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主たる研究内容

電気伝導度は,地震波速度・密度などの物理量とは独立した物理量です.
また,含水率や温度の敏感な量であり,身近な自然界においても0.1Ωmから10000Ωmと5桁にわたる大きな変化を示します.
この電気伝導度を通じて地下構造の解明を行っています.
具体的には,次の3項目を中心に研究を進めています.

1)西南日本下の地殻~マントル上部の電気伝導度構造
2)地表地震断層周辺の電気伝導度構造
3)両者を統合した形での地震発生の場(震源域から地表地震断層)の電気伝導度構造

2-1 西南日本下の地殻~マントル上部の電気伝導度構造

このテーマのように,広域的で深部までの電気伝導度構造を精度良く知る為に,長期間安定した観測を行う必要がある.そのために電場測定にNTTの電話回線網を利用することによって目的を達している.この結果を基に,四国地方東部の2次元電気伝導度モデルを提出している.
現在は中国地方東部も含めた電気伝導度構造及び中国・四国地方西部の構造を確定中である.更に,海底での電磁場観測の結果も取り入れ西南日本の3次元的な電気伝導度構造を明らかにすることを目指している.
上記の方法でカバーしにくい浅部の構造については従来型のMT観測も並行して行っている.

2-2 地表地震断層周辺の電気伝導度構造

1995年兵庫県南部地震に伴って淡路島に顕著な地震断層(野島断層)が表れた.VLF-MT法,2次元電気探査法を用いて地震発生直後の浅部電気伝導度構造を求めている.そして高電気伝導度帯の有無・存在範囲・規模と断層の活動様式・変位量との対応も見いだし,電気伝導度の境界や高電気伝導度帯が断層の存在を示すという従来の単純な枠組みを越えている.
また,都市部の伏在活断層にも関心を持ち,神戸市街地の断層のありようについても上記の手法を用いて研究を進めている.

2-3 地震発生の場(震源域から地表地震断層)の電気伝導度構造

2-1の構造をより浅部側に,1-2の構造をより深部にのばすことによって,震源域から地表地震断層までの電気伝導度構造を明らかにすることを目指している.

主たる研究手法であるMagnetotelluric method(マグネトテルリック法 略してMT法)は,ここを見てください.