちの生活の場である足元の下がどうなっているのか聞いてみたところ、ほとんど認識されていないようです。しかし、平野をつくる地層の特性は地震や地盤沈下などの災害や地下水汚染などの環境問題にかかわる重要な要素であり、広く理解されることが必要でしょう。
 日本の海岸平野や太平洋沿岸諸国の海岸平野は、いずれも地殻変動の激しい地域にあり、類似した生い立ちを持っています。太平洋沿岸諸国の平野にも大都市が発達しています。これらの海岸平野の生い立ちを理解し、それぞれの相違点を比較することが、都市の地盤特性を把握するために重要です。
 ここでは、多数の地下調査の資料が集積されている大阪平野を取り上げ、それを構成する地層をどのように調べると平野の生い立ちが解るのかを見てゆくことにします。
  この講義では、平野の地層の分布、地層の形成年代の測り方、地層に含まれる化石から見た形成環境の変遷などを紹介します。
 さらに、実際に平野の地下にある地層の試料を手にとって実感してもらいます。さて、平野の地下の地層は硬いでしょうか?軟らかいでしょうか?また、砂を用いたいくつかの簡単な実験で地層が持つ様々な特性を確認し、そこから地震災害や地盤沈下といった地盤にまつわる都市の災害を考えてみましょう。

<プロフィール>
職歴: 川崎地質株式会社技術職,大阪市立大学理学部・助手、講師、助教授を経て、2007年より大阪市立大学大学院理学研究科・准教授
学歴: 大阪市立大学理学部地学科卒業、大阪市立大学大学院理学研究科地質学専攻前期博士課程修了,理学博士
専門分野: 都市地質学、第四紀地質学