2016年新刊の生物無機化学教科書 「クライトン 生物無機化学 塩谷光彦監訳 東京化学同人」 の紹介です。




生物無機化学の教科書は、生体分子内金属の無機化学や錯体化学から出発し、タンパク質、生体組織の機能発現へとボトムアップする ものが一般的です。その結果、金属をはじめとする無機元素の機能が、観測される組織や細胞の働きにどう結び付くのか、 判然としない場合がしばしばみられます。これに対し、本書は、生物学的な視点から、 まず対象となる生体組織や細胞の働きから出発し、それに無機元素がどのように関与するのか焦点を絞り込んでおり、 生物が機能を維持する(生きる)ための無機元素戦略が簡潔かつ明快に記述されています。無機化学、あるいは錯体化学の観点からは、 やや物足りなさを感じますが、生命と無機元素の関係を網羅的に理解するには、最適な教科書の一つでしょう。
ちなみに、本書の18章「金属」は、当研究室の中島教授が翻訳を担当しています。
※E208に出版社よりいただいたものを配架しています。興味のある方は、ご覧ください。
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