大阪市大・大阪府大合同
「南大阪応用数学セミナー」(2019年度)


大阪市立大学数学研究所(OCAMI)での事業の一環として、大阪市立大学数学研究所および大阪府立大学工学部有志を運営委員として広く解析・応用解析をテーマにしたセミナーを行います。

連絡先 :高橋 太
〒558-8585
大阪府大阪市住吉区杉本3丁目3番138号
大阪市立大学大学院理学研究科数物系専攻・数学研究所
電話:06-6605-2508
E-mail :futoshi@sci.osaka-cu.ac.jp(高橋)
運営委員 :高橋 太、阿部 健、村井 実、 関行宏氏(阪市大数学研究所)、
 壁谷 喜継(大阪府立大・理)、菅 徹(大阪府立大・理)

数学教室は理学部に移転しました。 移転マップ
理学部「12」の建物です(F棟は学術情報総合センターに近い方です)

第51回「南大阪応用数学セミナー」
日時 7月20日(土)14時〜17時30分
場所 大阪市立大学(杉本キャンパス)理学部E棟数学講究室(E408号室)
講演者(所属) 14:00~15:00
後藤田剛氏(名古屋大学大学院多元数理科学研究科)
タイトル Scaling limit of measure-valued vortex solutions for the filtered Euler system
アブストラクト 高レイノルズ数状態の流体運動は非粘性流体方程式の解によって記述できると期待される. 本研究では点渦や渦層などの数学的な理想渦の解析を通した非粘性流体に現れる渦運動の理解に取り組んでいる. 一方で非粘性流体の運動を記述するEuler方程式のそのような理想渦力学の解析には可解性も含めて困難が多い. そこで, Euler方程式に空間的フィルタリングを行うことで導かれる正則化Euler方程式(filtered-Euler方程式)を考え, その理想渦力学の解析やEuler方程式の弱解への収束性を議論することで非粘性流体の渦力学が理解できる可能性がある. 本講演では二次元filtered-Euler方程式について, Radon測度値の渦度に対する時間大域解の一意存在, 特に渦層解のフィルタリングスケール極限における二次元Euler方程式の弱解への収束性を示し, 点渦の自己相似衝突を利用した同極限においてある種の特異性を持つような解の構成について説明する.
講演者(所属) 15:15~16:15
藤原和将氏(東北大学大学院理学研究科)
タイトル 摂動された分数階Laplacianに対する交換関係の評価に就いて
アブストラクト rough metricやポテンシャルによって摂動された1/2階Laplacianに対する、交換関係が二乗可積分空間に於ける有界作用素となた為の条件を考察する. 摂動がない場合、Laplacianの交換関係の評価は分数階Leibniz評価として研究をされてきたが、その解析方法はFourier変換に依存しており、摂動を許容しない. 本講演では、一般のスペクトル解析とフーリエ変換を併用し、摂動された交換関係の有界性を検討する. 猶本講演は、Luigi Forcella氏(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)、Vladimir Georgiev教授(ピサ大学)、 小澤徹教授(早稲田大学)との共同研究に基づく.
講演者(所属) 16:30~17:30
宮本安人氏(東京大学大学院数理科学研究科)
タイトル Stable standing waves of nonlinear Schrodinger equations with potentials and general nonlinearities
アブストラクト L^2拘束条件下における,ある汎関数の最小化問題の達成可能性を考える.汎関数は,遠方で0に漸近する負のポテンシャル項と,純粋冪とは限らない一般の非線形項を持つとする. このとき,ある非負の定数が存在し,L^2ノルムがその定数より大きいとき,最小化問題は達成され,その値より小さいとき,達成されないことを示す.また,1,2次元の場合は,常に達成されることを示す. 証明はLionsのConcentration-compactness原理,最小エネルギーの劣加法性条件,相互作用の精密な評価を用いる.本研究は,生駒典久氏(慶応大学)との共同研究に基づく.
第50回「南大阪応用数学セミナー」
日時 6月8日(土) 14:00 ~ 17:30
場所 大阪府立大学(中百舌鳥キャンパス)A12棟サイエンスホール
交通アクセス:http://www.osakafu-u.ac.jp/info/campus/access/
キャンパスマップ:https://www.osakafu-u.ac.jp/info/campus/nakamozu/
講演者(所属) 14:00~15:00
小野寺 有紹氏(東京工業大学理学院)
タイトル Bernoulli の自由境界問題の双曲型解の葉層構造
アブストラクト Bernoulli の自由境界問題とは円環状領域上の調和函数に関する過剰決定問題であり,一方の境界を固定した上で, 与えられた Dirichlet および Neumann 境界条件の双方をみたす調和函数が存在するためのもう一方の境界の形状を問うものである. 本問題の解(すなわち自由境界)には楕円型および双曲型という異なる二つの解の型が現れ,前者は安定であり後者は不安定である. すなわち,本問題は変分問題として特徴付けることが可能であり,前者は極小点,後者は鞍点として現れる. 先行研究では最大値原理を基礎とする優解劣解法が多く用いられているが,この方法では安定解である楕円型解しか得られない. また,原理的に双曲型解に対しても適用可能である陰函数定理は,その微分喪失構造から Nash-Moser 型定理を用いる必要が生じ複雑な評価が要求されるため, 現在に至るまで陰函数定理による双曲型解の構成は成功していなかった.本講演では微分喪失構造を有する問題へ適用可能な新しい陰函数型定理を証明する. 証明は従来の逐次近似法ではなく,付随する発展方程式を導出し,最大正則性の理論によってそれを解くことを基礎とする. 特に,この方法によって得られる解の族は元の解と同じ正則性をもつ.定理の応用として Bernoulli の自由境界問題の葉層構造をもつ双曲型解の構成を行う. 時間が許せば,Flucher-Rumpf 予想の解決に向けた講演者の試みについても紹介する.
講演者(所属) 15:15~16:15
藤江 健太郎氏(東北大学数理科学連携研究センター)
タイトル 感応性関数をもつ Keller-Segel 系の臨界条件について
アブストラクト ユークリッド空間内の有界領域における感応性関数をもつ Keller-Segel 系の初期値境界値問題について考察する. 対数型の感応性関数をもつ場合の定常問題については,Lin-Ni-Takagi (1988)をはじめとする多くの研究が知られている. 一方で,もとの Keller-Segel 系については,感応性関数の減衰度合いによって爆発解の存在・非存在を分類できると予想されているが, どのような条件が臨界なのかについては未解決である.本講演では,放物型方程式の連立系である Keller-Segel 系を単独の非局所熱方程式の摂動として扱うことにより, 時間大域存在の十分条件を導出する.また,Hu-Yin (1995)の非局所熱方程式についての結果を基に,臨界条件について議論を行う.本講演は仙葉隆先生 (福岡大学)との共同研究に基づく.
講演者(所属) 16:30~17:30
北 直泰氏(熊本大学大学院先端科学研究部)
タイトル 非線形散逸項を含むシュレディンガー方程式の解の最適減衰オーダー
〜 光ファイバー通信の増幅器設置問題に寄せて〜
アブストラクト 非線形 Schrodinger 方程式(NLS)は,光ファイバーを伝わる信号の形状変化を記述している. 本講演では,非線形散逸項を含むNLSの解の減衰オーダーについて考察する.この問題について,10年ほど前に下村氏(東京大学)によって,L^∞ノルムによる解の減衰評価が得られているが, この減衰オーダーが最適なものであること,つまり,それよりも早い減衰を示す解は自明解(u=0)しか無いことを証明する.解の最適な減衰オーダーを特定できると, 光ファイバーの途中に信号増幅器をいくつ設置すれば十分なのか見積もることができる.本講演では数学による結果を光ファイバー工学の応用へと繋げたい.
第49回「南大阪応用数学セミナー」
日時 4月13日(土) 14:00 ~ 17:30
場所 大阪市立大学(杉本キャンパス)理学部E棟数学講究室(E408号室)
講演者(所属) 14:00~15:00
水野 将司氏(日本大学理工学部)
タイトル 結晶成長の数理と結晶方位差, 三重点の関係
アブストラクト Mullins, Herringらは1950年代に結晶粒界の数理を考察し, 曲線短縮流方程式など 数学的に興味深い非線形問題を導いた. 昨今, 曲線短縮流方程式は幾何解析の重要な問題として, 数多くの研究がなされている. とりわけ, 曲線短縮流方程式のネットワーク解は, 結晶粒界の数理と関係が深い. 他方で, 結晶粒界の数理モデリングの観点からみると, 他の状態変数を加えた, マルチスケール問題が考察されている. 本講演では, 結晶粒界エネルギーの消散性と, 結晶粒界が結晶方位の特異性をもたらすこと, 三重点と結晶粒界エネルギーの関係に着目して, 新しい発展方程式を導出する. 次に, 得られた方程式の緩和問題を考え, 可解性や漸近挙動を議論する. 本研究は Yekaterina Epshteyn氏(Utah大学), Chun Liu氏(Illinois工科大学)との共同研究に基づく.
講演者(所属) 15:15~16:15
関 行宏氏(大阪市立大学数学研究所)
タイトル 藤田方程式における臨界指数と解の爆発構造
アブストラクト 冪乗型の非線形項を持つ半線形熱方程式, いわゆる藤田方程式は これまで非常に多くの研究がなされ, 様々な臨界指数の重要性が指摘されてきた. 特に冪が Sobolev の臨界指数を超えると非線形性の度合いが強まり, 球対称解に限定しても可能な解挙動は複雑であることが知られている. 本講演では Joseph--Lundgren 及び Lepin の臨界指数に焦点を当て, 特徴的な爆発解の挙動について議論する. 特に Lepin 指数に対しては 解の可能な爆発構造が空間次元の大きさに依存し, ある次元を境に遷移する. これは第二の臨界現象を示唆しており, 俣野, 溝口両氏により独立に証明された球対称爆発解の分類定理における仮定を 満たさない場合に生じる特徴的結果である. その中でも最も興味深い"二重臨界的"な爆発解の存在とその局所的評価を強調したい.
講演者(所属) 16:30~17:30
長澤 壯之氏(埼玉大学理工学研究科)
タイトル 一般化されたO'Haraエネルギーに対する余弦公式
アブストラクト O'Haraエネルギーは結び目に対して定義される汎関数である. 与えられた結び目型における標準形を決定したいという動機によりO'Haraによって導入された. その中の一つがM\"{o}biusエネルギーで、これはM\"{o}bius変換によって不変である事が名前の由来になっている. その性質はFreedman-He-Wangによって示された。 興味深いのは線素まで含めたエネルギー密度がM\"{o}bius不変ではないにも関わらず、 積分値はM\"{o}bius不変になる点にある. 後に、M\"{o}bius不変なエネルギー密度で書き直せる事が分かり、 書き直された表現はDoyle-Schrammの余弦公式と呼ばれる. 共形角と呼ばれる角の余弦が使われるためである. M\"{o}biusエネルギー以外のO'HaraエネルギーはM\"{o}bius不変でない。 そのため、余弦公式のような書き替えは考えられていなかった。 本講演では、一般化されたO'Haraエネルギーにも余弦公式に相当するものがある事を紹介する. あるO'HaraエネルギーがM\"{o}ius不変でないことは、適当な結び目でM\"{o}bius変換前後のエネルギーを比較すればよい. しかし、それではエネルギー自身がM\"{o}bius不変性からどの程度外れているかが見えない. 紹介する余弦公式はこれを定量的に表現したものである. M\"{o}biusエネルギーはM\"{o}bius不変な3つの部分に分解出来る事が知られている. 一般化されたO'Haraエネルギーにも同様な分解が成り立つ。 余弦公式はこれらと異なる分解を与える。従来知られる分解より解析的に扱いやすいものである.
本セミナー運営には以下の科研費からの支援を受けています。

基盤 (B) 課題番号19136384(代表・高橋太)
若手研究 (B) 課題番号 17K14217 (代表・阿部健)


最終更新日: 2019年7月19日