研究概要

物理学は、素粒子、宇宙、物性など主に対象に基づいて分類されています。この分類を物理学の縦糸と見なせば、数理物理学は、理論物理学全体にまたがる方法論であり、横糸としての役割を果たしています。その意味で、数理物理学の定義は曖昧で、私たちは学問の発展に自由度があってよいものだと考えています。

当基礎物理学講座数理物理研究室では、特に微視的な世界における究極的な法則の探索を目標としています。これまでの実験的な制限から、微視的な世界は、いわゆるゲージ場の量子論に基づいて記述されることが知られています。さらに究極的には、ゲージ理論の拡張として、超弦理論によって記述されると考えられています。超弦理論の研究において、拡がりを持つブレーンが発見され、ブレーンは超対称ゲージ理論によって記述されるので、超弦理論の研究と超対称ゲージ理論の研究はほぼ同義語です。近年の研究から、これら微視的な世界を記述する理論には、非常に美しい数学的な構造があることがわかってきており、「最も基本的な理論に最も美しい構造がある」とも言えます。

私たちは超対称ゲージ理論と超弦理論の理解に迫りたいと考えています。これまでの主な研究テーマとして、

  1. サイバーグ-ウィッテン理論(超対称N=2理論)の行列模型による解析
  2. アルギレス・ダグラス理論(無質量電磁粒子を持つN=2理論)の超共形指数、カイラル代数などによる解析
  3. 超対称性を持たない弦理論の宇宙項の解析
  4. 膜理論(超弦理論のさらなる発展形)の行列模型、量子代数曲線による解析
などがあります。

今後も広い視野から研究を進めていく予定です。みなさんも一緒に微視的な世界を探索してみませんか。