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最終更新日 2014.4.8
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物理学科

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新学術領域研究
人工光合成による太陽光エネルギーの物質変換:実用化に向けての異分野融合
(平成24年〜28年度)




   2014年3月24日

Physics of Biological Materials and Crystal Growth Laboratory

物理・化学・生命科学を融合したヘテロな研究集団

私たちの研究室では生体物性物理学研究グループと構造物性物理学研究グループとが密接に連携し合いながら、 物性物理学のニューフロンティアの開拓を目指して質の高い教育と研究活動を実践しています。生命現象(特に植物の光合成反応)を物性物理の言葉で語ること、 これが私たちの提唱する「生体物性物理学」の究極目標です。生命は39億年と言う長い年月におよぶ進化によって、 光合成系という地球環境に優しくしかも光エネルギーを最適に利用し得る構造を獲得しました。例えば太陽光を上手く受け止める光捕集アンテナ色素蛋白複合体は非常に美しい9回対称(場合によっては8回対称)の超分子複合体構造を持ちます。 その構造が有する光エネルギー捕獲・伝達機構を解明することが次世代テクノロジー(バイオナノテクノロジー)を開花させるために必要不可欠です。

私たちの研究室では光合成初期過程に重要な役割を果たすカロテノイド色素に注目して研究を行っています。 カロテノイド色素分子を系統的に改変・光合成系に再構築し、X線結晶構造解析等から色素蛋白複合体の電子分布・分子構造を詳細に決定すると同時に、 光エネルギー伝達機構および分子間相互作用機構を種々の物性測定を駆使して解明する研究を行っています。自然界には存在しない人工の光合成色素蛋白超分子複合体を自らの手で創成し、光合成系の動作機構を解明することを通して、 物性物理学の言葉で生命の青写真(自然の持つ巧妙さ)を解釈することを目的としています。光エネルギー変換過程において従来の概念を打破した基礎概念の構築、高効率・超高速のエネルギー移動の基盤となる理論を確立、 そして全く新しい物性物理を創出することを目指して日々研究しています。

このような洗練された超分子複合体構造を持つ系をより深く理解するため、 私たちの研究室ではより単純な系(有機分子薄膜、バルク結晶)を用いて、 分子構造と物質の持つ光機能性との関係を解明するために物性研究も行っています。その一例としてテラヘルツ電磁波発生機構を解明する研究を行っています。 人類は様々な周波数領域の光を、通信・分光分析・医療に活用しています。しかし、テラヘルツ帯域の遠赤外光は発生効率・受光効率の低さからまだ実用化されていない人跡未踏の周波数帯域の光です。 その周波数領域を開拓することは新しい科学技術・物性物理分野の創出に繋がります。私たちの研究室では、有機分子の構造を独自の設計指針のもとに系統的に改変させ、その薄膜およびバルク結晶を作成し、 これらを用いて発生したコヒーレント・パルステラヘルツ電磁波の発生機構を解明する研究を行っています。この研究によって有機光機能材料を用いた大出力テラヘルツ電磁波発生の基盤概念・基盤技術の創出を目指しています。

さらに、私たちの研究室では身の回りにある多様な物質系が、どのようにして作られ、どうして今あるように存在できるのかを解明する研究を行っています。スキー場で手袋についた雪を何となく見たとき、雪の一つ一つが、素晴らしい幾何学的構造をしているのに驚いた経験を持っている人もいると思います。私たちの周りには、このような物質系がたくさんあります。どのようなメカニズムで、自然はこのような美しい構造をつくるのでしょうか。この謎を解き明かそうという、 物質の存在そのものに関する課題についての研究も進めています。具体的には、物質の巨視的な「形の多様性」を理解するためには、原子・分子が取り込まれている物質表面の原子配列と成長の素過程を知ることが重要です。そこで、表面構造および温度・圧力変化に伴う構造相転移を様々な方法を駆使して原子スケールで調べ、 種々の成長素過程を経て物質が形づくられるメカニズムを追求しています。


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