大阪市大・大阪府大合同
「南大阪応用数学セミナー」(2013年度)


大阪市立大学数学研究所(OCAMI)での事業の一環として、大阪市立大学数学研究所および大阪府立大学工学部有志を運営委員として広く解析・応用解析をテーマにしたセミナーを行います。

連絡先 :高橋 太
〒558-8585
大阪府大阪市住吉区杉本3丁目3番138号
大阪市立大学大学院理学研究科数物系専攻・数学研究所
電話:06-6605-2508
E-mail :futoshi@sci.osaka-cu.ac.jp(高橋)
運営委員 :高橋 太、清水 翔之(大阪市立大・理学研究科/数学研究所)
 壁谷 喜継、川上 竜樹(大阪府立大・工)
第16回「南大阪応用数学セミナー」
日時 平成26年(2014年)1月25日(土)14:00~17:30
場所 大阪市立大学理学研究科数学講究室(共通研究棟3階301号室)
講演者(所属) 14:00-15:00
渡部拓也 氏(立命館大学)
タイトル A remark on a connection problem for $2 \times 2$ system via micro supports
アブストラクト 複数回交差する2準位エネルギー間の非断熱遷移問題を考察する. 実際には,断熱パラメータ及びエネルギー交差の相互作用パラメータの2つのパラメータを含む一階 $2 \times 2$ 連立常微分方程式系の大域的な解の基底 変換行列の漸近挙動を調べる. 複素平面上のエネルギー交差点である変わり点のまわりで,WKB解は断熱パラメータに関してストークス現象を起こす. このため,局所的なWKB解の接続問題を考察する必要が生じる. 1位の 変わり点におけるWKB解の接続には完全WKB解析が有効であるが,相互作用パラメータによって変わり点が合流する場合には有効ではない. 講演では,完全WKB解析が有効でない場合に,準古典超局所解析を援用し,超局所台に着目した解の接続問題について焦点をあてる. 本研究は,M. Zerzeri氏(Paris 13大学)との共同研究である.
講演者(所属) 15:15~16:15
峯 拓矢 氏(京都工芸繊維大学)
タイトル 磁場付きシュレディンガー作用素の Spectral shift function について
アブストラクト 自由なラプラシアンとそれに短距離型のスカラー・ポテンシャルを加えたシュレディンガー作用素を考えたとき, 2つの作用素のスペクトル構造の差を計る量として1950 年代に I. M. Lifshits, M. G. Krein らによって導入された Spectral shift function (SSF) がある. 一方, 2次元の磁場付きシュレディンガー作用素については磁場の台がコンパクトであっても一般には摂動が長距離型になるため,通常の意味では SSF が定義できない. 本講演では, SSF の定義にごく自然な拡張を行うことにより, 磁場が遠方で十分速く減衰するような2次元の磁場付きシュレディンガー作用素に対してもSSF が定義出来ることを示す. 時間があれば, 磁場が有限個のδ関数的磁場 の和(Aharonov-Bohm 磁場) の場合について, SSF のラプラス変換に対する確率積分表示 (J. L. Borg の結果)などについても紹介したい.
講演者(所属) 16:30~17:30
赤木 剛朗 氏(神戸大学)
タイトル Semilinear heat equation with concave nonlinearity
アブストラクト This talk is concerned with the stability of stationary solutions for a semilinear heat equation with concave nonlinearity under possibly sign-changing flows. We particularly discuss the exponential stability of the positive stationary solution and the instability of sign-changing solutions. The method of analysis relies on the linearization of the equation and spectral analysis of the corresponding linearized operators. Due to the concave nonlinearity, a lack of uniqueness of solution and some singularity of the linearized operators may arise.
This talk is based on a joint work with Ryuji Kajikiya (Saga University, Japan).
第15回「南大阪応用数学セミナー」
日時 平成25年(2013年)11月16日(土)14:00~17:30
場所 大阪府立大学中百舌鳥キャンパスB3棟203号室
講演者(所属) 14:00-15:00
Yen-Lin Wu 氏(National Central University, Taiwan)
タイトル Existence and Uniqueness of the Eigenvalue Problem for a Singular Ergodic Control
アブストラクト PDF参照
講演者(所属) 15:15~16:15
高橋 亮氏(大阪大学)
タイトル On the Trudinger-Moser type inequality involving the mean field equation with probability measures in 2D
アブストラクト For the simple mean field equation in 2D, it is known that the optimal mass to assure that the variational functional is bounded below is 8 pi. In this talk, we consider this type of optimality and sharpness for the mean field equation with probability measures in 2D.
講演者(所属) 16:30~17:30
小野寺 有紹氏(九州大学)
タイトル On the uniqueness of quadrature surfaces
アブストラクト A new geometric flow describing the motion of quadrature surfaces is introduced. This characterization enables us to study quadrature surfaces through the investigation of the flow. It is proved that the flow is uniquely solvable under the geometric condition that the initial surface has positive mean curvature. As a consequence, a bifurcation criterion for quadrature surfaces is obtained.
第14回「南大阪応用数学セミナー」
日時 平成25年(2013年)10月19日(土)14:00~17:30
場所 大阪市立大学理学研究科数学講究室(共通研究棟3階301号室)
講演者(所属) 14:00-15:00
Ki-ahm Lee 氏(ソウル国立大学)
タイトル Fully Nonlinear equation in Curvature flows
アブストラクト In this talk we are going to discuss fully nonlinear parabolic equations describing the evolution of rolling stone. Initial shape of rolling stone determines the class of nonlinear partial differential equations and the regularity theories on nonlinear pde are required to show the smoothness of flow in a suitable class, uniform estimate up to blow-up and the shape of blow-ups.
講演者(所属) 15:15~16:15
杉山 由恵氏(九州大学)
タイトル Uniqueness theorem on weak solutions to the Keller-Segel system
アブストラクト Keller-Segel 方程式系に対する弱解の一意性について最近の研究成果を紹介する. 同方程式系は多くのパラメーターを有し,その取り方によって半線形型,準線形・退化型拡散方程式といった豊富な構造を内在している. 本講演では,半線形及び準線形退化型Keller-Segel方程式系の双方を考察する. 半線形系については,可微分性を仮定しないスケール不変な空間で,主に弱解の一意性に焦点を当て,初期値問題の局所的適切性を証明する.準線形退化型系については,弱解の存在が得られているHolder連続な 関数空間において、解の一意性が成立することを論じる.
講演者(所属) 16:30~17:30
久保  英夫氏(北海道大学)
タイトル On the pointwise decay estimate for the wave equation with compactly supported forcing term
アブストラクト In this talk I'd like to present a new type of pointwise decay estimate of the solution to the Cauchy problem for the wave equation with compactly supported forcing term. In the study of the exterior problem for the nonlinear wave equation, the pointwise decay estimate plays an important role in combination with the cut-off method due to the pioneering work of Shibata and Tsutsumi (1986). However, in two-dimensional case we had a problem to get the same decay rate for the solution itself as that for the boundaryless case. This motivate us to derive an improved estimate under the assumption that for each fixed time, the forcing term has a compact support with a fixed radius. Actually, we are able to diminish the weight on the forcing term, so that the desired decay for the exterior problem was established.
第13回「南大阪応用数学セミナー」
日時 平成25年(2013年)7月20日(土)14:00~17:30
場所 大阪府立大学中百舌鳥キャンパスB3棟203教室
講演者(所属) 14:00-15:00
大枝 和浩 氏 (早稲田大学オープン教育センター)
タイトル 保護区域が存在する2種生物モデル
アブストラクト 被食者のための保護区域が存在する被食者‐捕食者モデルがDu-Shi(2006)により提唱されたが, 本講演では, Du-Shi(2006)のモデルをより一般化したモデルについて考える. 被食者の増殖率の値がある閾値以上(保護区域の大きさがある一定値以上と言い換えることもできる)であれば, 被食者と捕食者の共存解が常に存在することを示す. また, 講演で導出する閾値は, 保護区域が存在する2種競争モデルや別の被食者‐捕食者モデルにおいても現れることが, Wang-Li(2013)などの研究により最近明らかになった. これらの関連する研究結果についても言及する予定である.
講演者(所属) 15:15~16:15
久藤 衡介 氏 (電気通信大学大学院情報理工学研究科)
タイトル 移流項を伴う Lotka-Volterra 競争系の共存定常解について
アブストラクト 拡散項と移流項を伴う Lotka-Volterra 競争モデルの定常問題について次のトピックに関する結果を紹介する: ・共存定常解のアプリオリ評価,存在と非存在の条件
・一方の生物種の活動性(拡散と移流)を無限大とした極限系の導出
・空間1次元の極限系の解が成す大域的分岐構造
最後のトピックでは, 極限系の非定数解の集合が異なる特異極限(内部遷移層解と境界遷移層解)を繋ぐ サドルノード型分岐曲線などを形成することを示す. 本講演は辻川亨氏(宮崎大・工)との共同研究に基づく.
講演者(所属) 16:30~17:30
大崎 浩一 氏 (関西学院大学理工学部)
タイトル 走化性・増殖系に現れる非線形現象とその解析 ―これまでとこれから ―
アブストラクト 放物・放物型Keller-Segel系にロジスティック増殖が加わった方程式を考える. これは国内では走化性・増殖系や三村・辻川系などと引用される. 講演者はこれまでこの系について, 空間2次元における時間大域解の構成やアトラクターの構成ならびに, パターン形成の研究を行ってきた. 講演前半では, それらの結果と, 鍵となった非線形解析の一部を紹介する. 後半では, そこから派生する未解決問題ならびに, 最近講演者が考えている昆虫と走性の問題を紹介する.
第12回「南大阪応用数学セミナー」
日時 平成25年(2013年)6月15日(土)14:00~17:30
場所 大阪市立大学理学研究科数学講究室(共通研究棟3階301号室)
講演者(所属) 14:00-15:00
西尾 昌治氏(大阪市立大学・理学研究科)
タイトル 放物型ベルグマン空間上のカルレソン測度とテープリッツ作用素
アブストラクト 熱方程式やそれを少し一般化した放物型方程式の可積分な解の空間(ここでは放物型ベルグマン空間とよぶ)は再生核を持つHilbert 空間(Banach 空間)になる。
講演ではまず、再生核による積分作用素の有界性を注意し、放物型ベルグマン空間の基本的な性質について述べる。
次に、カルレソン測度の特徴付けやテープリッツ作用素について、その有界性やコンパクト性などを議論する。ここでの議論では、平均値の性質と基本解の評価および方程式の同次性が基本的である。
講演者(所属) 15:15~16:15
太田 雅人氏(東京理科大学・理学部数学科)
タイトル 微分型非線形シュレディンガー方程式の孤立波解の軌道不安定性
アブストラクト 微分型非線形シュレディンガー方程式は、角振動数と並進速度という2つのパラメータに本質的に依存する孤立波解の族をもつ。
この孤立波解の軌道安定性については以前の研究により分かっているが、今回は、別のパラメータ領域における、軌道不安定性について考察する。
講演者(所属) 16:30~17:30
梶木屋  龍治氏(佐賀大学・理工学部数理科学科)
タイトル 穴の空いた対称領域におけるEmden-Fowler方程式の正値解の多重存在
アブストラクト 本講演では, Emden-Fowler 方程式を穴の空いた有界な対称領域において考える. 直交群の閉部分群 G を与える. 考える領域をG 不変領域とする. G の閉部分群 H を与える. ただし領域の各点に対して, その点を通る H の軌道とGの軌道は異なるものとする. このとき, 領域に穴が空いていて十分薄いならば, H不変であり G 不変でない正値解が存在することを証明する. H不変な関数空間の中での最小エネルギー解がG 不変性を持たないことを示すことにより証明する. また様々な穴の空いた対称領域と群不変解の例を挙げる.
第11回「南大阪応用数学セミナー」
日時 平成25年(2013年)5月18日(土)14:00~17:30
場所 大阪府立大学中百舌鳥キャンパスB3棟204教室
講演者(所属) 14:00~15:00
藤嶋 陽平 氏 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
タイトル Blow-up set for a superlinear heat equation and pointedness of the initial data
アブストラクト 本講演では, 冪乗型非線形項や指数型非線形項を含む一般の非線形性を持つ非線形熱方程式の爆発集合の位置の特徴付けについて考察する. 拡散係数が十分に小さい場合には, 拡散項に比べて非線形項の効果が 強くなり, 解は初期値の最大点近くでのみ爆発する. 特に, 非線形項が冪乗型の場合には, 爆発時刻直前での解の形状を詳細に調べることにより, 爆発集合の位置と初期値の形状に関する詳細な結果を得ることができる. この 議論では, 解のあるスケール変換に対する方程式の不変性が重要な役割を果たしており, 一般の非線形を持つ方程式の爆発問題にこれらの議論を直接適用することは難しい. 本講演では, このスケール変換の一般化を導入 することで,一般の非線形性を持つ方程式に対しても爆発集合の位置と初期値の形状に関する結果が得られることを紹介する.
講演者(所属) 15:15~16:15
菅 徹 氏 (東京工業大学大学院理学研究科数学専攻)
タイトル 単連結でない2次元領域上におけるGel'fand 問題の解構造について
アブストラクト 単連結でない2次元領域上でGel'fand問題(指数関数型非線形項を持つ楕円型境界値問題)を考察する.
単連 結領域においては爆発解の爆発点の個数には領域に依存する上限が存在するが, そうでない領域の場合上限がなく, その意味で領域の位相的な性質が問題の解構造に大き な影響を与える.
本講演では特に小さな穴をもつ領域で問題を考察し, ある仮定の下, 穴の近くでピークを持つような解が構成できることを紹介する.
講演者(所属) 16:30~17:30
永安 聖 氏 (兵庫県立大学大学院物質理学研究科)
タイトル Increasing stability in inverse problems for some equations
アブストラクト 音響方程式やSchr{\"o}dinger方程式に対する係数決定逆問題の安定性について考える. 一般に, この種の逆問題はあまり安定ではなく, いわゆるlog型の安定性評価しか得ることができない. しかしながら, 振動数を大きくすると安定性がよくなることが, 数値実験等によって観察されている. 本講演では, この現象について数学的観点から考察し, 特に方程式中に含まれる振動数を大きくしたときに, 安定性評価が振動数にどのように依存するかについて考える. 尚, 本研究はV. Isakov氏・G. Uhlmann氏・ 王振男(J.-N. Wang)氏との共同研究である.
第10回「南大阪応用数学セミナー」
日時 平成25年(2013年)4月27日(土)14:00~17:30
場所 大阪市立大学理学研究科数学講究室(301号室)(共通研究棟3階)
講演者(所属) 14:00-15:00
清水 翔之 氏(大阪市立大学数学研究所)
タイトル 非相対論的ボソン粒子の多体系における散乱理論について
アブストラクト ボソン粒子と呼ばれる素粒子が多数個ある系における、長時間後の漸近挙動(散乱理論)を考察する。系を非線形シュレディンガー方程式によって記述される古典場の理論を量子化したものとして捉え、ハミルトニアン(系の 全エネルギー)とそれが生成する時間発展群の性質について得られた結果を報告する。時間に余裕があれば、異常トンネル効果や超放射といった多体ボソン粒子系に関連する話題についても触れる。
講演者(所属) 15:15~16:15
石渡 通徳氏(福島大学・共生システム理工学類)
タイトル On the global compactness type results for weighted energy functionals involving Sobolev critical exponent and its applications
アブストラクト Sobolev 臨界指数にかかわる変分問題では、Sobolev 埋め込みの非コンパクト性を反映し、一般に Palais-Smale 条件が満たされない。 このため、臨界点の存在を示す場合、Palais-Smale 列の挙動に関する詳細な解析が 必要になる。 これは global compactness result と呼ばれ、汎関数がスケール不変性を持つ場合にはStruwe や Benci-Cerami らによる結果をはじめとして、多くの結果がある。 本講演では、臨界指数を持つものの、汎関数の 各項が空間無限遠で増大する重み関数を含むため汎関数のスケール不変性が壊れる場合に global compactness を議論し、応用として、臨界指数をもつ半線型放物型方程式の解の挙動を論じる。
講演者(所属) 16:30~17:30
大塚 浩史氏(金沢大学・理工研究域)
タイトル 2次元ゲルファント問題における多重爆発解のモース指数
アブストラクト 2次元のゲルファント問題とは、非線形項が指数関数で表される半線形楕円型境界値問題である。 この問題の爆発する解の列について、爆発点の位置が点渦系のハミルトニアンの臨界点として特徴付けられることはよく知られて いる。 本講演では、そのような爆発する解の列について、爆発に十分近づいた解のモース指数も点渦系のハミルトニアンに関連して評価されることを紹介する。  本講演の内容は、F.Gladiali氏(Sassari大)、M.Grossi氏(ローマ大)、 鈴木貴氏(大阪大)との共同研究に基づく。
最終更新日: 2017年5月31日