集中講義(2018年度)

科目名 幾何構造論特別講義Ⅲ・Ⅳ
日程 9月11日(火)~9月14日(金)、9月18日(火)、(初日は10:40開始)
談話会:9月12日(水) 16:00~17:00)
講演者(所属) 中村 拓司(大阪電気通信大学)
タイトル 結び目・仮想結び目理論入門
場所 大講究室(理学部棟E408)
講義内容

3次元球面内の結び目の分類や幾何的・代数的性質の探求が結び目理論の中心課題である. 結び目は2次元球面に横断的な2重点を持つように射影され,その射影図に交差の上下の情報を加えた結び目ダイアグラムとその同値変形であるライデマイスター移動を用いて議論されることが多い. 1996年にKauffmanが,結び目ダイアグラムの通常の交点に加え,仮想的な交点も許した仮想結び目ダイアグラムを考え,一般化されたライデマイスター移動による同値類を仮想結び目として定義した. その後,仮想結び目については多くの研究がなされている. 本講義では通常の結び目と仮想結び目の,特に組み合わせ的な議論に関しての,性質について入門的な話をする.

キーワード:FOX彩色,Jones多項式,局所変形

科目名 数理科学特別講義Ⅰ・Ⅱ
日程 7月2日(月)〜7月6日(金)
談話会:7月4日(水) 16:30~17:30)
講演者(所属) 跡部 発(東京大学・日本学術振興会特別研究員(PD))
タイトル 池田リフト・宮脇リフトの表現論的再構成
場所 大講究室(理学部棟E408)
講義内容

モジュラー形式や保型表現は、現代の整数論の研究において最も重要な道具の一つである。 一変数の正則モジュラー形式の理論で最も重要な結果は、Deligneによって証明された Ramanujan予想である。これは、モジュラー形式のFourier係数の評価であり、保型表現 の言葉ではGL(2)の正則カスプ保型表現の不分岐な局所因子の佐武パラメーターが全て絶対値 が1であるという主張になる。ところが、多変数の正則モジュラー形式では同じ主張は成り立たない。 これには、斎藤・黒川リフトやDuke-Imamoglu-Ibukiyama-Ikedaリフトといった反例が 具体的に構成されている。

 Ramanujan予想にどれぐらいの反例があるかという問題については、今日ではArthurの 重複度公式という答えが得られているが、これは保型形式の存在性を主張する結果である。 一方で様々なリフトは構成法からFourier係数などの多くの情報が得られる。

 この集中講義では、正則保型形式について説明した後、近年に池田・山名によって表現論を 用いて再構成されたDuke-Imamoglu-Ibukiyama-Ikedaリフトについて解説する。 また、それの応用として得られる宮脇リフトについても紹介したい。

科目名 解析学特別講義Ⅲ・Ⅳ
日程 6月4日(月)~6月8日(金)
談話会:6月6日(水) 16:30~17:30)
講演者(所属) 菱田 俊明(名古屋大学)
タイトル 外部 Navier-Stokes流の安定性の数学解析
場所 大講究室(理学部棟E408)
講義内容 3次元外部領域(剛体の障害物の外部)での非圧縮粘性流体の運動を 記述する Navier-Stokes 方程式の初期値問題の時間大域解の漸近挙動を、 定常解の漸近安定性との関連の中で考察する。定常解の周りでの線型化 方程式の初期値問題の解の $L^q$-$L^r$ 減衰評価の導出が最も重要 で難しいステップとなるので、その解説が本講の中心部分となる。 前半では、まず Stokes半群の場合に、Stokes resolvent のスペクトル 解析を通して時間減衰評価を示す。後半では、障害物の並進速度と 回転角速度が時間により変動する場合に、 non-autonomous な線型化 作用素が生成する発展作用素の時間減衰評価を求める技法について 述べる。