集中講義(2002年度)

科目名
日程 4月22日(月)~4月26日(金)
談話会:4月24日(水) 15:30~16:30)
講演者(所属) 古田 幹雄(東京大学)
タイトル K理論と指数
場所 数学講究室(3040)
講義内容 位相的 K 理論とは,トポロジーのものの見方のひとつで,線形代数のほんの一歩先に位置しています.線形空間として無限次元のもの まで視野にいれると, 自然に「指数」の概念が見えてきます. こんな素朴なものが,たとえば特異コホモロジー理論と比べても,極めて 強力な道具となり得ることを説明したいと考えています.K 群を使うと,一種のコホモロジー理論を構成することができ,この構成の鍵 になるのは Bott の周期性定理(あるいは Thom 同型)です. Bott の周期性定理(あるいは Thom 同型)のひとつの理解の仕方は,一種 の Fourier 変換として捉えるもので,その際の積分にあたる操作が「族の指数」です.この講義は,現在の幾何学研究の最先端へ直接導く ものではありません.しかし,現在の諸研究を各自が理解するための背景を提供することを目指します. 予備知識としては,特異コホモロジー 理論(あるいは de Rham コホモロジー理論)とベクトル束の定義と簡単な性質を仮定します.特性類についての予備知識があると分かりやすいと 思いますが,最初に復習をするので必須ではありません.全般に渡っての参考文献として

Atiyah, "K-theory", Benjamin

Bott, "Lectures on K(X)", Harvard Univ.

荒木捷朗, 位相的$K$理論, 数学 第22巻 第1号, 日本数学会編集, 岩波, (1970) 60--76.

荒木捷朗, 位相的$K$理論 II, 数学 第23巻 第4号, 日本数学会編集, 岩波, (1971) 272--292.

を挙げておきます.実際には次の順序に 従って話をする予定です.

1. K 群 とChern指標: 特性類についてのまとめ. (参考文献 Milnor-Stasheff, " Characteristic classes". )

2. Bottの周期性定理とThom同型:証明は後に回し,定式化と応用を述べる.

3. e 不変量と Hopf不変量:複数の定義の仕方とその同値性を例とともに説明する. (参考文献 Stong, "Notes on cobordism theory" )

4. 族の指数とThom同型: 指数の概念を導入し,保留されていた Thom同型の証明を紹介する. (参考文献 Atiyah, "Bott periodicity and the index of elliptic operators", Quat. J. of Math., (Oxford) (2) 17 (1966), 165--193.)

5. 指数定理 :指数定理の定式化と証明の概略を述べる. (参考文献 Atiyah and Singer,"The index of elliptic operators I",Ann. Math. 87 (1968), 484--530.)

科目名
日程 7月15日(月)~7月19日(金)
談話会:7月17日(水) 16:30~17:30)
講演者(所属) 盛田 健彦(広島大学)
タイトル ビリアード型の力学系 -2次元散乱開撞球を中心に-
場所 数学講究室(3040)
講義内容 平面上に日食が起きないように配置された複数の円盤があったとする.これらの円盤の外部領域では単位速度で等速直線運動し, 円盤に衝突した場合は完全弾性衝突して動き続ける質点の運動を考えよう.本講義では,このような運動を記述するビリヤード力学系 について,その双曲的力学系としての構造と,周期軌道の分布に関するゼータ関数の基本的な性質の解説を行う.可能ならば最近の 話題についても話を進めたい.
科目名
日程 11月25日(月)~11月29日(金)
談話会:11月27日(水) 15:30~16:30)
講演者(所属) 足利 正(東北学院大学)
タイトル リーマン面の退化族の諸相
場所 数学講究室(3040)
講義内容 リーマン面の退化族の定義と簡単な例の構成から入り、現在のところ以下のような最近のホットな話題に言及していく予定ですが、 若干の変更を行う可能性もあります。

松本 - Montesinos の定理と退化族の構成

超楕円的分裂族と堀川指数

安定曲線族への高村の群作用と位相モノドロミー

同変指数定理の局所符合数への応用

関連する問題

科目名
日程 12月9日(月)~12月13日(金)
談話会:12月11日(水) 17:00~18:00)
講演者(所属) 筱田 健一 (上智大学)
タイトル 有限群の表現と指標和
場所 数学講究室(3040)
講義内容

誘導表現の自己準同型環

Gelfand-Graev表現

Gelfand-Graev表現とGauss和

応用(Hasse-Davenport型等式)

科目名
日程 1月27日(月)~1月31日(金)
談話会:1月29日(水) 15:30~16:30)
講演者(所属) 納谷 信(名古屋大学)
タイトル 組合せ調和写像とその応用
場所 数学講究室(3040)
講義内容 講義の主題は、単体複体から非正曲率空間へのエネルギー最小写像と、その離散群の超剛性への応用です。エネルギー最小写像の存在と、 それに対するボホナー型公式について述べ、最後に応用例をあげる予定です。導入として、まず、調和コチェインとそれに対するボホナー 型公式について話すつもりでいます。時間の許す範囲で、中心的な例であるビルディングについても話したいと思っています。