構造生物化学研究室/大阪市立大学大学院理学研究科・理学部

RESEARCH

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X線結晶構造解析によりタンパク質・酵素の化学反応を解明する

研究テーマ

  1. 光合成の酸素発生と人工光合成(光合成の光捕集機構と人工光合成)
    基礎研究から応用まで(複合先端研究機構)
  2. 酵素反応のプロトン・ダイナミクス
    究極の反応機構解明へ(SPring-8, JPARC)
  3. ビタミン包含酵素の構造機能相関
    反応中間体から創薬へ

(1)光合成の酸素発生と人工光合成(光合成の光捕集機構と人工光合成)

光合成による分子状酸素の蓄積
現在の生物界と大気中の酸素は「全部」光合成でつくられた

菌体培養とPSII精製, 結晶のX線回折分解能の改善

神谷(教授)・川上(特任准教授)・野地(特任講師)
田中(D修了生)・大幸(M修了生)・池田(M修了生)
平野(M2)・田淵(M2)


酸素大気下での人工光合成を可能とする「ガラス葉」を作る

特任講師・野地智康

太陽光と水をそれぞれエネルギー源、電子源とする事で、天然の葉は二酸化炭素から有機物と酸素へ、常温、常圧、酸素大気下で、当たり前の様に物質変換しています。この物質変換反応を常温、常圧の酸素大気下で、人工的に行う際の大きな課題として、酸素に反応を阻害される問題を克服する必要があります。
我々はこれまでに、数十nmの小さな穴が無数に開いたガラスの板(多孔質ガラス板)の中に、水素発生触媒を導入すると、酸素大気下での水素発生効率が3000倍に向上する事を報告してきました(Noji, et al., J. Phys. Chem. Lett., 2014)。実用化のためには、太陽光をより高効率に捕え、物質変換させなければなりません。
お手本となる天然の葉の内部でおこる光合成は、図1左側に示す様に、葉の中に存在する光化学系IIと光化学系Iの2種類のタンパク質により達成しています。その効率は実用化レベル以上であると言っても過言ではありません。本研究では、生体外に抽出したこれらのタンパク質と、人工触媒とハイブリッド化し、多孔質ガラス板の中に組み込む事で、天然の葉と同等の反応効率を有する「ガラスの葉」(図1右側)を作る事を目標としています。


図1. 天然の葉と、「ガラスの葉」の説明。ガラスの葉の中には、光化学系IIと水素発生触媒を結合した光化学系Iがあり、それらが連動して、水を太陽光で分解し、酸素と水素を同時発生させる。

光合成の光捕集機構と人工光合成

藤井律子(准教授)・山野(D3)・藤原(M修了生)・狩野(M2)

くわしくは→藤井グループのサイト

水圏に生息する光合成生物は、緑色光を光合成に活用
海洋藻類の持つ集光蛋白質に結合した光合成色素の構造と機能の解明


具体的な研究テーマと共同研究先
  1. 特殊な色素を結合する集光蛋白質
    深所型緑藻モツレミル
    培養、色素組成、蛋白質精製
    結晶化(阪大蛋白研との共同研究)
    アスタキサンチン生産形質転換レタス
    (京大、石川県立大との共同研究)
    蛋白質精製、光合成機能解析、
    色素組成、分光応答
    褐藻類オキナワモズク
    (株サウスプロダクトとの共同研究)
    クロロフィルc、蛋白質精製 
  2. 極性カロテノイドの集積と励起状態
    フコキサンチンの集積制御
    (株ライオンとの共同研究)
    混合LB膜、メソポーラスシリカへの色素導入

(2)酵素反応のプロトン・ダイナミクス

ADP-リボースピロリン酸分解酵素(ADPRase)

神谷信夫(教授)・宮原郁子(准教授)・松本(M修了生)

結晶相酵素反応のその場観察
(SPring-8,JPARC)
酵素による加水分解(一般塩基と一般酸)


(3)ビタミン包含酵素の構造生物化学

宮原郁子(准教授)・赤井(D3)・主馬野(D3)・水田(M修了生)・高橋(M2)

ビタミン・・・必要量はわずか・体外から摂取 摂取しないと欠乏症
ビタミンB群酵素に結合して、反応特異性と基質特異性を持つ


具体的な研究テーマ
アミノ酸生合成系 (抗生物質の探索)
ホモセリン脱水素酵素(ThrA)
葉酸代謝系(産業利用・治療薬)
セリンヒドロキシメチル基転移酵素(SHMT)
ヘム生合成系
5-アミノレブリン酸合成酵素(ALAS)(医療・産業利用)
スフィンゴ脂質(セラミドなど)代謝系(医療)
セリンパルミトイル基転移酵素(SPT)
 スフィンゴシン1リン酸合成酵素(SPL) 
脂肪酸の代謝(反応機構解明)
アシルCoAデヒドロゲナーゼ
DNA転写因子(B6酵素の新規機能)
GabR, DdlR


BCAT・抗てんかん薬の複合体

共同研究先
大阪医科大学生化学教室
熊本大学大学院生命科学研究部
名古屋大学大学院生命農学研究科


研究室での生活