2010年

2010年チラシ画像

 数学や理科の好きな高校生や予備校生の皆さんに、数学や理科にさらに興味を持ってもらえるように企画した「高校生のための市大授業」です。大学の授業や大学の教室・実験室がどんなものなのか、進学を希望する大学の中を知っていただきたく、本学杉本キャンパスで行います。平成16年春から始まった市大授業も今回で13回目となります。日程は4月29日(木・祝)です。
 申込はこのページで受け付けます。このページから申し込むことができない場合は、FAXによる申込も可能です(FAX 番号:06-6605-2522)。前半(午後1時から)と後半(午後3時から)の二つの授業を申し込む事ができます。定員を大幅に超える申込があった場合は、受講をお断りする場合があります。受講不可能な場合に限り4月27日(火)までにご連絡します。

 理学部市大授業と同日・同会場で、文学部市大授業「文学部を知りたい人のための市大授業ーひらけゆく世界 みえてくる人間ー」も開催します。詳しくは、http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/lit/prospects/kd.htmlをご覧ください。

2010年4月29日(木・祝)

前半 午後1時00分〜午後2時30分

「博士の愛した数式」の数学

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数学科 准教授 小森洋平(定員100名、講義)

 みなさんは小川洋子さんの小説「博士の愛した数式」を読みましたか、読んでいませんか。では深津絵里さんが「私」を演じた映画の方は観ましたか、観ていませんか。ではでは数学IIの授業で複素数や指数関数や三角関数は習いましたよね。はい、それで十分です。「博士の愛した数式」のなかで、数学「博士」は家政婦の「私」とその息子「ルート」君に、数学に登場する様々な数の面白さについて語りかけます。特に「ネイピア数(自然対数の底)」と「円周率」と「虚数単位」という3つの数からなる「オイラーの等式」は、まさに博士の愛した数式でした。今回の市大授業ではこのオイラーの等式を、高校生のみなさんに分かるように説明することを目標とします。キーワードは数学IIの2次方程式の解で登場した「複素数」です。

プロフィール
職歴 大阪市立大学理学部・助手、講師、助教授を経て、2007年より大阪市立大学大学院理学研究科・准教授
学歴 早稲田大学理工学部数学科卒業、京都大学大学院理学研究科数理解析専攻後期博士課程修了, 理学博士
専門分野 複素解析学、タイヒミュラー空間論
脳神経機能を探る化合物の化学

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化学科 教授 大船泰史(定員100名、講義)

 見たり感じたり体を動かしたりするとき、小さな有機分子が体の中で大活躍しているのをご存じですか?私たちの脳神経系では、シナプスと呼ばれる神経細胞間隙でアミノ酸、アミン、ペプチドなどの小分子が化学伝達という仕組みで瞬時に情報の橋渡しをしています。複雑を極める脳神経機能を探るためには、化学伝達を制御する物質を見つけだすことが重要です。実際に、このような研究を通じて脳神経疾患の治療薬も開発されています。この授業では、最近の脳神経機能研究について化学の言葉で解説します。

プロフィール
職歴 ピッツバーグ大学化学科・博士研究員、財・サントリー生物有機科学研究所・研究員を経て大阪市立大学大学院理学研究科・教授
学歴 北海道大学理学部化学科卒業、同大学院理学研究科博士課程修了、理学博士
専門分野 有機合成化学、天然物化学
地球の情報を処理するGISとは

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地球学科 教授 升本眞二(定員100名、講義)

 地球上の空間にある多様な情報(空間情報)をコンピュータで管理し、分析し、可視化するシステムとしてGIS(地理情報システム)があります。近年、GISは空間情報解析や可視化などの最先端技術の導入により高度化し、世界レベル・国レベルでの基盤となる情報の整備と合わせて、なくてはならない基本的なツールとなってきました。また、GISはパソコンとインターネットがあれば、個人でも簡単に利用できる身近なものでもあります。ここでは、GISとはどのようなものか、どのように情報が処理されるのかなどについてわかりやすく解説します。

プロフィール
職歴 大阪市立大学理学部助手、助教授を経て、大阪市立大学大学院理学研究科教授
学歴 大阪市立大学理学部地学科卒業、同大学院理学研究科後期博士課程単位取得退学、理学博士
専門分野 地球情報学

後半  午後3時00分〜午後4時30分

絶対零度への挑戦

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物理学科 教授 畑徹(定員100名、講義)

 温度には上限はないのですが、これ以下の温度がないという絶対零度が存在します。室温から絶対零度に向かうと、すべての元素や物質は気体、液体、固体とその状態を変化させるが、唯一の例外として、固体にならない元素も存在します。
 この絶対零度でも液体状態にあるヘリウムは、ある特定の温度で「超流動」という粘性のない状態へと変化します。また、ある種の金属や有機物、セラミックスでは、電気抵抗がゼロになる「超伝導」状態が出現します。講義では、どのようにして絶対零度に近づくのか、「超流動」と「超伝導」の不思議な振る舞いを紹介します。 また、宇宙の始まりを知るための、「超流動」を用いた地上実験も紹介します。

プロフィール
職歴 大阪市立大学理学部助手、同大学講師・助教授を経て、大阪市立大学大学院理学研究科教授、その間、オランダ・ライデン大学客員研究員、東京大学物性研究所客員研究員
学歴 静岡大学理学部物理学科卒業、神戸大学大学院理学研究科修士終了、大阪市立大学大学院後期博士課程単位取得退学、理学博士
専門分野 超低温物理学、低温工学
生物進化をDNAで追うー分子進化学への招待ー

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生物学科 講師 小柳光正(定員100名、講義)

 生物の形や性質を決める情報、すなわち生物の設計図は、DNAに記されています。例えばヒトとハエでは当然ながら設計図が異なるわけですが、これは共通祖先の時には同じだったDNAに何億年もかけて変化が起きた結果です。つまり、DNAは生物の設計図であると同時に、その生物がこれまでに辿ってきた進化の記録でもあります。そのDNAから進化の情報を取り出し、進化の謎に迫る学問を分子進化学といいます。この講義では、分子進化学の理論を簡単に説明し、分子進化の研究によってどのようなことがわかるのかについて紹介したいと思います。

プロフィール
職歴 日本学術振興会特別研究員、大阪大学大学院理学研究科助手、大阪市立大学大学院理学研究科講師
学歴 京都大学理学部卒業、京都大学大学院理学研究科生物科学専攻博士課程修了、博士(理学)
専門分野 分子進化学、分子生理学