2.光をエネルギー源に

  生物が生きていくためには,常にエネルギーを獲得し,必要な化学物質をつくり出していく必要があります.動物などの光合成を行わない生物は,食物を体内で燃焼させ,そこからエネルギーを取り出すことによって必要なエネルギーを得ています.光合成生物はこのような呼吸とよばれるエネルギー獲得系のほかに,地球上に降り注ぐ太陽光のエネルギーを吸収し,それを化学エネルギーに変換することによって必要なエネルギーを獲得しています.
  光合成反応は次のように大きく「明反応」と「暗反応」の2つにわけることができ,文字どおり,前者が太陽光を必要とする反応になります.明反応では,光のエネルギーを使って水から電子が取り出されるのに対し,暗反応ではその電子を使って二酸化炭素を還元し,有機物(炭水化物)を作りだしています.

  明反応では,水が電子を奪われて(酸化されて)酸素に変わっています.水に一定以上の電圧をかけて電気分解すると酸素と水素が発生しますが,これと同じことを光を使って行っているのが明反応ということになります.ここで,電子とか還元という言葉がでてきましたが,光と電子との間には密接な関係がありますが,光を使って高い起電力を発生させ,水から電子を取り出すというのが光合成のキーポイントになります.では,そのメカニズムを見ていきましょう.

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